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関ケ原には、歴史の醍醐味がぎっしりと詰まっている

2015年10月28日 公開
2022年01月27日 更新

高橋英樹(俳優)

東軍の面々を見てみると…

しかも、東軍はまさに「歴戦の強者」が勢揃いしていました。

今川の人質になった経験もある家康をはじめ、黒田や福島、藤堂高虎、細川忠興…。皆、数々の修羅場を潜ってきた人物であり、西軍と比べても経験が豊富な面々です。そんな男たちが集結したのですから、さぞ強かったでしょうね(笑)。

彼らが東軍についた理由を想像すれば、私は大義名分というよりも「家を守る」一念ではなかったか、と考えています。

戦国時代の大名は、常に、自分の命のみならず、家、家族、家臣、領民の命運を背負っていました。そして自分の経験、過去に滅びた家々を目の当たりにし、生き残るための決断を余儀なくされました。

主君を幾度も変えた藤堂高虎が好例ですが、彼は決して変節漢ではなく、むしろ「家を守る」使命を全うしようとした男です。私は城好きなので、どうしても築城の名手・高虎には肩入れしてしまうのですが(笑)、このように乱世で培った嗅覚があればこそ、関ケ原で東軍諸将は家康に与したのです、それは「勝ち馬に乗る」などといった軽い言葉では決して表わすことができない、極めて重い決断でしょう。そして、西軍諸将も己の信念のもとに、家康と戦うという決断を下したことも忘れてはなりません。

関ケ原合戦には、戦国時代の面白みがぎっしりと詰まっています。キャラクターの濃い武将が一堂に会し、「天下分け目の合戦」を繰り広げて、しかも様々な謎がある…。私もまだまだ勉強したいですし、これだから「歴史好き」は止められないのです(笑)。

 

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