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100人100通りの働き方でチームの力を引き出す~青野慶久・サイボウズ社長

2018年12月21日 公開

マネジメント誌「衆知」

青野慶久・サイボウズ株式会社 代表取締役社長
 

青野慶久 サイボウズ株式会社 代表取締役社長
あおの・よしひさ*1971年愛媛県今治市生まれ。1994年大阪大学工学部情報システム工学科卒業後、松下電工(現パナソニック)入社。1997年愛媛県松山市でサイボウズを設立。2005年代表取締役社長に就任(現任)。社内のワークスタイル変革を推進し、離職率を7分の1に低減するとともに、3児の父として3度の育児休暇を取得。2011年から事業のクラウド化を進め、2017年にクラウド事業の売上が全体の60%を超えるまで成長。総務省、厚生労働省、経済産業省、内閣府、内閣官房の働き方変革プロジェクトの外部アドバイザー等も務める。

複数の仕事を本業として認める「複業」の解禁、働く場所や時間を自由に設定できる「ウルトラワーク」や「新・働き方宣言制度」――。グループウェアのソフト開発で成長を遂げているサイボウズでは、社員一人ひとりが自分に合った働き方を追求する究極の人事制度を導入し、各自の個性・持ち味が発揮できる環境を実現している。そのベースにあるのは、社員の幸福度を高めることこそが経営戦略であるという考え方だ。はたして、形だけの“働かせ方改革”に終わらない本当の働き方改革とは。みずから子育てに励んできたイクメン社長・青野氏に、個性開花の実践哲学をうかがう。

取材・構成:平林謙治
写真撮影:長谷川博一
 

“お詫び広告”を出した訳

サイボウズは昨年、おかげさまで創業20周年を迎えました。

企業にとってこうした節目はある意味、ものが言いやすい。社会に対して自社の考えを発信しやすいタイミングです。そこで当社では、9月13日付の日本経済新聞朝刊に全面広告を掲載しました。

タイトルは、「働き方改革に関するお詫び」。代表者である私、青野慶久の名前で、日本で働くすべての人に向けて、こう語りかけました。

「私たちにもっと力があれば、私たちがもっと強くメッセージを発信できていれば、このような働き方改革の現状にならなかったのかもしれない。不甲斐なさと、申し訳なさでいっぱいです」

大きな反響を呼んだので、ご記憶の方も少なくないでしょう。しかしなぜ、記念すべき20周年に“お詫び広告”なのか。最大の動機は、端的に言うと、働き方改革というテーマに対する私たちなりの使命感にほかなりません。

サイボウズは、グループウェアと呼ばれる情報共有ソフトを開発することで「世の中の働き方を変えたい」という思いから生まれた会社です。7万5000社以上の企業に当社製品をご愛用いただく一方で、私たち自身も10年以上前から働き方の改革に取り組み、最大6年間の育児・介護休暇制度や在宅勤務制度、子連れ出勤、さらには副業(複業)の奨励といった「100人100通りの働き方」の実現にチャレンジしてきました。

そして現在、この国に「働き方改革ブーム」の風が吹く中で、サイボウズの活動は広く注目していただけるまでになりました。私自身、子育てに励む“イクメン社長”としてメディアにたびたび顔を出し、全国で講演し、政府に意見を述べ、本まで出しています。

ところが、です。世間でブームになっている「働き方改革」の現状を見ると、そこまでしてもなお、私たちの意思は全くといっていいほど伝わっていません。私たちが伝えたかった働き方とはまるで違うおかしな方向に、“右向け、右”で進んでいる。成功しているとはとても思えない。これはひとえに私たちの力不足、アピール不足であると――。皮肉を込めた問題提起が、あの“お詫び広告”の真意でした。

広告文では、政府が旗を振る働き方改革に異を唱えるような表現もあえて使いました。厳しいことが言えるのも、私たちには働き方改革に真剣に取り組み、絶えず先陣を切ってきた自負と誇りがあるから。うちが言わなきゃ誰が言うの!? という感じですね。微妙にブラックな会社が改革ブームにケチをつけたりしたら、それこそ大バッシングでしょう。「おまえたちが言うな」と(笑)。

なによりも、サイボウズには、世界で一番使われるグループウェア・メーカーになって「チームワークあふれる社会を創る」というビジョンがあります。したがって、世の中がチームワークあふれる方向に向かっていないと感じたら、当然、それを正さなければならない。私たちは、私たちの使命を果たしているだけなのです。

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