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「コロナ禍に負けない中小企業」の特徴

<PR>提供:産業交流展2020実行委員会

2021年01月13日 公開

小宮一慶

2020年はまさに「コロナ」に振り回された年だった。多くの企業が危機に陥り、厳しい状況は今も続いている。だが、経営コンサルタントとして数多くの企業を指導している小宮一慶氏によれば、この厳しい状況を飛躍のバネとしている企業も多いという。苦境から抜け出せない企業とコロナ禍でも伸び続ける企業、その違いはどこにあるのだろうか。(写真撮影=まるやゆういち)

ピンチだからこそ「自社の技術を生かすチャンス」でもある

小宮一慶 Kazuyoshi Komiya 経営コンサルタント、小宮コンサルタンツ代表取締役CEO

1957年、大阪府生まれ。1981年、京都大学法学部を卒業後、東京銀行に入行。1986年、米国ダートマス大学経営大学院でMBAを取得。帰国後、経営戦略情報システム、M&A業務や国際コンサルティングを手がける。1993年には、カンボジアPKOに国際選挙監視員として参加。1996年、〔株〕小宮コンサルタンツを設立。『できる社長は「これ」しかやらない』(PHP研究所)、『小宮一慶の1分で読む!「 日経新聞」最大活用術』(日本経済新聞出版社)など、著書多数。

――コロナ禍によって多くの企業が苦境に陥っています。一方で、むしろこの危機をバネに、飛躍を遂げている企業もあると聞きます。一体、その差はどこから生まれるのでしょうか。

小宮

冒頭に一つ、事例を挙げましょう。宮崎県にある「ワン・ステップ」という、正社員数25名ほどの会社です。
この会社が手がけているのは、スーパーなどのイベント用に空気で膨らませる遊具を貸し出す事業です。言うまでもなく、こうしたイベントはコロナ禍で軒並み中止になりました。ワン・ステップの売上は激減どころか「蒸発」してしまったそうです。
このままでは社員の仕事すらなくなってしまう。そう考えた社長がまず行ったのが「マスクの販売」でした。この遊具が中国で作られていたこともあり、その伝手を使ってマスクを中国から大量に取り寄せ、ほぼ儲けナシの価格で販売しました。
当時、マスク不足が深刻化していたこともあり、多くの人から感謝されたそうです。儲けはほとんどないということですが、コロナ禍が収まってイベントが再開できるようになったら、こうした人たちは真っ先にワン・ステップに依頼するでしょう。

――マスク不足の際には高額での販売や転売が問題になりましたが、そんな状況下だったからこそ、余計にこの活動が際立ったのでしょうね。

小宮

ワン・ステップのすごさは、さらに「新規商品」も開発してしまったことです。「空気を入れる」という自社の技術は医療用の「陰圧室」を作ることに応用できるということで、医療向けテントなどの販売ビジネスを始めたのです。医療施設のひっ迫が続く中、多くの病院から求められているそうです。
つまり、危機を前にして、「変わる」ことができるかどうかが、企業の明暗を分けるのです。「何でこんなことに」と嘆くのではなく、「自分たちにできることは何か」を考え、それを実行する。それができた企業の多くは、この危機をむしろチャンスに変えています。

――キーワードは「変わる」ですね。ただ、厳しい時代だからこそ今は耐え、その後に新たなステップを、と考える経営者も多いのではないかと思います。

小宮

もちろん、今は耐える時期でもあります。私は企業に、最低でも1年間は企業活動を継続できるくらいの資金を確保しておくべきだと言っています。今は政府や銀行による緊急融資制度もありますから、それらを利用してまずは資金を確保する。
ただ、それと同時に「変える」ことをしていかねばならないのです。ワクチンの開発が進んでいるとはいえ、この危機がいつまで続くかは誰にもわかりません。しかも、前述の企業のように、コロナを機に新たなチャレンジに踏み出す企業が続々現れている。コロナ問題がやっと収束したと思ったら、スタートダッシュで一気に差をつけられていた……そんなことになりかねません。

――この1、2年で何をやるかによって、知らないうちに差が広がってしまっている可能性があるということですね。

小宮

政府による営業自粛要請を機に、飲食店経営者が軒並みテイクアウトや宅配を始めたのに、何もやろうとしない人がいました。聞いてみると「大変そうだから」と。これじゃあだめなんです。やれることがあるのなら、とにかくやってみる。そして、それをやり切る。
私の好きな言葉に、「できることはすべてやれ。やるからには最善を尽くせ」というものがあります。ケンタッキーフライドチキン創業者、カーネル・サンダースの言葉ですが、今、心掛けるべきなのは、まさにこの言葉に尽きます。

――ただ、変わるといってもただやみくもに新規事業に手を出せばいい、ということではありませんよね?

