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業績拡大を続ける名物社長の働き方改革実践メソッド

2019年02月26日 公開

小山 昇(株式会社武蔵野社長)

小山昇
 

社員が喜ぶ残業削減で健全経営を実現!

16年連続で業績を拡大し続けている株式会社武蔵野。実は、数年前まで長時間労働体質の超「ブラック企業」だったというが、残業削減・早帰りに取り組み、劇的に改善。社員も喜ぶ生産的な仕事の仕組みで、健全経営を実現している。徹底的に無駄を省き、社員の活力を引き出すために、経営者が目を向けるべきポイントとは。名物社長が独自の働き方改革実践メソッドを指南!
 

小山 昇(株式会社 武蔵野 代表取締役社長)
こやま・のぼる*1948年山梨県生まれ。東京経済大学卒業後、1976年に株式会社武蔵野の前身である日本サービスマーチャンダイザー株式会社に入社。一時独立するが、復帰して1989年より代表取締役社長に就任。赤字続きの会社を増収を続ける優良企業に育て、日本で初めて「日本経営品質賞」を2度受賞(2000年度、2010年度)。同社の経営の仕組みを紹介する経営サポート事業を展開し、700社以上の会員企業を指導、うち400社は過去最高益を出している。「経済産業大臣賞」(2001年度)、「IT経営百選最優秀賞」(2004年度)受賞。

取材・構成:若林邦秀
写真撮影:長谷川博一
 

残業が減るかどうかは経営トップ次第

1990年代の武蔵野は「超」が3つくらいつくほどのブラック企業でした。

コンビニの「セブン-イレブン」は開店当初の営業時間が朝の7時から夜の11時でしたが、武蔵野は朝7時から夜の11時を軽く超えて、深夜の1時、2時まで働くのが常態化していました。月末の忙しい時など、事務所に泊まり込んだり、車の中で寝たりする社員が続出しました。

この超超超・長時間労働体質は、2000年代に入っても変わりません。

2013年の当社の残業時間は、社員一人平均で月約76時間もありました。90時間を超える社員も6名いました。これを容認してきたのが、ほかならぬこの私です。

ところが、2014年になって、私は方針を一変しました。「残業削減」を全面的に打ち出したのです。

すると、その年のうちに残業時間は一人平均月50時間以下に。翌2015年には月40時間を切り、さらにその翌年の後半には月20時間以下にまで減りました。

現在では、社員一人平均の残業時間は月約17時間。残業ゼロという部署が、36部署のうち2つあります。

この話をすると、「いやぁ、それは武蔵野さんだからできたのであって、うちの業務形態では無理です」「今は人手が足りなくて物理的にできません」という反応が必ず返ってきます。

違います。残業がなくならないのは環境のせいでも業態のせいでも社員のせいでもなく、経営トップのせいです。

経営トップが「うちが残業を減らすなんて無理」と決めつけているから減らないのです。

本気で残業を減らしたければ、まず経営トップが「残業を減らす」という方針を決定しなければなりません。すべてはそこから始まります。
 

残業したら賞与を減らす

もちろん、「残業するな」というかけ声だけでは残業は減りません。残業を減らすためには、残業が減る仕組みをつくる必要があります。

武蔵野ではこうしました。

「前年同月よりも残業が減った部署は賞与を増やす。1時間でも増えれば、賞与を減らす」

責任者は大変です。部下の残業が減らなければ、自分の賞与が“小与”になってしまいますから。

人間は現金なものです。「残業するな」と言っても残業は減りませんが、「賞与を減らすぞ」と言えば、たちまち残業しなくなります。

ポイントは、残業削減によって生まれた利益を会社の利益にするのではなく、社員に還元することです。

「残業するな」と命じておいて浮いたお金を会社のものにしたら、社員が不満を持つのは当然です。

彼らは「残業が多すぎるのは困るけど、なくなるともっと困る」と考えます。なぜなら、すでに残業代込みの給料を、生活給としてあてにしているからです。

そこで、残業が減っても可処分所得が減らないような工夫が必要です。

武蔵野では、残業時間と評価を連動させ、残業が少ない社員は賞与を多くし、残業が多い社員は賞与を少なくしたわけです。

そもそも、ダラダラと非効率的な仕事をして長い時間会社にいた人間のほうが、テキパキと仕事をこなしてさっさと帰る社員よりももらえる給料が高い、というのが間違いです。

残業が少ない社員の賞与を多くし、残業代で稼ぐ人よりも結果的に年収が高くなるようにしたら、必然的にみんな残業を減らす工夫を始め、業務改善が進みました。

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