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帰蝶、煕子、珠…明智光秀をめぐる女性たち



2020年01月28日 公開

歴史街道編集部

明智光秀

現在発売中の月刊誌『歴史街道』2020年3月号では、「明智光秀 乱世を生き抜く力」と題して、様々な角度から光秀の人物像に迫っているが、大河ドラマ『麒麟がくる』の影響で、光秀と斎藤道三の娘・帰蝶の関係もクローズアップされている。果たして二人は、いかなる縁があったのだろうか。光秀の妻と娘もあわせて、その人生を彩った女性について、簡単に紹介しよう。
 

帰蝶と光秀は従兄妹?

「織田信長の室とは縁があります」

明智光秀が、細川藤孝にそう語ったと記す史料がある。

この室こそ、信長の正室とされる帰蝶だ。帰蝶の生母を光秀の叔母とし、帰蝶と光秀を従兄妹とする説もあり、それが「縁」を指すのかもしれない。

信長の室とはいえ、帰蝶の生涯もよくわかっていない。実は正式な名前が当時の史料に見えず、帰蝶とも、濃姫ともいわれるのも、後世の史料によるものだ。

生まれは天文4年(1535)とされ、近年では、信長の前に土岐頼充に嫁いでいたとする説が出されている。頼充の死後、斎藤家と織田家の和睦に伴い、信長に嫁いだというものだ。

帰蝶と信長の間に子はなかったとされ、その最期も明らかとなっていないが、慶長17年(1612)に亡くなったとする説もある。

ところで、『多聞院日記』には、光秀の妹として「妻木」が登場し、一説に信長の側室だったともされる。

これらが事実であれば、光秀は信長の正室と側室に縁があったこととなる。さらにいうと、光秀の四女は信長の甥・信澄に嫁いでいる。

こうしてみると、光秀は女性を介して、信長と密接な関係にあったといえるだろう。
 

光秀の正妻・煕子と三女・珠(玉)

さて、その四女を生んだのは、光秀の妻・煕子である。

彼女は美濃・妻木城を拠点とする妻木氏の出身で、光秀とは仲が良く、三男四女をもうけたとされる。

煕子の生涯についても、天正4年(1576)に亡くなったこと以外、よくわかっていない。しかし、こんな伝承がある。

光秀夫妻が、越前の称念寺門前で浪人暮らしをしていたころ、朝倉家の重臣と連歌会を催す機会が訪れる。

これを朝倉家への出仕につなげたい光秀だが、連歌会の資金に窮していた。そこで煕子が自慢の黒髪を売って資金を用立て、連歌会は成功。光秀は無事に出仕が成ったという。

後世、この逸話を知った松尾芭蕉が、「月さびよ 明智が妻の 咄せむ」と詠んでいるほどで、おそらく聡明な女性だったのだろう。

光秀と煕子の子で最も有名なのは、細川ガラシャの名で知られる三女・珠(玉)だろう。

珠は天正6年(1578)、信長の命によって、細川藤孝の息子・忠興に嫁いでいる。

だが、光秀の娘であることから本能寺の変後は一時的に幽閉され、さらに関ケ原合戦の前には、西軍の人質にされるのを避けるため、家臣に討たれる道を選んだ。

これにより、西軍は諸大名の妻子を人質にするのをやめる。珠の毅然とした態度がなければ、関ケ原の動向も変わっていたかもしれない。

悲劇に見舞われた珠だが、彼女が産んだ細川忠利は、後に熊本藩主となっている。

光秀の孫が大名になったともいえるが、縁者の女性に着目すると、光秀の様々な側面が見えてくるのである。

 

参考資料
小和田哲男著『明智光秀・秀満』(ミネルヴァ書房)、柴裕之編著『図説 明智光秀』(戎光祥出版)、藤田達生著『明智光秀伝』(小学館)

※『歴史街道』2020年2月号では、『麒麟がくる』の主演・長谷川博己さんのグラビア、時代考証担当の小和田哲男氏による総論、人物相関図、岐阜県に残る「光秀ゆかりの地」も掲載しています。



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