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「スマート・エイジング 」で高齢者の消費変化に対応する~シニアビジネス成功の鍵とは?

2019年09月02日 公開

村田裕之(東北大学特任教授・村田アソシエイツ代表)

村田裕之(東北大学特任教授・村田アソシエイツ代表)

村田裕之(東北大学特任教授・村田アソシエイツ代表)
むらた・ひろゆき*新潟県生まれ。1987年東北大学大学院工学研究科修了。フランス国立ポンゼショセ工科大学院国際経営学部修了。フランス企業勤務を経て、’91年日本総合研究所入社。2002年村田アソシエイツ設立。’06年東北大学特任教授。シニアビジネス分野・高齢社会研究の第一人者として講演・執筆等で活躍。主な著書に『成功するシニアビジネスの教科書』(日本経済新聞出版社刊)など多数。

 

「スマート・エイジング 」で高齢者の消費変化に対応する

「シニア向け」「団塊向け」と謳った商品がなぜか売れない。そんな声がよく聞かれるが、そこには高齢者の真のニーズを見誤り、画一的なマーケティングで商品の開発と販売を行なってきた企業の姿勢がある。シニアビジネスを長年実践してきた村田裕之氏は、高齢者が年齢を重ねるにつれて起こる様々な変化に賢く対応する「スマート・エイジング」の考え方こそが、シニア消費の動向を見通す指針になると説く。そこで、企業の成功事例も紹介しながら、シニアビジネスの要諦について語ってもらった。

取材・構成:加賀谷貢樹
 

マス・マーケティングの成功体験を捨てよ

現在、超高齢社会を迎え、企業が様々なジャンルでシニア向けのビジネスに取り組んでいます。しかし、目立つ成功例はそう多くないのが現状です。その最大の理由は、市場の性質が高度経済成長期と今では全く異なるということが挙げられます。

高度経済成長期はモノが不足していたので、何かつくればそれで大量に売れました。なかでも典型的なのは住宅や車です。家が足りなかったので住宅を分譲すれば飛ぶように売れました。車もトヨタ「カローラ」、日産「サニー」などの大衆車が大量に売れ、それほど多くの車種をつくる必要のない時代でした。

でも今は、例えばマンションを建てても、似た物件はいくらでもあり、値段を下げても他社も下げてくるので、質と価格の両面で常に競争しなければいけません。ところが、高度経済成長期の大量生産、大量流通、大量販売の成功体験を持っている経営者の多くは、個々のお客様のニーズにきめ細かく対応するのが苦手です。

しかも、最近のシニアの消費行動は多様化が進み、「シニア市場」や「団塊市場」と一括りにできるマーケットは存在しません。現代のシニアを対象とする消費市場は、高度成長期に見られた画一的なマス・マーケットとは全く異なる「多様なミクロな市場の集合体」です。したがって、シニアビジネスに商機を求める企業は、まずはかつての成功体験を捨てなければいけません。

加えて、「シニアはお金持ち」というのも誤解です。資産も多くキャッシュフローも潤沢で、有名百貨店でよく買い物をするようなシニアは少数派。いざという時のために貯金などのかたちで多少の資産は持っていても、日々のキャッシュフローはそれほど多くないのです。

ですからシニアの大多数は、普段はなるべく無駄なお金を使わないようにしていて、スーパーにも「お買い得デー」しか行かないとか、目玉商品だけを買って帰るというぐらい、日々の生活では倹約志向が強いのです。

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シニアの消費は年齢では決まらない >



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