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76歳で再び挑んだ外食産業の現場革命~横川竟・高倉町珈琲会長



2019年05月09日 公開

マネジメント誌「衆知」

「価格」ではなく、「新たな価値」を競う時代へ

外食産業の現場でいちばん難しいのは「接客」です。高倉町珈琲では「親切な接客」を心がけています。接客を「サービス」というと、中身や焦点がぼけてしまうので、「サービス」という言葉は使っていません。

接客においてお客様が違和感を覚えるのは、マニュアルの存在だと思います。決まった言葉で、決まった対応をする。これがどこか気になるのです。

外食産業の接客マニュアルは、実は1970年代にすかいらーくがつくったマニュアルが今も基本になっています。当時は、そのマニュアルでよかったと思います。しかし、40年も前のマニュアルです。さすがに古いし、時代に合わない部分もたくさんあります。

接客マニュアルというものは、本当は3~5年単位で見直さないといけないでしょう。でも、これがなかなか難しい。他のレストランやカフェなどで働いていた人が高倉町珈琲で働くと、前の店で使われていた古いマニュアルで接客をしてしまいます。自分がお客として行った店のマニュアル通りの接客を真似てしまう人もいます。

それでも、注文は取れるし、お客様の話は聞けるし、お皿も運べる。でも、時代に合わせた、ワンランク上の接客はできない。お客様の声にならない「気持ちの声」を聞き取り、心からの親切な対応をするまでは、なかなかできない。この点は、高倉町珈琲でもまだ大きな課題として残っています。

その課題解決のためにも、店長の力が大きな役割を果たします。スタッフが楽しく気持ちよく働くためには、店長の人間力がものをいうのです。

そのためには、店長自身が仕事を楽しむことです。自分が楽しく気持ちよく働くと、それはスタッフにも伝わり、最終的にはお客様にも伝わって、心地よい空間ができます。

それから、店長はスタッフの教育係であるべきです。本部の思想を伝えるのはもちろん、スタッフの悩みにも応えられる人であってほしい。スタッフの旦那さんや奥さん、子供の問題や、自分や家族の病気などのプライベートな悩みの相談を受けた場合には、それに応えられるくらいの人間力を備えてほしい。なかなか難しいですが、そこまで対応できるようになれば、一流の店長といえるでしょう。

各店の店長には、「自分の店は自分でつくり上げて、自分で守れ」と言っています。メニューなどの開発は本部がするし、食材も本部が店に届けますが、「スタッフは店長が採用して、店長がスタッフを育てなさい」と伝えています。

すかいらーくを創業した時は、店舗数など、規模で日本一になることを目標にしていましたが、今は規模や数は追っていません。人口10万~15万人の町に1店を出店することを目指しています。計算すると、全国で100~150店です。この数は、直営店だけではなく、フランチャイズ店(FC)も含めて考えています。優秀な社員が負担なくFCオーナーになれる制度も整えています。

本部のスタッフや幹部、そして社長も、店長経験者から登用します。将来、社長になる人は、FCの店長でも構いません。現場を知り尽くしていて、総合的にマネジメントできる人であれば、直営だろうが、FCだろうが、関係ありませんから。

外食産業では「安さ」も大切ですが、安さだけを追求する時代はすでに終わりました。これからは「味」「安全性」「健康」「居心地のよさ」「接客のよさ」など、多方面での競争になるでしょう。高倉町珈琲では、現場の力を高めることで、それぞれの分野で「新たな価値」を創造し、提供し続けていこうと思っています。

※本稿は、マネジメント誌「衆知」2018年11・12月号特集「最強の現場力」より、一部を抜粋編集したものです。

※社名、肩書等は掲載当時のものとなっております。



経営・マネジメント誌「衆知」

特集「商売の勘どころ」

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発売日:2019年12月27日
価格(税込):1,100円

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