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嫌われない「仕事の頼み方」にはコツがある!

2015年01月08日 公開

小倉 広(組織人事コンサルタント、心理カウンセラー)

『THE21』2015年1月号より》

 

部下はもちろん、同僚や社外の人、時には上司に「任せる」ことは、仕事を溜め込まないために欠かせない。ところが、「嫌われてしまう」などの理由でこれが苦手だという人も少なくない。組織人事などに詳しいコンサルタントの小倉広氏に、そのコツをお聞きした。<取材構成:塚田有香>

 

リーダーは「作業」を放棄せよ!
無用な責任感が周りに迷惑をかける

 仕事をうまく他人に任せられない理由はいくつか考えられます。「部下に任せるとクオリティや納期が心配」といった相手を信頼できないことが原因のこともありますが、意外と多いのが「嫌われたくないから」という理由です。他人に仕事を任せると迷惑をかけると考え、1人でなんでも抱え込む結果、仕事を溜め込んでしまうのです。

 この問題を解決するプロセスには2つの段階があります。第一段階は、「他人に仕事を任せるのは悪いことではない」と意識を改革し、仕事を任せる決意をすること。第二段階は、実際に仕事を任せ、その後をフォローすることです。

 第一段階で大事なのは、仕事を私物化しないことです。「この仕事は私のもの」と考えるから、「他人に任せるのは申し訳ない」と思ってしまうのです。本来、仕事とは個人のものではなく、会社やチームのものです。クライアントはその仕事を、あなた個人ではなく、あなたの会社に依頼しているのですから。会社として対応し、結果を出すことが何よりも重要。あなた1人でなんとかしようとして、なんの成果も出せなければ、それこそクライアントに迷惑がかかります。たとえ自分の担当業務でも、その仕事は「みんなのもの」であり、その会社やチームに属する全員が責任を負うべきもの。もしあなたの能力が足りないなら、上司や同僚の助けを借りてでも、組織としての責任を果たすことがクライアントのためになるのです。ですから、他人に仕事の手助けを頼むのは、悪いどころか、会社やクライアントにとって良いことなのだと意識を切り替えてください。

 もし、あなたが管理職やチームの責任者なら、「リーダーは作業を持ってはいけない」という意識を持つことも必要です。リーダーが本来やるべきなのは、他人を動かして作業をしてもらうこと。要するに、ディレクションこそリーダーの仕事なのです。ところが、多くのリーダーは作業まで一人前をやろうとするからキャパをオーバーする。「リーダーの仕事」と「作業」を明確に区別し、作業は他人に任せるものと割り切りましょう。

 

やってくれたら「即反応」がポイント

 第一段階をクリアして、実際に他人に作業を任せる段階になったら、実践すべきは「仕事のジャグリング」です。大道芸人が次々とボールやピンを空中へ放り投げていくように、早めにどんどん仕事を依頼するのです。

 最悪なのは、途中まで自分でやろうとして結局間に合わず、締め切り間際になって他人に任せること。押しつけるような形になってしまい、相手にとってはそれこそ大迷惑。最初から任せてください。場合によっては、具体的な作業の進め方やデッドラインが決まっていなくても、取りあえず依頼してもいい。「この作業にどれくらい時間がかかるか教えてくれる? 締め切りを設定してくれたら、それに合わせて全体のスケジュールを調整するから」などとお願いしてもいいのです。

 ただし、仕事を任せたあとのフォローは不可欠です。ここで重要なのは、任せた相手に素早く感謝を伝えること。アドラー心理学には「正の注目」「負の注目」という考え方があり、注目したほうの行動が増えると考えています。たとえば子供が勉強をしないとき、「どうしてマンガばかり読むの!?」と言うと、子供はますますマンガを読むようになる。逆に、たとえ短時間でも勉強をしていたら、「よく勉強しているね」と言うと、子供はもっと勉強するようになる。仕事も同じです。任せた相手のプラスの行動に注目し、それに反応することが非常に重要。任せた仕事の進捗報告のメールが来たら、即座に「ありがとう」「速いね!」などと返信することで、相手はより速く、より良い仕事をしてくれるようになります。ポイントは、すぐに反応すること。3日後に褒められるより、ほんのひと言でもすぐに反応が返ってくるほうが何倍も嬉しいからです。

 「これくらいできて当然」と考え、何も反応しないのは論外。感謝の言葉を素早くかけることが、任せた相手にとって最大のフォローになることを知っておいてください。

<<次ページ>>仕事の任せ方 3つのポイント

 

小倉 広(おぐら・ひろし)

〔株〕小倉広事務所代表取締役、組織人事コンサルタント、心理カウンセラー

1965年生まれ。大学卒業後、〔株〕リクルート入社、その後。ソースネクスト〔株〕常務取締役などを経て現職。20年にわたるコンサルタントとしての経験をもとに、対立を合息に導く「コンセンサスビルディング」の技術を確立し、普及に注力。〔一社〕人間塾代表理事、日本経済新間社BIZアカデミー講師、日経ビジネス課長塾講師なども務める。近年はアドラー心理学と企業組織の両方を熟知した専門家として講演や研修も数多く手がける。著書に『アドラーに学ぶ部下育成の心理学』(日経BP社)、『任せる技術』日本経済新聞出版社)など。

 



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