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中小企業「モデル改革」最前線

<PR>提供:産業交流展2020実行委員会

2018年10月10日 公開

Voice編集部 <PR> 提供:東京都


吉原二郎氏(日本自動ドア株式会社社長)

日本経済の「真の復活」は中小企業が鍵

ここ数年は株価も順調に推移し、2018年1月には日経平均株価がバブル経済崩壊後の最高値を更新した日本経済。かつてのリーマンショックなどの危機を乗り越え、2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて明るい要素も上がり始めている。

しかし、事態は楽観視ばかりはしていられない。大手企業の技術開発やグローバル展開に注目が集まる一方で、わが国は長年の課題である少子高齢化に対して有効な対策を打つことができていない。各企業は深刻な人手不足に見舞われており、なかでも中小企業にとっては死活問題となっている。

中小企業を悩ませる問題は、それだけではない。経済産業省の「2017年版 中小企業白書」によれば、この20年で経営者の年齢は40代後半から60代後半へとそのままシフトしており、今後、後継者不足による廃業・休業・解散件数は増加する傾向にある。

400万社を超える日本企業のうち、中小企業はじつに99%以上を占める。日本経済の「真の復活」は中小企業が鍵を握っているといっても過言ではなく、高度経済成長は世界に高い技術力を賞賛された日本の中小企業が立役者だった。それでは、苛酷な生存競争を前に、現場を生きる中小企業はどんな事業モデルの転換を図り、安定的成長を実現していくべきなのか。もちろん答えは一例ではないが、今回、その「ヒント」を訊ねたのが、全国に25拠点を置き、大手コンビニチェーンも採用する自動ドアの製造・販売・メンテナンスを行なう日本自動ドア株式会社だ(本社:東京都中野区)。

売上至上主義からの脱却

「売上重視から、働きやすさ重視への転換を急いでいます」

自社で取り組んでいる事業モデル転換について聞いたときの、吉原二郎社長(46歳)の第一声である。

吉原氏がまず例に挙げたのが、ヤマト運輸の戦略だ。大手物流業者のヤマト運輸が、EC(電子商取引)大手のAmazonとの取引を縮小したニュースは記憶に新しい。ヤマト運輸からすれば、Amazonとの取引で得られる売上は膨大なものだったと推察されるが、なぜ取引を縮小したのか。それは人手不足という単純な理由だけでなく、「売上重視」から「働きやすさ重視」への転換を意図しているのではないか、というのが吉原氏の見立てだ。

日本自動ドアでも、5年前に吉原氏が社長に就任する前までは、とにかく売上一辺倒だったという。そうした体制下では、できるだけ多くの自動ドアを受注した社員が評価され、必然的に短納期かつ安価な仕事が激増。現場は時とともに疲弊していき、売上は増えるにもかかわらず、利益率は低い水準のままという状況に陥った。

危機感を抱いた吉原氏は、働きやすさ重視へのモデル転換を打ち出す。とはいえ、いちどは企業に身を置いたことがある方ならば、このスローガンがまさしく「言うは易し、行なうは難し」であることがわかるだろう。売上を追わずに利益率を上げようとした結果、あろうことか売上も利益率も下がり、以前にも比べて厳しい経営状況に陥る企業も少なくない。

シリコンバレーもいまや「働きやすさ」

日本自動ドアにおいても、改革をはじめてから数年間は売上が下がり続け、利益率も大きく上振れしない状態が続いたという。しかし現在は、改革前の利益水準にほぼ戻ってきている。次第に無理な受注で現場を疲弊させることがなくなり、利益を確保する体制が整いつつあるというのだ。

その間、吉原氏は、社員、とくに営業部門の意識改革を断行。営業部門の人間からすれば、評価されるためには一台でも多く自動ドアを受注することが重要であり、売上重視からの脱却は、「たくさん受注しても評価しない」、極端にいえば「働かなくてよい」と言われているようなもの。だからこそ吉原氏は、仕事を受注した営業部門の社員に対して、「仕事をとったことは素晴らしい」と評価しつつ、「これほどに短納期の仕事は現場が疲弊し、品質の維持にも不安が残るので断らざるを得ない。ただ、責任は君ではなく我われ経営者にあるから気にしないでくれ」と説明した。

