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「フィジカル・コンディション」はすべての仕事の基本となる

2015年08月19日 公開

安渕聖司(日本GE〔株〕代表取締役/GEキャピタル社長兼CEO)

朝食後に軽い運動。一日で8000歩歩く

30分かけてしっかり朝食をとったら、7時から軽い運動をするのが日課だ。

「私が実践しているのは、タバタ式トレーニング。これは“20秒運動したら、10秒休む”を1セットとして、8回繰り返すというものです。私は秒数と回数を知らせてくれる『タバタタイマー』というアプリを使っています。運動は腕立て伏せやスクワットなど、何でも構いません。非常にシンプルで手軽なトレーニングですが、実際にやってみると、20秒運動を続けるのはなかなかキツい。
これを朝に必ずやり、さらに一日のどこかでもう1回やって、毎日2回ずつ実践するよう心がけています。トータルで四分間しかかかりませんから、仕事の合間などに時間を見つけて行なうようにしています」

さらに、日中はできるだけ歩くことを心がける。

「私はいつも『UP24』というリストバンド型の計測器を身につけて、一日の歩数や睡眠の状態などをデータで記録しています。歩数については、平日は一日に8000歩、週末は10000歩が目標。それを達成するために、どこをどれくらい歩けばどの程度の歩数になるかを把握しています。
たとえば、仕事中にトイレに行くとき、同じフロアではなく一階上のトイレを使えば往復で300になる。自分がいる14階のフロアからビル2階のコンビニまで歩いて下りれば500歩になる。こうして大体の歩数を知っておけば、『今日は歩数が足りないから、コンビニまで歩こう』といった判断ができます。タクシーで帰宅するときは、少し手前で降りて歩く距離を伸ばすことも多いですね。
夕方頃になると必ず歩数をチェックして、このままだと目標に届きそうにないと思ったら、意識して歩数を増やすようにしています。このように“見える化”すると、目標を達成したいというモチベーションが生まれて、習慣化しやすくなるメリットがあります」

こうして規則正しい生活を送ることは、仕事の上でも想像以上に大きな効果を与えてくれると安渕氏は話す。

「規則正しい生活をすると、何が良いか。それは“予測可能になる”ということです。毎日同じリズムやパターンで生活していれば、ある日突然、体調が悪化するような事態に陥ることはありません。いつも同じリズムやパターンで生活していれば、仕事でも常に一定以上のパフォーマンスを発揮できるのです。
規則正しく生活するには、当然ながら仕事のスケジュールを上手に管理する必要が出てきます。私も1日単位で見れば、仕事が忙しくてどうしても就寝時間が遅くなってしまうことはあります。でもその場合は、1週間単位や1カ月単位でスケジュールを組み立てて、『この週は仕事で遅くなるから、翌週は夜の会食を入れないようにしよう』といった形でリカバーすればいいのです。
それに『自分のベストな状態をどこに持ってくるか』を考える上でも、中長期的な視点でスケジュールを組み立てることは重要です。『1カ月後に大事なプレゼンがある』といった場合、その日をベストなコンディションで迎えるには、今後一カ月の中でどのように体調を整えていくかを考える必要があります」

 

体調を管理すれば仕事でも好循環を生む

安渕氏のようにフィジカル・コンディションをうまくコントロールできるようになれば、自分の能力を伸ばし、成長させていくことにもつながる。

「フィジカル・コンディションを整えれば、自分のポテンシャルを最大限に引き出せます。体調が良いと、自信を持って人と会ったり、話したりできますよね。その人の持つエネルギーレベルが上がって、仕事でも存在感を発揮できるのです。
発想やアイデアも生まれやすくなります。脳も身体の一部ですから、体調が悪いと新しいことを考えるだけのパワーも生まれません。
また、体調が良いと、色々な場所に出かけたり、人に会ったりするのが億劫になりません。身体が疲れていると『今日は面白そうな講演があるけれど、だるいからやめておこう』となりがちですが、体調が良ければ積極的に活動できるので、そこで体験したことや会った人たちから新しいアイデアのヒントをたくさんもらえます。
そこから得たものを仕事に生かして成果を出せば、さらに自信が増して、より一層高いパフォーマンスを発揮できるようになるでしょう。こうした好循環を生み出せるのです」

とはいえ、体調管理が大事だとわかっていても、忙しさを理由に運動を怠ったり、食生活が乱れがちになっているビジネスパーソンは多いのが事実。だが年齢とともにその意識を変えていかなければ、健康に働き続けることが難しくなると安渕氏は指摘する。

「体調管理ができていないという人は、おそらく『そんなに気を使わなくても自分は大丈夫』と思っているのでしょう。私も30代までは同じように自分を過信していました。
しかし今は平均寿命が延びて、それとともに仕事の定年もどんどん延びています。これからは“70歳まで元気で働くための人生設計”を考えなくてはいけない時代になるのです。そうなれば、年齢が上がるとともに、体調管理が上手くならなくてはいけない。年齢とともに体力は衰えても、体調はむしろ良くなっていくような人生設計を描くことが求められるのです。
そのためには、食事や運動、睡眠などの生活習慣をコントロールし、健康寿命を伸ばすように意識を改める必要があるのではないでしょうか。
毎日の運動にしても、洗顔や歯磨きと同じように習慣化してしまえば無理なく続けられます。私も若い頃は、週2回ほどジムに通っていましたが、最近は軽い運動でもいいので毎日続けるほうが重要だと感じています。たまにジムに行っても、運動をさぼっていた数日間を取り戻すことはできないと気づいたからです。
毎日続けることは一番難しいけれど、一番効果がある。それが私の実感です。
忙しさを理由に、会社の健康診断さえ面倒だと思う人もいるようですが、フィジカル・コンディションの管理は最終的に自己責任です。体調管理を怠れば、そのつけは必ず自分に返ってきますし、体調管理をしっかりしていれば、それは自分にとって貴重な資産になる。つまり、“体調管理=資産管理”なのです。

自分の身体という資産を最大限に活用し、限られた人生の中で楽しく元気に暮らしていくためにも、自分にとって何がいいことで何が悪いことかをもう一度見つめ直して、ぜひ良い習慣を身につけてほしいと思います」

著者紹介

安渕聖司(やすぶち・せいじ)

日本GE代表取締役/GEキャピタル社長兼CEO

1979年、早稲田大学政治経済学部卒業後、三菱商事入社。90年ハーバード・ビジネススクールMBA修了。99年、米投資ファンド、リップルウッドの日本法人立ち上げに参画。2001年、UBS証券会社入社。投資銀行本部の運輸および民営化責任者として、多くの大型案件を手がける。06年、GEコマーシャル・ファイナンスにアジア地域事業開発担当副社長として入社。07年、GEコマーシャル・ファイナンス・ジャパン社長兼CEOに就任。09年、GEキャピタル社長兼CEOに就任し、日本の金融サービス事業全般を統括。

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