小宮

もちろんです。ポイントは『どうしたらお客様が喜ぶか』『どうやったら社会に貢献できるか』を考え、それと自分たちの強みやできることを結び付けることでしょう。
特にこのコロナ禍の中では、「どのように社会に貢献できるか」が問われていると思います。ワン・ステップも「マスク不足に悩む人に何ができるか」「逼迫した医療現場に何か貢献できないか」という問題意識があったからこそ、そうした問題と自分たちの強みやできることが結びついて、新しい事業につながったわけです。

中小企業のほうが「変化」に強い、その理由とは?

――資金力も人材力も大手に劣る中小企業が「変わる」ために、重要なことは何でしょうか。

小宮

そもそも私は、このような激動の時代には、大手企業より中小企業のほうが有利だと考えています。
まず、中小企業は小さいからこそ小回りが利きます。大企業のように何か新しいことを始めるたびに稟議を何本も通したり、関係各所との調整をする必要もありません。
また、売上規模が小さいということは、ほんの少しの工夫で大きな売上アップが見込めるということでもあります。

これも事例を挙げましょう。北九州を中心に西日本で歯科医院をチェーン展開する宝歯会グループの例です。
歯科治療の料金は基本的にどこでも同じですから、正直、あまりサービスの質は問われてきませんでした。そのため、昔ながらの殿様商売を続ける歯科も多いのですが、このグループではサービスの質にこだわり、社訓ならぬ「院訓」として「明るく元気にあいさつする」「事前に治療内容をきちんと説明する」「日本一清潔な院にする」という基本を毎日唱和し、それを徹底させています。
また、「駅構内など便利な立地への出店」「朝9時から夜の9時まで診療」により、忙しいビジネスパーソンのニーズを掘り起こしました。この歯科ではあえて少し多めの席を用意し、それが外からも見えるようにすることで入りやすさを演出しているのですが、常にそれがいっぱいになるほどの盛況です。

でも、考えてみてください。「サービスの徹底」「営業時間を延ばす」など、やっていることは決して目新しいわけではありません。でも、そのような工夫でも十分に差別化が図れ、十分に売上を伸ばすことができる。これが、中小企業の強みです。

――確かに、大企業だとより大きな売上へのインパクトが求められますから、「小さな差別化」は難しいのかもしれません。では、中小企業にとって「差別化」のポイントはどこにあるのでしょうか。

小宮

 「顧客のことを真剣に考える」ことに尽きると思いますが、一つのヒントとして「業界が抱えるクレームを解消する」というものがあります。

成人式用を中心に着物販売とレンタルを行っているウェディングボックスという会社があるのですが、この業界では以前から「成人式で同じ着物を着ている人がいて恥ずかしかった」という顧客からのクレームが多く寄せられていました。でも、誰が何を着ていくかなんて、誰にもわかりません。そこでこの会社は発想を逆転させ、「自分たちだけのオリジナルな着物を開発する」ことにより、この問題を解消しました。コロナ下でも好調を維持しているそうです。

――こうした「ちょっとした悩みやニーズ」を掘り起こすことで、十分差別化が図れるということですね。

小宮

その通りです。よく「ブルーオーシャン戦略」などといって、競合が誰もいない世界を狙え、という話がありますが、私は正直、疑問に思います。誰も競合がいないとしたら、それはそれなりの理由があるはずですし、運よくそれを見つけられたとしても、すぐに競合が入ってきて「レッドオーシャン」になってしまうからです。

ただ、「ニッチ」な世界でよければ、それはいくらでもあるはずだし、ニッチなニーズならこうしたちょっとした工夫で生み出すことができるはずです。
「競合がたくさんあるから、うちみたいな中小企業ではムリだ」と考える人もいるかもしれませんが、競合がたくさんある世界でも、ちょっとした工夫で他社との違いを見つけ出せばいいのです。

