ホーム » THE21 » インタビュー » 国際営業の達人に聞く、グローバル市場で勝ち抜くための言葉とは?

国際営業の達人に聞く、グローバル市場で勝ち抜くための言葉とは?

2015年07月22日 公開

徳重 徹(Terra Motors[株]代表取締役社長)

 

挑戦を語ることで、自分の未来を買ってもらう

創業2年で国内の電動バイクのシェアトップを獲得し、アジア各国でもそのシェアを伸ばしているTerra Motors。成長著しいアジア市場で、自社製品を売り込むためにどのように話し、営業活動をしているのか。
自ら営業もこなす徳重徹社長にお話をうかがった。

 

アジアのリーダーを動かした言葉とは?

「一緒にこの国の産業を創っていきましょう!」

 これは、バングラデシュで合弁会社を立ち上げるための商談をしたとき、契約の決め言葉となったものです。相手はこの国におけるバイクのトップメーカー。弊社の主力商品である電動バイクを現地で製造販売するために話を進めてきたのですが、こちらが提案した出資比率に相手がなかなか納得せず、交渉は長引きつつありました。しかしこのひと言で、相手は合弁会社の設立を決心してくれたのです。

 アジアのリーダーたちは、自分の国の将来を真剣に考えています。たとえばバングラデシュは、今のところ国を支えるのは繊維産業だけです。しかし、私たちが進出して現地で電動バイクの組み立てをすれば、そこに新たな産業が生まれ、国の経済をさらに拡大することもできるかもしれない。自社の利益はさておき、自国の発展や未来を強く願う彼らの情熱は、まさに日本経済の礎を築いた戦後日本の経営者のよう。私の信念と情熱を込めて伝えた、偽りのないこの言葉が、彼らの持つ信念と情熱に響いたからこそ、私と一緒にビジネスをしようと決意してくれたのだと思います。

 

商品説明の前に、信念を語る

 テラモーターズは創業当時から、グローバル市場で勝負してきました。社長である私も自らアジア各国へ営業に飛び回り、これまでにベトナムやフィリピン、バングラデシュやインドなどで、電動バイクを現地で製造販売するための合弁会社や販売拠点を立ち上げてきました。

 そのとき、初めて会う方に私が必ず話すのが、自分の信念や想いです。営業される相手にしてみれば、私や私の会社が、新しくビジネスを始めるに当たって信用・信頼に値するのかを判断することが何より重要。ですから営業では、ビジネスプランの提案や自社商品の説明よりも先に、まずは自分がどんな考えを持ち、何を目指しているかを語るべきなのです。

 自分の信念を伝えるために、私はいつも二つのことを話しています。一つは、「私たちは日本発のメガベンチャーになります」ということ。私が本気で「日本からアップルやグーグルを越えるような世界トップクラスのメガベンチャーを創ります」と話すと、チャレンジ精神を高く評価する海外では、初対面でも敬意を払ってもらえるのです。

 自己紹介を兼ねて、自分がどんな挑戦をしてきたかを話すこともあります。「私は日本の大企業で働いていましたが、世界で活躍する起業家を目指して会社を退職し、アメリカに留学して、シリコンバレーのベンチャーで経営の経験を積みました」といったチャレンジのプロセスを話すと、相手に「一緒にビジネスをするのにふさわしい人間だ」と思ってもらえるようです。

 もう一つは、「クリーンで持続可能な社会を実現したい」ということ。いくら自分の情熱を語っても、一方的なものでは相手にとって意味がありません。私の情熱が、相手の利益につながると伝える必要があります。アジア各国では、経済成長と人口増加に伴いバイク利用者が増え、排気ガスによる大気汚染が悪化しています。各国のリーダーたちは、この問題を深刻に受け止めている。ですからこの話をすると、「環境に優しい電動バイクを広めたいという私の情熱は、あなたの国にも価値をもたらします」と伝わるのです。

次のページ
考え続けることで「質問力」は磨かれる >



著者紹介

徳重 徹(とくしげ・とおる)

Terra Motors[株]代表取締役社長

1970年、山口県生まれ。九州大学工学部卒業。住友海上火災保険[株](当時)にて商品企画や経営企画に従事した後、退社。自費留学でアメリカのサンダーバード国際経営大学院にてMBAを取得後、シリコンバレーでベンチャー企業の投資・ハンズオン支援を行なう。2010年、TerraMotors[株]設立。著書に、『「メイド・イン・ジャパン」逆襲の戦略』(PHP研究所)など。

THE21 購入

2019年12月号

The21 2019年12月号

発売日:2019年11月09日
価格(税込):700円

関連記事

編集部のおすすめ

トップ営業マン直伝! セールスの4つの手順

川田 修(プルデンシャル生命保険エグゼクティブ・ライフプランナー)

カリスマ経営者がやっている「全体思考法」とは

山本真司(コンサルタント)

ギリシャ人は「日本人並みに勤勉」!?

福田直子(コラムニスト)
DRAGON JAPAN 龍の日

アクセスランキング

  • Facebookでシェアする
  • Twitterでシェアする
DRAGON JAPAN 龍の日

話題のビジネス・スキルをやさしく解説するとともに、第一線で活躍しているビジネスパーソンの
プロのノウハウを紹介するなど、「いますぐ使える仕事術」が満載されています。