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徹底的にモノを厳選する「持たない」整理術

2015年11月24日 公開
2023年03月31日 更新

安藤美冬(〔株〕スプリー代表取締役社長/「自分をつくる学校」学長)

モノを選ぶことは決断力を磨く訓練にもなる

出版社勤務を経て独立起業し、さまざまな仕事を手がける安藤美冬氏は、1年の半分近くを海外出張で過ごすほど、移動の機会が多い。しかし、2週間程度の出張でも、機内持ち込みのできるサイズのキャリーケースしか使わないくらいに、持ち物を厳選しているという。また、家にもモノが少なく、机の上にも何もないそうだ。どうしたら、そこまでモノを厳選できるのだろうか?<取材・構成=林 加愛、写真撮影=長谷川博一>

 

2週間の長期出張も小型キャリーケースで

ソーシャルメディアを使った情報発信を基点に、商品企画やコラム執筆、大学講師等多彩な活動を展開する安藤美冬氏。移動の多い生活だが、スムーズに仕事をするための第一条件として「持ちものの厳選」を挙げる。

「今、私の仕事の50%は海外出張、15%は地方出張と、移動がつきものです。となると、持ち物の絞り込みはやはり不可欠。身軽にしておかないと機動力が下がりますから」

2~3泊の国内出張なら、荷物は大きめのトートバッグのみ。海外出張は2週間程度になることが多いが、その際に使うキャリーケースも非常にコンパクトだ。

「リモワのサルサエアーという超軽量のものを使っています。容量は30リットルで、機内持ち込み可能なサイズ。衣類のかさばる真冬以外は、ここに収まる持ち物で二週間過ごします」

通常、1週間以上の旅行なら多くの人が70~80リットルのキャリーケースを選択するだろう。この半分以下に荷物をまとめるコツは何だろうか。

「一つは書類のペーパーレス化です。書類は画面上で確認し、出張先へ配布する資料も事前にメールで送っておきます」

パソコンやスマートフォン等の機器は必需品となるが、ここでも不要な品は増やさない。

「普段からポケットWi-Fiを使わずテザリングを利用することで、品数を少なくしています。また、スマートフォンはSIMフリーのものを使い、海外ではSIMカードを購入して入れ替えます。この方法なら世界中どこでも使用可能。いちいち持参せずに現地で買うことが大事なポイントですね」

かさばりがちな衣類に関しても、現地調達と省スペースの知恵を活用する。

「最低限の衣類だけを用意して、それ以外は現地で買い、現地で処分して帰国します。持参する服も圧縮袋で縮めてたためば場所をとりません。スーツ着用が必要な方でも、『シャワーをかけて一晩干すとシワが取れる』といった機能つきのものを活用すれば、十分に可能な方法です」

 

「整理」する前に不要なものは捨てる

出張以外の場面でも、持ち物を厳選することは欠かせない。

「もともと私はさほど整理熱心ではなく、デスク周りのグッズの定位置も厳格には決めていません。それでも必要なものはすぐに取り出せます。そ
れはやはり、持ち物を絞り込んでいるからです。整理の前段階として、まずは厳選に重点を置くことが大切だと思います」

この観点に基づくと、「捨てる」ということが重要なキーワードになってくる。

「たとえば名刺。今の時代、連絡にはメールを利用することが多いでしょう。私は名刺交換をしたら、その日中に御礼かたがた先方のフェイスブックにメッセージを入れるか、メールを送ります。相手からのメールには署名が入っていますから、『連絡先を確認するツール』としての名刺は不要。処分しても支障はないのです。
名刺を一応取っておきたいという場合でも、デジタル化すれば紙で保存する必要はありません。名刺管理アプリを使ってもいいでしょうし、写真を撮ってドロップボックスに入れるだけならもっと簡単です」

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「いつか使うかも」というものは捨てる >

著者紹介

安藤美冬(あんどう・みふゆ)

株式会社スプリー代表

1980年生まれ。慶應義塾大学卒業後、㈱集英社を経て独立。『大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ』オフィシャルサポーター、講談社『ミスiD(アイドル)』選考委員、雑誌『DRESS』の『女の内閣』働き方担当相などを務めるほか、大学講師、コラムニスト、コメンテーターとしても活躍。著書に、『冒険に出よう』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。

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