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[人事評価]会社はあなたの「ここ」を見ている

2015年04月09日 公開
2023年05月16日 更新

『THE21』編集部

 

<リサーチ>400人アンケート

評価する側とされる側の意識のズレはどこにある?

会社員にとって、昇進・昇給は大きな関心事。そのもとになる人事評価で高く評価されるためには、どこで努力をすればいいのか?
そこで、人事評価をされる側・する側、各206人に対して行なったアンケートの結果から、今の日本の人事評価の実態を見てみよう。

 各調査の結果を比べると、「人事評価をする立場」と「される立場」との意識のミスマッチは、やはり存在することがわかる。重視しているポイントにズレがあるのだ。このズレが、「評価される側の不満」や「評価する側のモヤモヤ」の原因の1つになっていると考えられる。

 

「成果が大事」は誰もが納得

 まずは、両方で高い位置につけている項目を見てみよう。それは「個人の成果」「個人のスキル・資格」だ。とくに「個人の成果」は、どちらでも約四割という高い割合を示した。日本に成果主義は馴染まないと言われるが、「成果が最も重要」という意識は広く共有されているようだ。納得感という点でも、「個人の成果」を最も重視する人事評価制度が高いという結果になっている。

 ただし、「成果さえ出していれば高評価」というわけではない。評価する側の3割以上が「他がいくら優れていても、執務態度が悪ければ評価は低い」と回答している。「成果を出しているんだから、何をしても自由じゃないか!」は通用しないのだ。もっとも、ここにはある程度、評価する側の主観が入らざるを得ないだろう。

 

「努力を評価」したいのに、伝わらない会社

 次に、評価する側は重視しているのに、評価されている側は重視されていないように感じている項目を見ると、「成果に向けての努力」「人間性」がある。「成果に向けての努力」は評価をしてほしい項目の上位でもある。ということは、努力を評価されていないと感じていることは、不満の大きな要因となっている可能性が高い。

 もう1つの「人間性」は、評価してもらいたいと思っている人がわずか四%ほどしかいないが、評価する側からは意外と重視されている。抽象的なものではあるが、多くの人が気づいていない評価項目だとすれば、周囲と差をつけやすいポイントなのかもしれない。

 

「ゴマすり」はもはや通用しない?

 では、逆に、評価する側が重視していないのに、評価される側は重視されているように感じている項目は何か? 「忠誠心」がそれに当たる。

 評価する側で「忠誠心」を重視すると答えた人がわずか0.5%である一方、評価される側で「忠誠心」が重視されていると感じているのは6.8だった。「その他」と答えた中にも、「部長が気に入るかどうか」「上の者に媚を売れるかどうか」「好き嫌い」という回答が見られた。

 もちろん、匿名の調査とはいえ、「私は忠誠心で人事評価をしています」と回答をすることに心理的な抵抗があったことで、このズレが生じた可能性も捨てきれないが、いわゆる「ゴマすり」だけで人事評価が高くなることは、想像よりも少ないのかもしれない。

《『THE21』2015年4月号より》

 

<掲載誌紹介>

THE21 2015年4月号 いつも評価が高い人VS.なぜか評価が低い人2015年4月号(いつも評価が高い人VS.なぜか評価が低い人)

<読みどころ>
組織に属する以上、誰もが気になるのが「評価」。 
人間が人間を評価する以上、そこには必ず「歪み」が生まれます。
ただ、それを放置することで、社員がモチベーションを下げてしまったり、間違った努力を繰り返してしまっては、会社・社員ともに不幸になります。
そこで今回、多くの識者への取材を通じ、「会社が評価する人」の条件を探り出してみました。
評価する側200人、評価される側200人への緊急アンケートを始め、一部上場著名企業から現役人事マン、コンサルタントなど様々な方から「今、評価される人材の条件」を徹底的に聞き出しています。
皆さんの「正しい努力」につながれば幸いです。

 

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