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一瞬で本心を見抜ける?「微表情」とは何か



2015年08月26日 公開

清水建二(空気を読むを科学する研究所代表)

ほんの一瞬浮かんだ「軽蔑」のサイン

もし私があのとき、「では、よろしくお願いします」と引き下がってしまっていたら、おそらくこの企画は実現しなかったと思います。

そう、まさに私はこの瞬間、彼女の笑顔の奥の「微表情」に気が付いてしまったのです。

今一度、私が企画を説明し終えたときの担当者の表情を見てください。

彼女の表情は確かに、一見「笑顔」に見えます。しかし、よく見ると左側の唇の端が引き上げられているのがわかるかと思います。

この「左右どちらかの唇の端、口角が引き上がる」のは、人が「軽蔑」を感じるときの微表情なのです。「優越感」とも置き換えることができるでしょう。

企画内容を話し終えた際、ほんの一瞬ではありますが、この「軽蔑」の表情が彼女の顔に表われ、すぐに消え去ったのです。

彼女は私の企画内容に対して、「大したことないな」とか、「つめが甘い」「自分のアイディアのほうが優れている」などと感じているのだろう……そう、私は推定したのです。

 

感情を読み取れれば、それを「活用」すればいい

ただ、ここで諦める必要はありません。

相手の感情を読み取ることができれば、その感情を情報として活用し、相手のコミュニケーションの流れに乗ることもできるからです。

人はある感情が想起されると、その感情を「完結」させることに行動が向かいます。

たとえば「軽蔑」だと、「優越感を感じたい」「表明したい」という行動につながります。この「したい」行動が促されると、それを促してくれた相手に対して、むしろ好感を抱くようになるのです。

そこで私は、

「あの、他にどんなアイディアを取り入れたら、この企画は良くなると思われますか? お知恵を拝借させて頂けませんか」

と問うことで、相手の優越感を刺激したのです。

このとき私が、担当者の「軽蔑」表情を見過ごしたり、無視したりして、「いや~、気に入って頂けて良かったです。では、本企画実現をご検討下さい」などと、このまま帰ってしまっていたならば、この企画はボツになってしまった可能性が高いでしょう。

いかがでしたでしょうか? これが、微表情の「力」です。

他者の感情を読みとれるということは、単に感情そのものではなく、感情に込められている意図、モチベーション、個性、誠実さ、信憑性などを読みとることに通じます。

また感情は、悪意のある意図、隠蔽された情報、欺瞞などの存在も教えてくれます。

そんな、人間の感情の微妙な按配を示唆してくれるのがまさに、「微表情」なのです。



著者紹介

清水建二(しみず・けんじ)

〔株〕空気を読むを科学する研究所代表取締役

1982年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でコミュニケーションを学ぶ。学際情報学修士。日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。現在、官公庁や企業で研修・コンサルティングを行なう一方で、ニュースやバラエティ番組で政治家や芸能人の心理分析をしたり、テレビドラマの微表情監修をしたりと、メディアでの実績も多数。著書に、『0.2秒のホンネ 微表情を見抜く技術』(飛鳥新社)、『「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』(フォレスト出版)、『ビジネスに効く 表情のつくり方』(イースト・プレス)がある。

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