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<「使える英語」勉強法>スキマ時間で「読む」「聴く」を徹底的に鍛える

2015年02月09日 公開

吉田穂波(医師・医学博士/国立保健医療科学院主任研究官)

『THE21』2015年2月号[特集:「使える英語」勉強法]より》

子育て+ハーバード留学 多忙な医師の英語勉強法/スキマ時間で「読む」「聴く」を徹底的に鍛える

 

現役の医師として活躍していた吉田穂波氏が米国の大学院に留学をしたのは、第3子出産直後のこと。多忙を極める中、どのようにして英語を勉強する時間を確保していたのだろうか。その勉強法とモチベーションの維持法をお聞きした。

<取材・構成:林加愛/写真撮彫:吉田和本>

 

スケジュールの中で勉強時間を最優先する

 私が留学のために英語の猛勉強をしたのは、「時間がない!」と一番焦っていた時期でした。当時は仕事や家事や子育てに忙殺され、ストレスを持て余していました。その積もり積もったストレスこそがエネルギー源になっていたのだと思います。

 したいことがあるとき、「時間がないからできない」と決めつけるのは禁物です。思い切ってしてみると、驚くほど大きなパワーが発揮できるもの。時間がないときこそ、実はチャンスなのです。

 仕事や家事に加えて、さらに英語も勉強するなんて不可能だと思われるかもしれませんが、それも誤解です。留学がしたい。そのために英語力を高めたい。そう思っていましたから、英語を勉強しているときは、仕事や家事などの義務を果たしているときとはまるで違うやる気が湧いてきます。時間を捻出する知恵も働きますし、短時間で多くをこなすことも可能となります。

 私に強く影響を与えたのは、スティーブン・R・コヴィー氏の著書「7つの習慣」(キングベアー出版)でした。この本を読んで、優先順位についての意識が大きく変わったのです。

 タスクをこなす際、緊急度と重要度のマトリックスは誰もが意識するでしょう。この本は「緊急ではないが重要なこと」を最優先にせよと勧めているのが特徴です。仕事や義務よりも、自己研鑚や将来役立つことを吸収する時間をこそ優先すべきだ、という考え方です。

 ですから私は、留学に向けた準備や勉強のための時間を最初にスケジュール帳に組み込みました。そして、緊急度の高い仕事や子育てについては「いかに時間をかけずにするか」を考えました。周囲に積極的に仕事を頼み、家事もできるだけ外部に協力を求めました。「周囲を頼ると迷惑がかかる」と考える人もいますが、協力態勢を敷くことで人間関係が密になりますし、ストレスが減ってコミュニケーションも円滑になります。この方法を始めてから、職場でも家庭でも、常に笑顔でいられるようになりました。

 こうして作った「自分の時間」も、もちろんふんだんにあるわけではありません。留学するにはTOEFLのスコアを上げなければなりませんから、その公式問題集を解くことが英語の勉強の中心。問題集を常に持ち歩き、少しでも暇があれば開いていました。

 子供たちが起き出す前や寝たあと、通勤中や食事の前後などはもちろん、エレベーター待ちの数10秒など、短いスキマ時間もすべて利用しました。

 30秒で問題文を読み、その後、また数10秒取れるチャンスが来たら選択肢を見て解答、というように、スキマ時間ごとに1ミリでも前に進もうとしていました。

 間違えた問題にはチェックをして、何周も繰り返して解き、チェックを減らしていく。最初はまるで解けませんでしたが、4周ほど繰り返した頃には、確実に変化してきたのを感じました。

 当時は「読む」「聴く」の勉強がほとんどで、「書く」「話す」の勉強はあまりしませんでした。海外で暮らす準備としては心もとないように思えるかもしれませんが、まずは目と耳を使って多くの英語をインプットすることを優先しました。そのプロセスを経ないと、アウトプットする力をつけようにも無理だと考えていたからです。

 実際、私の子供たちも海外生活の初期はまったく英語を話せませんでしたが、毎日英語に囲まれて過ごすうち、ある日突然しゃべり始めました。言語能力というものは「インプット→アウトプット」の順番で上達するものなのだと思います。

 

英語ができる自分を具体的に思い描く

 リスニングの勉強としては、英語の格言が入ったCDを繰り返し聴きました。気づきを促したり、励ましを与えたりする内容なので、聴く力だけでなく、やる気のアップにも役立ちました。