今の日本は、十数年後の日本の姿かもしれない

――現在、感染の「第三波」が拡大する一方、コロナワクチンの開発も徐々に進みつつあるという報道もあります。今後、時代はどのように変化すると思いますか。

小宮

今回のコロナ禍について、私は「未来が早くやってきた」と表現しています。元々、数年後、あるいは十数年後に来るはずだった未来が、このコロナ禍によって一気に到来したということです。
「在宅勤務」「リモート会議」がまさにそうですよね。政府が「働き方改革」の名のもとにさんざん旗を振ってもなかなか進まなかったものがコロナで一気に進んだのは皮肉な話ですが、コロナがなくても徐々にこうした方向に進んでいたことは明らかです。
あるいは、緊急事態宣言発令後に電車が一気にガラガラになりましたが、あれも数十年後の日本の未来かもしれません。何しろ、いまや年間50万人ずつ日本人が減っているのですから。
つまり、今起こっていることはコロナによってもたらされたことではなく、元々来るべき未来が、コロナによって加速したということです。

――つまり、コロナ後に元に戻るものもあれば、このまま戻らないものもある、ということですね。

小宮

ええ、経営者は今後を考えるにあたり、そのことを必ず意識しておくべきです。
たとえば、ワクチンが普及すれば、飲み会は徐々にではあれ元に戻っていくでしょう。外国人観光客もやはり、いずれは戻ってくるはずです。
しかし、在宅勤務や会議のリモート化の流れが大きく元に戻ることはないでしょう。私の会社でも行っていますが、一度やってみたら便利で、そうそう戻せるものではないことは明らかです。

――「リモート」の流れで言えば、新たなコミュニケーションのあり方が問われているように思います。

小宮

まさにそのとおりで、リモートのコミュニケーションが増えることで、自分の意思が相手にしっかり伝わっているかどうかを、より意識すべき時代になっていると思います。
コミュニケーションは「意味」と「意識」だと私は思っています。例えば部下に「これコピーしておいて」といえば、意味は伝わる。でも、その部下が命令した上司に対して反発していたら、なかなか実行してくれないかもしれない。意味は伝わっても、意識が伝わっていないと、人は動かないということです。

つまり、経営トップがいかに「変わりたい」「世の中の役に立ちたい」と思っても、その意識が社内に浸透していなければ、会社は動かないということです。コロナで社員と直接顔を合わせる機会が減ってしまった今だからこそ、どのように自分の意識を浸透させるかを問い直すべきです。
メールを一本打って伝わらないのなら動画を使う。一度で伝わらなければ何度も繰り返す。「コロナだから」と諦めることなく、コミュニケーションを取り続ける姿勢が重要です。

こういう時代だからこそ「交流」が重要に

――外出自粛により、今回の「産業交流展」もヴァーチャル開催になるなど、交流の場が減ってしまっているという問題もあります。

小宮

このような時代だからこそ、企業同士の交流は重要だと思います。私もなるべくセミナーなどでは他社の事例を話すことにしていますが、やはり他社が頑張っているからこそ「うちも頑張ろう」という気になるものです。また、こうしたチャレンジを繰り返している企業が身近にあると、仲間意識も芽生え、より「変わらなくては」という意識も強くなります。

また、情報交換により最新の潮流をつかむことも重要です。たとえば話題のDXについても、中小企業がすぐに使えるようなツールが多数開発されています。
そういう意味では、今回のヴァーチャル産業交流展で数々の企業の取り組みを知ったり、最先端の技術について知ったりすることは、大きな意味があると思います。

――最後に、「変わろう」という中小企業へ、メッセージをお願いします。

小宮

ベストセラー『ビジョナリーカンパニー2』の冒頭に、「goodはgreatの敵」という言葉があります。そこそこ良い状態でいると、それに満足してしまい、より大きな成功を掴めないという意味です。コロナ前は業績が良かった、あるいはなんとかなっていたという企業の中にも、だからこそ大きな変革に踏み出せなかったという側面があったのではないでしょうか。
そう考えたとき、コロナ禍はピンチではありますが、greatな企業に生まれ変わるチャンスでもあります。
そのためには、「考えて、動く」こと。いくらアイデアがあっても、実行しなくては意味がありません。ぜひ、そのための「一歩」を踏み出していただきたいと思います。

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2021年1月20日(水)~2月19日(金)オンライン開催

今年で23回目となる「産業交流展」は、初となるオンラインでの開催をいたします。
3D空間上に展示会場を再現し、直感的な操作で、実際に会場を歩いてるような環境をご提供いたします。

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