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夏目漱石が講演した和歌山県議会議事堂が、この春一般公開

2016年03月17日 公開
2023年10月04日 更新

『歴史街道』編集部

 

復原された旧県議会議事堂の見所

 

一乗閣として使われていた時代、建物の正面外観は大きな変化はありませんでしたが、内部は大きく変更されていました。そこで今回の復原では、改変された部分をすべて建築当初の姿に戻しています。では、旧県議会議事堂の見所をいくつかご紹介しましょう。

1.車寄せ
正面車寄せには、華麗な彫刻が施されています。特に中央の「兎の毛通し」の彫刻は鳳凰がモチーフで、軒の高い県議会議事堂の正面玄関を引き締めています。

2.床の間
上部に唐破風が設けられ、鶴や亀をあしらった彫刻で飾られます。もちろん演壇とは異なり、当時の写真を見ると、床の間には掛け軸を掛けたり、盆栽を置いたりしていました。

3.議場の天井
天井は中央部を折上格〈おりあげごう〉天井、周囲を鏡天井とした構成。天井板は杉の杢目板で、一格間を一枚張りとした贅沢なつくり。前後左右で向きを変え、市松模様になっています。

4.議場上部が傍聴席で、傍聴人は西側専用階段から上がりました。手すりは低く、当時はここに鈴なりの傍聴人が入ったこともありました。

5.手挽き製材の最後の時代
議事堂の木材は桧材、見えない構造材は松材が採用されました。これら大量の木材はすべて木挽きで、手作業で製材されたものです。明治時代後期より和歌山県でも機械製材が導入されたため、これらは手挽き製材の最後を飾るものといえます。

明治時代の香り漂う貴重な文化財・旧和歌山県議会議事堂を、訪れてみてはいかがでしょうか。

旧和歌山県議会議事堂
構造:木造、二階建(一部平屋建)、建築面積1,277㎡、延床面積1,763㎡
平成17年和歌山県指定有形文化財

場所:和歌山県岩出市根来
公開日:2016年4月1日より

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