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これから10年、伸びる業界・沈む業界

2015年04月20日 公開
2023年05月16日 更新

池上浩一(野村ホールディングスシニア・コミュニケーションズ・オフィサー),渡邉正裕(ジャーナリスト/MyNewsJapan社長兼編集長)

「ジャパンプレミアム」を世界に売り込む

 世界の人口増加やアジアの時代という好機に、日本が乗るにはどうしたら良いのだろうか。

 「日本には、世界で勝負できる〝資源〟が豊富にある」と語るのは池上氏だ。

 「農業から工業まで世界最高水準と言える技術力、さらには世界中が驚愕するサービス力。日本にいるとあまり自覚しませんが、諸外国から見ると、それらは大きな付加価値があるのです。

 日本企業のモノづくりは負けたと思い込んでいる人が日本には多いのですが、日本電産、村田製作所やTDKなどの部品メーカーのシェアは世界を圧倒しています。さらに、和牛や日本酒などに代表される農畜産物や食文化、『おもてなし』と称されるきめ細かなサービス精神、こうした日本独特のコンテンツの素晴らしさは、外国人投資家の間でもしばしば話題にのぼります。伸びる業界を見極めるには、日本視点ではなく、世界から日本を見ることが重要となります。

 また、もう1つ重要なことは、1つの企業単体で考えないことです。『企業』『その業界』『その企業の活動する国・地域』、そして『世界の情勢』。この4点において未来予測をすると、伸びる業界、沈む業界が見えてくると思います」

 かたや、渡邉氏は「日本人のメリットを最大限に生かした仕事」の優位性を説く。

 「日本人のサービスやチームワークは強みです。日本人メリットが生かされる領域を『ジャパンプレミアム』と名づけました。住宅営業や保険セールス、日本料理人や旅館の女将、ホテルマンといった職種です。これらは日本人向けに培われたノウハウで、外国人には代替が難しいので、国内人口1億人を維持できる今後10年間は、ジャパンプレミアムの領域にいる人は食いつなぐことができます。

 しかしそれ以降、国内市場は目に見えて縮小しますから、永続的な安住の地ではない。今からIT、グローバル、高齢者のいずれかに強くなることで、『グローカル』や『無国籍ジャングル』への移行も可能です。この10年をいかに過ごすかが大切なのです」

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今後10年は新ビジネスに果敢に挑戦すべき時代 >

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