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問題の9割は「思考の仕分け」で解決できる!

2015年09月19日 公開
2023年05月16日 更新

鈴木進介(経営コンサルタント)

 

「セパレート思考」で決断のスピードが2倍に!

あるクライアントの人材派遣会社社長は、大変な戦略家です。ただ、選択肢はいろいろと思いつくものの、判断するときにいつも立ち止まってしまうという悩みを持っていました。あの情報もこの情報も、プランAもプランBも、頭の中で錯綜して、収拾がつかないというのです。考え出すと、どれも正しそうに思えてくるとも言います。

そこでセパレート思考を使って整理しました。『すぐできるもの』と『すぐできないもの』、『コストがかかるもの』と『コストがかからないもの』など、メモに書き出しながら選択肢を仕分けするだけです。これを社長自らが習慣化するようになってからは、適切な経営判断までのスピードが2倍になったと言います。

また、小学生の子供を持ち、仕事はフリーでコーチングをしている兼業主婦の女性は、子育てに仕事にと毎日忙しい日々。全てに全力を出して頑張らないとダメという意識が強く、頭が混乱して疲労困憊の様子でした。

そんな時、仕事や家事の項目を棚卸し、1つずつ仕分けしていったといいます。『100%全力でやるもの』と『60%の完成度にして残りは他人に手伝ってもらうもの』の仕分けです。これにより、優先順位を上手につけ、心身ともに疲れ切っていた毎日から解放されたと喜びの声を聞かせてもらいました。

 

問題に突き当たったら、まずは「ザックリ」仕分けする

「部下の教育を頑張ってもなかなか言うことを聴いてくれないし、なかなか変わってくれないけどどうしよう……」と頭を混乱させたまま嘆いている部長さんがいました。ここで『変えられるもの』と『変えられないもの』に仕分けすることで、上手に指導ができるようになったと言います。いくら口で言っても他人を変えるのは難しい。他人を変えられるものは何があるか、他人ではなく自分が変わったほうがいいものは何があるか。こうして仕分けをすることで、部下の教育という難題を乗り切っていきました。

問題が発生した時、何かに行き詰った時、どうしても悲観的なことは頭の中で妄想として膨らんでいき、こう着状態に陥ります。頭の中をシンプルにすることが大事とわかっていても、何から手を付ければ良いのかわかりません。セパレート思考を使って問題を仕分けするだけで「今どこに集中すべきなのか」「本質は何なのか」が瞬時に見えてきます。

これは、決断スピードを高め、問題の処理速度をも速めてくれます。細かいことを考え過ぎたり、ロジックツリーで複雑な図解の整理をしなくても、まずは気軽に物事をザックリと仕分けするだけでいいのです。細かい問題解決のテクニックやノウハウを知っていても、仕分けができなければ、問題の「解決」に行きつきません。逆を言えば、仕分けさえできれば、問題の9割は解決できたも同然なのです。

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著者紹介

鈴木進介(すずき・しんすけ)

経営コンサルタント、(株)コンパス代表

“思考の整理家”という肩書を持つ経営コンサルタントで株式会社コンパス代表取締役。 1974年生まれ、大阪出身。25歳で起業後、「金無し、ノウハウ無し、人脈無し、経歴なし」の中、鳴かず飛ばずの状態が続くも、その後、「思考を整理すれば、問題の9割が解決している」ことに気づく。以来、思考の整理術に開眼し、10年以上にわたり研究を独自に重ねて体系化。難しい問題をやさしく解きほぐす「セパレート思考」を講演などで伝授し、累計で1万人が受講した他、支援先は100社以上になる。著書に『1分で頭の中を片づける技術』(あさ出版)や『問題解決のためのセパレート思考』(フォレスト出版)などがある。

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