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<著者に聞く>今なぜ「ビジネスプランニング」が重要なのか?

2015年05月29日 公開

斉藤 剛(経営共創基盤(IGPI)パートナー)

会社の成長も生死も「事業計画」から始まる

「ビジネスプラン」(事業計画)というと、どうしても「無味乾燥なもの」「とりあえず数字を整えるだけのもの」などと考えがちな人も多いだろう。
だが、企業が一丸となって目標に到達するためには、「リアルな事業計画」が不可欠だと説くのが、冨山和彦氏率いる経営共創基盤(IGPI)だ。
好評の『リアル・ノウハウ』シリーズ第3弾として『ビジネスプランニングのリアル・ノウハウ』を発刊したIGPIの斉藤剛氏に、ビジネスプランの重要性及び本書の生まれた背景についてご寄稿いただいた。

 

ビジネスプランに対する「リテラシー」が不可欠な時代

4半世紀ほど経営に関わる仕事に携わっているが、昨今ほどビジネスプランに対する「リテラシー(≒対象となる事象を理解し、自ら再構成したり使いこなしたり能力)」の重要性が高まっている時はないような気がしている。

将来の事業の構想、事業戦略、事業計画を「策定する」リテラシー以外にも、外部のステークホルダーとして、ビジネスプランを「評価する」リテラシーが、ますます必要となってきているのではないだろうか。

理由のひとつとして、外部環境の変化が、よりダイナミックかつスピーディに、そして広範囲に影響を及ぼすようになってきていることが挙げられる。クラウド、IoT、AI、ビッグデータのようなIT系の技術進化、プロセッサー、メモリ、センサーやアクチュエータなどのコンポーネント技術の進化がもたらす産業的なインパクトは大きく、これからも測り知れないほどになるとの予測もある。

新興国の台頭がビジネスに与えるインパクトも大きい。アジア諸国はすでに生産拠点としてのグローバル競争を繰り広げているばかりか、中国をはじめとして、アジア地域は世界的な消費地になってきている。世界を相手にしている企業にとって、事業軸と機能軸のグローバル地域展開をどうすべきなのか、そしてそれらをどうやって組織化し経営していくか、という問いからは、もはや逃げることはできないのだ。

国内に目を転じてみても、多様な変化がみられる。人口減少や高齢化によって国内の需要の減少や質的変化が避けられない製品やサービス分野も多い。観光業に代表されるように外国人流入が増加することで、事業の機会とリスクが広がるビジネスもある。生産労働人口の減少と人件費の高騰によって、生産性を大きく向上させなければ持続できない産業もこれからどんどん増えてくる。

これらの外部環境の変化を素直に受け止めると、「過去から現在までの常識をベースに自社の将来を考えていては、会社の持続性すら保証されない」という事実にいつしか気がつかされる。自社のビジネスの方向性の大きな軌道修正や、ビジネスプランをゼロベースでレビューする重要性がこれまでになく増してきているのである。
 

誰もが「この会社は長期的に大丈夫か」を判断しなくてはならない

変化が激しい時代において、企業が持続的に事業と企業組織を発展させていくには、何をどうすればいいのだろうか?

まず、企業組織内に、高い変革と創造をしていく能力(自律的な新陳代謝の力)が求められる。新陳代謝の力と一言で言っても、その組織能力は多岐にわたるのだが、その原点となるのが、「ビジネスに対する見立て」である。事業の見立てについてのリテラシーが低いと、事業のかじ取りだけでなく、国内外のM&Aや売却・撤退を成功させることは難しい。

次に、外部との関係に目を移してみよう。さまざまな外部のステークホルダーの間で長期的に良好な関係を持ち続けるためにも、ビジネスプラン伝達の「リテラシー」は重要である。自社のプランと実際の活動を外部のステークホルダーにわかるように伝えないといけない。

また、外部のステークホルダーも、ビジネスプランに対する高い「リテラシー」を求められるようになる。スチュワードシップ・コード、コーポレートガバナンス・コード、JPX日経インデックス400などは、経営者だけでなく、金融機関や投資家にも、これまで以上にビジネスの本質に対する見識を求めるようになってくるはずだ。大手の金融機関が、貸出審査基準として担保や保証中心主義から脱却して、事業性を重視している動きも同様である。

個々人としてはどうだろうか? 中堅世代の転職や女性の出産後の復職が当たり前になりつつある中で、「この会社は長期的に見て、大丈夫なのだろうか?」と真剣に評価する機会が増えてくるのではないだろうか。

このように、どの社会人にとっても、ビジネスプランに対する「リテラシー」が大切な時代になってきているのである。
 

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