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健康管理の決め手は自律神経と腸内環境

2015年09月11日 公開

小林弘幸(順天堂大学医学部教授)

 

35~45歳の過ごし方が重要となる

体質変化の時期には個人差があるが、誰にも共通する「節目」もある。

「体力や体調の変化を考える際、30代・40代という区切り方をすることが一般的ですね。しかし本当は、『5のつく年』で区切ったほうがいいのです。
『30代に入っても元気でバリバリ働けている!』という人は珍しくありませんが、そうした人たちも35を過ぎると、次第に無理が利かなくなってきたのを感じるはず。なぜなら本当の曲がり角は35歳だからです。
同じく45歳も節目のタイミングです。さらに疲れが出やすくなり、メタボや生活習慣病に悩む人も増えてくるでしょう」

35歳から45歳という年齢は、いわゆる「働き盛り」の時期にもあたる。

「仕事上の責任ややりがいが増していく一方で、体力は低下していくのが難しいところです。
衰えをいかに食い止め、どのような働き方をしていくか――この10年のライフスタイルをどう構築するかがその後の人生を決める、と言っても過言ではないでしょう」

そのライフスタイルには、主に2種類あるという。

「35歳から45歳にピークを置いて全力投球するか、45歳以降にピークを置いて今は知識を高めたり人脈を築いたりする準備期間と捉えるか。どちらを選ぶべきかは、職種によっても違ってくるでしょう。
公務員や研究職、大企業の社員など、大きな組織に属する人は後ろにピークを置くケースが多数派です。しかしIT企業なら、30代の経営者も珍しくありません。目まぐるしく趨勢の変わる分野に身を置いているなら、早々と動く必要があります。
いずれの場合も、年とともに衰える身体を視野に入れ、負荷の少ない生活スタイルを確立することが必須です」

 

毎日の「振り返り」で生活の質が変わる

では、身体に負荷のかからない生活とはどのようなものだろうか。その答えは、1人ひとりの体質によって変わってくる。

「それを知るには自分の身体で確認するのが近道です。食事は腹八分目がいいのか七分目がいいのか。目覚めのよくなる睡眠量は6時間か、7時間か。だんだん様子がつかめてくると、ベストコンディションを維持できる独自のパターンを作れます」

体調の変化は常に続くので、一度作ったパターンも絶えず改良・改善することが欠かせない。そこで役立つのが、記録をとり、検証するというプロセスだ。

「朝の目覚め方、便通、運動量、食事、睡眠時間などなど、一日の行動を記録し、それが身体にどう影響したかを検証します。この繰り返しによって、不要もしくはデメリットのある行動は削られ、身体に良い習慣だけが続きます。それをつかんできた過程を目に見える形で残すことで、充実感や自信も湧いてくるでしょう」

記録は身体に関わることだけにとどめず、行動全般についても書くことが理想的だ。

「『健康な生活』とは、身体だけでなく、身の周りの整理・仕事の運び方・人とのつきあい方・感情のコントロールなどあらゆるものを含みます。これらが互いに連関することで本当に健康な毎日が送れるのです。
ですから一日の行動、とくに仕事上のミスについては毎日、振り返りましょう。『そんなの憂鬱だ』と感じる必要はありません。ミスこそが改善ポイントであり、成長のチャンスなのですから。楽しみながら書き出し、原因を分析して改善につなげましょう。
こうして生活全体を整え、無駄や悪癖を取り除いていくこと。その習慣が、働き盛りの毎日を支える基盤となるでしょう」

 

メンタルの充実もまずは身体から

身体の状態や日中の行動を記録して検証し、トータルに改善・向上させていく――という方法は、精神状態にも好影響を与える。

「身体とメンタルは深くつながっています。身体が不調なら心も不調に、身体が健康になれば心も健康になります。ここで注意すべきなのはこの「身体→心」の順番です。決して「心が不調だから身体が不調になる」のではありません。
失敗したり、逆境に苦しんだりしても、体調が整っていれば大丈夫。気力も保ち続けることができるはずです」

多くのビジネスマンがメンタルの問題を抱える昨今、その解決策として、もっと「体」に注目すべきだと強調する。

「メンタルトレーニングをするより、まずは大元である身体へのアプローチが得策。まず体力をつけて、行動の検証によって仕事のパフォーマンスを上げる。すると、心も力を取り戻すのです。『心技体』ならぬ『体技心』の順番で、心身ともに元気を取り戻しましょう」

著者紹介

小林弘幸(こばやし・ひろゆき)

順天堂大学医学部教授

1960年、埼玉県生まれ。92年、順天堂大学大学院医学研究科博士課程を修了後、ロンドン大学附属英国王立小児病院外科などの勤務を経て帰国。順天堂大学小児外科講師、助教授を歴任後、現職。自律神経研究の第一人者としてアスリートや芸能人のアドバイザーを務めるほか、TV出演などメディアでも活躍中。著書に、『なぜ、「これ」は健康にいいのか?』(サンマーク出版)、『一流の人をつくる整える習慣』(KADOKAWA)など多数。

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