 このように、勉強と並行してモチベーションの維持を図ることも大切です。モチベーションを維持するには、達成感を得るための工夫が必要です。

 たとえば、私は一度に何冊もの問題集に取り組むのではなく、1冊に限定していました。同じ内容を何度も読んで「前よりスラスラと読めた」「できなかった問題ができた」という実感を得るほうが、達成感につながります。

 また、スケジュール帳に書き込んだタスクには、1つこなすごとに大きくチェックマークを入れました。これも達成感を味わうのが目的です。

 同時に、「今日頑張ったこと」を書く欄も設けていました。「留学準備がここまで進んだ」など、達成感を得たポイントを毎日必ず書き、自分を褒めるのを日課にしていたのです。

 周囲の人の存在も、モチベーションアップの強い味方になってくれます。私は、留学の意志を周囲の人にできるだけ話すようにしていました。こうしてあとに引けない状況を作り、「前に進むしかない」という気持ちを高めました。

 「留学中の自分」を具体的にイメージしたことも効果的でした。米国留学経験のある人に話を聞いたり、外国人が多く出席する会合に足を運んで会話をしたりしながら、「海外にいる自分」を想像していたのです。さらには、合格が決まる前から大学の寮にまで見学に行ってしまいました(笑)。

 目標としている自分になりきるという方法は、英語の勉強以外でも有効だと思います。会議で発言している自分、プレゼンしている自分などを具体的に想像してから、実際に話してみる。ときには海外の政治家のスピーチなどを見て真似てみる。リアリティを感じるまで、大きくイメージを広げることがポイントです。

 これは、自分が英語を使って「何をしたいのか」を考えることにもなるでしょう。グローバルな視点で情報を吸収したいのか、海外での事業展開に関わりたいのか、外国人の同僚や上司とスムーズに話したいのか。具体的なイメージを念頭に置きつつ学ぶことが、学習した英語を「使える英語」へと一歩進めることにつながります。

 私も、大学院で何を学びたいかを常に考えながら勉強していました。そのことは、実際に授業を受けるようになったときにも大いに役立ったと思います。

 一方で、留学して初めて気づいたこともあります。それは、英語を使ううえでは積極性が重要だということ。中国やインドから来た留学生は文脈に沿わない質問や間違った表現でもまったく気にせずにどんどんと発言し、その姿勢が周囲から高く評価されていました。積極的なコミュニケーションこそが語学力の重要な要素であることを実感しました。

 このように、使える英語を身につけるためには、「勉強」の枠を超えた考え方も必要です。英語をどう使いたいのかをイメージすること。そこで起こり得るシチュエーションを想像し、どうコミュニケーションを取るかをシミュレートすること。そして何より、積極性を忘れないこと。これらを心がければ、確実な進歩が得られることでしょう。

 


<掲載誌紹介>

THE21 2015年2月号2015年2月号

<読みどころ>『THE21』2月号は英語特集。「今年こそは絶対に英語を」と考えている方に向け、英語を学ぶ心構えから実践的な勉強法、その他トピックスまでいろいろな方にお話をうかがいました。正直、それぞれの方の勉強法は十人十色で、ときに正反対のことを言っていることもあります。でも、どの方法も、その方が英語を身につけた「正しい方法」。皆さんに合った方法を選んで、ぜひ実践してみてください。 

著者紹介

吉田穂波(よしだ・ほなみ)

医師・医学博士

医師・医学博士・公衆衛生学修士。神奈川県立保健福祉大学ヘルスイノベーションスクール設置準備担当教授。1998年より聖路加国際病院で臨床研修ののち、名古屋大学大学院で博士号取得。ドイツ、英国、日本での医療機関勤務を経て、2008年ハーバード公衆衛生大学院入学。卒業後、同大学院のリサーチ・フェローとなり、少子化研究に従事。東日本大震災では産婦人科医として妊産婦と乳幼児のケアを支援。17年より神奈川県技幹。「人生百歳時代」をどう生きるか、産官学、市町村等と連携し、社会人がヘルスケア分野とビジネス分野を学べる大学院「ヘルスイノベーション研究科(19年開校予定)」の立ち上げに携わる。

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