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「はかる」から進化し続ける業界リーダー・タニタの成長戦略

2019年08月19日 公開

マネジメント誌「衆知」

谷田千里(株式会社タニタ代表取締役社長)
 

谷田千里(株式会社タニタ代表取締役社長)
たにだ・せんり*1972年大阪府生まれ。’97年佐賀大学理工学部卒業後、船井総合研究所などを経て、2001年タニタ入社。’05年米国販売会社のタニタアメリカINC.取締役、’07年タニタ取締役を経て、’08年から現職。レシピ本のヒットで話題となった社員食堂のメニューを提供する「タニタ食堂」事業や、自治体や企業の健康づくりを支援する「タニタ健康プログラム」などを展開し、タニタを「健康をはかる」計測機器メーカーから「健康をつくる」健康総合企業へと変貌させた。

 

「日本を健康にする」を掲げ、新たなソリューションに挑む

社員食堂で出される健康メニューを紹介したレシピ本や、それが実際に味わえる「タニタ食堂」でおなじみのタニタ。言わずと知れた日本を代表する健康総合企業だ。健康状態を計測する様々な機器の製造・販売事業ももちろん健在だが、近年は健康づくりのプログラムの提供や、他業種企業とのコラボレーションなど、ますます活動の場を広げている。はたして、これからの長寿社会で牽引役となるタニタが目指すものとは。気鋭の若きリーダー、谷田千里社長にうかがった。

取材・構成:坂田博史
写真撮影:長谷川博一

※本稿は、衆知【2019年1・2月号】特集「『人生100年時代』の経営戦略」掲載記事より、一部を抜粋編集したものです。
 

「1粒で2、3度美味しい」――利便性向上と健康経営

ベストウェイトセンターが体脂肪計の開発やタニタ食堂の開業につながったように、父が先行投資の種を蒔き、その後、現在までに大きく成長した事業があります。健康計測機器とインターネットを活用した健康トータルサービスです。

新しいもの好きだった父は、まだ「IoT」(モノのインターネット)という言葉がなかった頃に、赤外線でデータ通信をする歩数計や体組成計などを開発。そして、お客様の健康データを管理するタニタヘルスリンクという子会社をつくり、2007年にサービスの提供を開始しました。

しかし、この商品とサービスは金額が高く、使い勝手もよくありませんでした。そのため、売れ行きは伸びず、サービス開始以来、ずっと赤字事業となっていました。

ただ、私はこうした健康づくりをトータルにサポートする仕組みには、将来性があると感じていました。そこでまず、社員全員にこの歩数計を持たせ、自分たちが使うことで商品とサービスの課題を探ることにしたのです。社員からは「なんでこんな使いにくい機器を使用しなければいけないんだ」という不満の声が多数寄せられました(笑)。

自分たちが感じた不便さや改善点を商品開発に生かし、サービスの向上につなげる。その基本を徹底し、地道に一つひとつ改良を重ねた結果、歩数計は「Felica」(フェリカ:非接触型IC技術)を搭載し、パソコンを介さなくてもサーバにデータを送信できるようになりました。ちなみに、現在、歩数計は「カロリズム」という活動量計に進化しました。歩数だけでなく、歩行時間、総消費エネルギー量、活動エネルギー量などまで計測することができます。

このように社内で工夫を凝らしながら、商品とサービスのブラッシュアップをしていったのですが、それだけではありません。私は「1粒で2、3度美味しい」をモットーとしており、この取り組みもまさにそれでした。有り体にいうと、社内での実験によって商品とサービスの改良を進めると同時に、社員の健康を増進する健康経営にも取り組んだのです。

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経営・マネジメント誌「衆知」

特集 次世代技術に挑む

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発売日:2019年08月27日
価格(税込):1,080円

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