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浦賀水道の海上要塞「第二海堡」を訪ねて

2019年04月12日 公開
2023年10月04日 更新

『歴史街道』編集部

松田優作もこの島で撮影していた

しかし、第二海堡も関東大震災で大きな被害を受け、要塞としては使われなくなってしまう。その後、海軍が一時期、使用したものの、戦争で一度もその実力を発揮することなく終戦を迎えたのである。

第二海堡は現在、廃墟となっており、ところどころ島が崩れている。島の近くの海上にも、かつての島の残骸が波間に見えていた。

関東大震災に加えて、長年、波や風にさらされていたため、こうした状態になってしまったのである。

階段を登って島の中央に向かう。

そこには、太陽光パネルがずらりと並ぶ。現在、島の電気の多くは、これによって賄われている。

第二海堡 ソーラーパネル

島に点在している砲台や指揮所の残骸を見て回りつつ、往時の島の様子に想いを馳せる。

かつては、映画やテレビのロケが行なわれていたとのこと。

松田優作主演の映画「蘇る金狼」や、「宇宙刑事ギャバン」が撮影されたのも、この島だ。

島のあちらこちらに、掩体壕などのレンガ積みが見られるが、そのレンガは「焼きすぎレンガ」というらしい。吸水率が低いため、風や波に負けずに今に残っているのだ。

掩体壕跡

第二海堡 レンガ

これらのレンガは、明治10年(1877)の西南戦争における捕虜を収監した、東京の小菅集治監で作られたもの。表面には、小さな桜の印が押されている。

1時間ほどの島内見学を終え、再び船へ。

横須賀の町並みが見えてくる頃には、雨は上がり、空は明るさを増していた。

横須賀市は「ルートミュージアム構想」を掲げており、軍港めぐりや記念艦「三笠」、ヴェルニー公園、田戸台分庁舎をはじめ、今後、整備が進む予定の、走水低砲台跡や猿島砲台跡、千代ヶ崎砲台跡、ペリー公園・記念館とつなげることで、周遊ルートで「開国の地」としての魅力を発信しようとしている。

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