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戊辰戦争150年、悲劇の先にあるもの~福島・旧幕府軍の戦跡を訪ねて

2018年09月21日 公開

長尾剛(作家)

猪苗代湖
猪苗代湖(写真提供:福島県)

新政府から朝敵とされ、戦うことを余儀なくされた奥羽越列藩同盟。彼らは何を思い、新政府軍と戦い続けたのか――。新政府軍の進軍経路を旅することになった女子高生2人は、そこで何を知ることになるのか……。
 

長尾剛(作家)
昭和37年(1962)、東京都生まれ。東洋大学大学院修了。著書に『話し言葉で読める「西郷南洲翁遺訓」』『30のエピソードですっきりわかる「幕末維新」』『戦いで読む日本の歴史4 徳川の世のはじまりと終わり』などがある。

* * *

「ビャッコタイ? アイドルの新しいグループ?」

「違うよ。『白』い『虎』って書いて白虎隊。幕末の『戊辰戦争』で、新政府軍と戦って負けた東北の少年武士の部隊なの。みんな16、7歳だったって」

そう答えた私と、親友のミチ子は、東京の女子高生だ。最近、私は幕末に凝っている。もとは、新選組のテレビアニメに魅かれたからだけれど、学んでみたら、奥が深かった。

「でも、新政府軍と戦ったということは、明治維新の邪魔をしたってこと?」

「そうじゃなくて、白虎隊の側は、それまでの日本の政治をしていた徳川家に忠誠を誓い続けていたの。戦いに敗れただけなのよ。
テストも終わったし、今度の休みに『白虎隊記念館』へ行ってみない?」

「それ、東北のどこ?」

「福島県。江戸時代は会津藩」

「福島県は、会津藩だけじゃありませんよ」

急に教室の窓のほうから声がした。声の主は優等生の佐川さんだった。その眼鏡の奥の目は、ずいぶんと真剣だった。

「今の福島県は、2つの山地で3地区に縦に区切られて、太平洋側から阿武隈高地までが『浜通り』。阿武隈高地と奥羽山脈に挟まれている地域が『中通り』。そして奥羽山脈から内陸の地域が『会津』なんです。『浜通り』と『中通り』には江戸時代、いくつかの藩が点在していたんですよ」

佐川さんは紙に何かをメモると、私たちに差し出した。

「白虎隊記念館に行くんなら、その前にこれだけは回ってみてください。言うなれば、『浜通り』は東北の同盟諸藩の戦いの地。『中通り』は東北戦争始まりの地。そして『会津』は東北戦争終焉の地ですから」

「佐川さん。福島に詳しいんだね」
「私の故郷なんです」

佐川さんの目は、すごく悲しそうに見えたが、なぜか力強さがあるようにも思えた。

2日後、私たちがまずめざしたのは、中通りにある白河市だった。

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