吉原氏は、人事評価制度も一変させた。数年前、「売上」という観点では結果を残している社員を昇任させたところ、ある日、警察から電話がかかってきたという。受話器を手に取った吉原氏は、「おたくの社員がひき逃げをした。一体どういう社員教育をしているのか」と電話口の警察官に問いかけられた。やはり売上至上主義には限界がある――。その苦い経験を踏まえ、吉原氏は「徳」という概念を経営に持ち込もうと、中国の古典「論語」の指導士資格を取得して評価制度を再構築。そうした取り組みが奏功したのか、現在は離職率も改革前に比べて低下し、採用や社員教育のコストも改善されたという。

現在、組織のあり方にメスを入れて、局面を打開しようと考えている中小企業は少なくない。日常における「よい行ない」を褒め合うアプリを導入して、社員同士でスタンプを送り合わせている企業もある。最新のテクノロジーを駆使して、売上に貢献するなどのような「目に見える成果」以外を評価しようというのだ。吉原氏も参加する一般社団法人コアバリュー経営協会では、幸福度の高い中小企業の視察のため、アメリカまで足を伸ばしたりもしているという。

アメリカでは「ES(従業員満足度)」や「EH(従業員幸福度)」が徐々に企業経営において実用化され始めている。また、Google を始めとするシリコンバレーの企業は「CHO」という従業員の幸福度の向上に務める役職を導入しており、従業員の満足度や幸福度の現状を把握し、研究に基づいた科学的なアプローチで職場環境の改善を図っている。

ひとつの「気付き」で会社は大きく変わる

では、商品開発や事業戦略においては、どのようなモデル転換を見据えるべきだろうか。再び吉原氏に訊ねたところ、2つの具体例を語ってくれた。

まず、日本自動ドアでは現在、自動ドアを進化させるための研究開発を行なっている。自動ドアにはモーターとコンピュータが入っていて、1枚のドアは一体のロボットと呼べるほどの技術が詰め込まれている。そして、いまの技術ならば顔認証などの画像処置や信号の送付データの送受信なども可能だという。歩いている人の動きをコンピュータが認識・分析することで自動ドアの前を通り過ぎるだけなのか、入ろうとしているのかを判断できることを意味する。それどころか、自動ドアを通過した人に割引クーポンを発行したり、将来的には決済することもできるようになるという。最新のテクノロジーを有効かつ柔軟に取り入れることで、従来とは異なるサービスを提供することができるのだ。

もう1つの取り組みが、国連で採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」の追求である。現在、日本自動ドアでは自社で山を購入し、そこから切り出した木を使った木製の自動ドアを開発している。切った分だけ木を植えて、まさに「持続可能な成長」を模索中であり、余った木片で自社オリジナルの木製万年筆やヒノキのエッセンシャルオイルまで開発しているというから驚きだ。


日本自動ドアが自社で山を購入し、余った木片で開発した自社オリジナルの木製万年筆

さらに予算がない自治体にバリアフリーだけでなく、感染症対策のためにも自動ドアを寄付する活動もしている。SDGsに取り組むことで、新たな事業展開が生まれる可能性がある。結果的に会社の存在意義を世界に知らしめることにも繋がり得る。「Voice」2018年10月号(発行:PHP研究所)で門川大作京都市長と小川理子パナソニック執行役員・アプライアンス社副社長が述べているように(特別対談「なぜ京都にグローバル企業が集まるのか」)、これからの企業や自治体は「SDGs」に取り組まなければ生き残れない、と説く識者は多い。

このような事業モデルの転換は、いまを生きる中小企業にとっては喫緊の課題といえる。しかし忘れてはならないのが、中小企業にはかつて世界を驚かせただけでの技術力の高さと、大企業には真似のできない意思決定の速さという強みがあることだ。

そう考えれば、必要なのは「きっかけ」ひとつだ。日本自動ドアは、吉原氏が社長に就任したことで好転したが、何も経営者が変わることだけが選択肢ではない。経営者、ないしは社員のひとつの「気付き」から会社が大きく変わることだってあるはずだ。その意味では、「中小企業による国内最大級のトレードショー」である産業交流展は、訪れるだけでも大きな意義があるのではないか。

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