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取締役になったらドラッカーを読むべき理由

2015年09月24日 公開
2023年05月16日 更新

山下淳一郎(トップマネジメント代表取締役)

「使命」は決して、きれいごとではない

この問いのうち第一のものは「われわれの使命は何か」です。使命とは、「会社をこう良くしたいという自分たちの都合」ではなく「社会をこう良くしたいという内面から込み上げるエネルギー」であり、社会のお役に立てる具体的な何かです。

こういうと、「厳しい世の中、そんな綺麗ごと言ってられないぞ」とお叱りを受けそうです。もちろん、売上や利益は会社が生きていくためになくてはならないものです。しかし売上や利益は事業の目的ではありません。ドラッカーはこう言っています。「組織に働く者は、組織の使命が社会において重要であり、他のあらゆるものの基盤であるとの信念をもたなければならない。この信念がなければ、いかなる組織といえども、自信と誇りを失い、成果を上げる能力を失う」。

使命が会社で共有されていなければ、会社で働く一人ひとりの力は発揮されず、会社は成果をあげられなくなってしまいます。たとえばファーストリテイリングの柳井会長も、著書『経営者になるためのノート』(PHP研究所)の中で、「経営者とは成果をあげる人であり、一番大事なことは社会における自分たちの存在意義、つまり、使命を考えること」だと言っています。

経営者の方、あるいはこれから経営者を目指す方は、ぜひこの「ドラッカーの5つの質問」を胸に、使命を確立され、さらなる繁栄を目指していってほしいと思います。

著者紹介

山下淳一郎(やました・じゅんいちろう)

トップマネジメント〔株〕代表取締役

ドラッカー専門のマネジメントコンサルタント。東京都渋谷区出身。外資系コンサルティング会社勤務時、企業向けにドラッカー理論を実践する支援を行なう。中小企業役員と上場企業役員を経て、ドラッカーの理論に基づく経営チームのコンサルティングを行なうトップマネジメント〔株〕を設立。現在は、上場企業に「後継者育成のためのドラッカーの役員研修」「経営チーム向けのドラッカーのトップマネジメントチームプログラム」「管理職向けのドラッカーのマネジメント研修」を行なっている。著書に『日本に来たドラッカー 初来日編』『新版 ドラッカーが教える最強の経営チームのつくり方』(ともに同友館)、『ドラッカー5つの質問』(あさ出版)などがある。

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