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“コミュ障”のアナウンサーが教える「困らない話し方」

2015年10月12日 公開

吉田尚記(ニッポン放送アナウンサー)

“話題”は必要ない。“質問”をすればいい

 

それでも実際問題として、「上司と一緒にいると話題がない」ということもあるだろう。あの気まずさに勝つために、ゲームの中でどんな戦術を取ればいいのか。

 

「会話するのに、話題なんてなくていい。必要なのは“質問”です。
よく話し方の本で、気候やニュース、健康などの『鉄板ネタ』を出せば、話が途切れないと書かれています。でも、本当でしょうか。
気候の話題を出して『暑いですね』と言っても、相手の反応が『はあ……』なら話はそこで終わってしまう。

もし気候を使うなら、質問にすればいいのです。

『毎日暑いですけど、昨夜は眠れました?』

これなら相手もだいぶ答えやすい。それで『眠れませんでした』と返ってきたら、『眠れないときはどうするんですか?』とまた質問をする。

『仕方ないからベッドから出ちゃいますね』

『出てどうするんですか?』

『キッチンへ行って冷たいものでも飲みます』

『へえ、何を飲むんですか?』

 ……という具合です。僕は質問しかしていません。それでも会話は続くし、自分も相手も精神的にすごくラクです。

 質問は具体的であるほど、相手が答えやすくなります。『THE21』の記者さんも、『取材とはなんでしょうか?』などと聞かれても困るでしょう。
これが『これまでに取材した中で面白かった人は?』なら答えやすい。でも、もっと具体的に『僕の前に取材した人は誰でしたか?』と質問されたほうが、パッと答えられる。
〝質問はできるだけ具体的に〟というのは、会話を続けるテクニックとして知っておくといいですよ」

 

しかし、コミュニケーションが苦手な人にとっては、「具体的な質問をする」ということ自体が難しく感じられるかもしれない。吉田氏も、「上手な質問をするには、多少の練習が必要です」と認める。

「でも、『コミュニケーションは練習のしようがある』と思えただけでも、気がラクになりませんか? コミュニケーションは技術ですから、持って生まれたセンスや才能に関係なく、練習すれば誰でも必ず上達します。
ただし、そのためには、多くの人にとってストレスになる二つのポイントだけは乗り越えなくてはいけません。一つめは、自分から話しかける勇気。二つ目は、自分についてネガティブなことを言われても許す寛容さです。

とくに二つ目は、非常に重要。たとえ上司が部下に弱点や欠点を突っ込まれても許す。むしろラッキーだと喜んでください。
本人がそれを良しとすれば、周囲が『この人はツッコんでいいんだ』と合意して、皆が気楽に話しかけてくれるようになりますし、場の雰囲気を楽しくできます。 何より、自分がラクになる。
『部下から尊敬されたい』と思うと、弱点を指摘されたときに『自分は尊敬されていないんだ』と心が折れてしまう。でも“自分をあえて低く設定する”という戦術を取れば、そこにパスが飛んで来たらラッキーと思えるようになります。
少なくとも『これで周囲の人を楽しませることができた』と思えば、心も軽くなるはずです」

 

日々の会話を「練習台」にしてしまおう

そして吉田氏は「会話するとき、『自分を理解してほしい』とは考えないほうがいい」と話す。

「コミュニケーションは、自己主張でも自己表現でもありません。結局コミュニケーションの目的は、『人と仲良くしたい』ということに尽きると思う。
相手を言い負かして優位に立つことでもなく、自分を理解させることでもなく、ただその時間を楽しく過ごしたい。誰にとっても、そこが最終目的地じゃないでしょうか。

 だったらまずは、質問から始めてほしい。苦手な上司と二人きりになったとき、『そのネクタイ、どこで買ったんですか?』と話しかける勇気を持ってほしいんです。
コミュニケーションというゲームは、サッカーや野球と違い、日常に練習の場が無数にある。少しだけ勇気を出し、練習を重ねれば、コミュニケーションが怖くなくなるときがきっと来るはずです」

 

《『THE21』2015年10月号より》



著者紹介

吉田尚記(よしだ・ひさのり)

ニッポン放送アナウンサー

1975年、東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒。99年、ニッポン放送入社。2012年、第49回ギャラクシー賞DJパーソナリティ賞を受賞。『オールナイトニッポン』を始め、『ミュ~コミ+プラス』や『アフロの変』 (フジテレビ)などの人気番組を担当。マンガ、アニメ、アイドル、デジタル関係に精通し、常に情報を発信し続けている。著書に、『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』(太田出版)などがある。

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