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できる人が「方眼ノート」を使う理由

2015年08月12日 公開
2023年05月16日 更新

高橋政史(クリエイティブマネジメント代表取締役)

相手の発言は「語尾」までしっかり書き留める

では、具体的なノートの取り方を解説しましょう。

まず、商談や会議などに臨んだら、3分割のフレームの上に、見出しとして「商談や会議の論点」を書きます。そのうえで、お客様からの要望や参加者の発言などといった「事実」を書いていきましょう。

そのときに注意したいのは「正確に記入する」こと。そうしないと、間違った「解釈」を導く恐れがあります。

よくあるのが、「語尾をきちんと書いていない」こと。たとえば、「今月3日に送る」と書いてあっても、「3日に確実に送る」と「送れるかもしれない」では、まったく意味が違ってくるからです。

こうして事実を記入していく過程で、何か感じたり疑問に思ったりしたことがあれば、真ん中の「解釈」の枠に書き込みましょう。こうすれば、事実と自分の意見が明確に整理でき、思考がごちゃ混ぜになることを防げます。

そして、その解釈を踏まえて、次にすべきと思った行動があれば、一番右の「行動」の枠に書いていくのです。たとえば、「A社に、納期をズラせないか確認の電話を入れよう」「もう一度調査結果を調べよう」など。これを見直せば、すぐにアウトプットに移せるわけです。

 

フレームがあるから、ロジカルに考えられる

このとき、忘れずにしておきたいのは、「どの事実に関して解釈したことなのか」「どの解釈から導き出した行動なのか」を、矢印でつなぐこと。すると、「事実→解釈→行動」のロジックがつながります。

「なぜなら」「要するに」などの接続詞を、矢印の上に書いておくと、「なぜこの行動を取るのか」というロジックが明確になるでしょう。こうしてロジックを組み立てておけば、上司や部下にその行動の理由を論理的に説明できるようになるという効果もあります。

以上の作業は、その場で行なうのが最も効率的ですが、慣れないうちは難しいはず。最初のうちは、商談や会議中は「事実」だけ書いておき、終わったあとに「解釈」と「行動」を書けばOK。「解釈」「行動」をし忘れている場合は、枠が空白になっているので、あとから見たときにはっきりわかります。これが「フレーム」があることの大きなメリットです。

ちなみに、この3分割ノートのメソッドは、会議の進行にも使えます。ホワイトボードにこの枠を書き、参加者全員で、事実と解釈、行動を書いていくわけです。すると、ロジカルに物事を考えられますし、参加者の間で意思の疎通が図れます。時間配分も書けば、優秀なファシリテーターやタイムキーパーがいなくても、会議がスムーズに進むはずです。

以下、方眼ノートのより詳しい使い方をご説明します。

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「方眼ノート」の使い方 >

著者紹介

高橋政史(たかはし・まさふみ)

クリエイティブマネジメント(株)代表取締役

1967年、群馬県生まれ。メーカー勤務時代に3tトラック1台分の営業資料を畳4畳半ほどにスリム化。その後、香港のマーケティング会社のCOO(取締役)を経て、戦略系コンサルティングファームにて経営コンサルタントとなる。のべ2万人に「ノートの指導」を実施し、導入企業は200社を超える。また、教育委員会の要請で、学校教育の現場での先生・生徒への「ノート指導」も実施。「ノートスキルの指導」を行なう私塾には、ビジネスパーソン、経営者から医師や政治家まで、幅広い層が参加している。著書に『頭がいい人はなぜ、方眼ノートを使うのか?』(かんき出版)など。

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