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効率が格段にアップする! 「トヨタ流」整理・整頓術

2015年10月28日 公開
2023年05月16日 更新

〔株〕OJTソリューションズ

[トヨタの整頓]
「必要なモノ」を「必要なとき」「必要なだけ」取り出せるようにする

 

1 「使用頻度」で置き場を決める

 ムダをなくし、効率を上げるための整頓のポイントは、「使用頻度」で置き場を決めることだ。

 デスクでの作業で言えば、たとえば書類や文房具を取りに行くときに、わざわざ立ち上がったり、腰を曲げたり振り向いたりすると、それだけ多くのムダが生まれる。頻繁に使うモノほど、極力、こうしたムダを生まない、手が届きやすい場所に置くことが、作業の効率アップにつながる。

 トヨタの工場の作業者の場合は、よく使う部品や工具はワキを空けずに手に取れるところに置いている。そうすることで、身体への負担も軽くしている。

 

2 「定位置」を決めて掲示する

 不特定多数の人が使うモノは、定位置を決め、使ったあとは必ずそこに戻すことが必要不可欠だ。

 定位置を決めるときにトヨタでよく使われるのが「所番地を決める」こと。たとえば、オフィス全体のレイアウト図にタテとヨコに均一に線を引き、タテには左から1丁目、2丁目……、ヨコには上から1番地、2番地……、と振っていけば、「コピー機は1丁目1番地にある」などと、モノの所在地が明確になるわけだ。モノを置く定位置をこの所番地で示して、目につく場所に掲示しておけば、どこに何があるかがわかりやすい。

 収納棚や本棚についても、どこに何が入っているかを書いた図を作って、その場に掲示するとよい。ファイルも、どんな書類を綴じてあるかを背に書いておく。「見よう」としなくても「見える」ように定位置を掲示しておくことが、意識づけのためには欠かせない。

本棚には、どこにどういうジャンルの本が置いてあるかを図で示した「マップ図」を置く。これにより、読みたい本が探しやすくなり、戻すときも置き場に迷うことがなくなる。

 

3 「区画線」を引いて定位置を守る

 定位置が守られない場合は、定位置をはっきりと示すために、区画線を引くことが有効だ。たとえば、台車を使わないときに置いておく定位置を、床にテープを貼るなどして、線で囲ってしまう。すると、その線からはみ出していると気になって、きちんと定位置に戻すようになるものだ。

床にテープで「区画線」を引くことで、その中にモノをきちんと置く意識づけができる。

 ゴミ箱なども、定位置にテープで×印などを作って貼っておくと、あちらこちらに動かされにくい。自分のデスクの上に区画線を引いて、作業スペースを確保するというのも1つのアイデアだ。

 共有のモノの置き場も、区画線を引けば、「戻す場所がわからなかったから戻さなかった」ということがなくなる。さらに、「大型ホッチキス」「2穴パンチ」などと書いたテープを貼っておき、その上にそのモノを置くようにすれば、定位置もわかるし、使われているモノが何かもひと目でわかる。

共有のモノの定位置には、そこに置くべきモノの名前を書いたテープを貼っておく。こうすると、何が使用中なのかもわかる。

 

「清掃・清潔・しつけ」は片づいた状態の維持のため

 5Sのうち、整理・整頓に続くのが「清掃」「清潔」「しつけ」だ。これらは、整理・整頓によって片づいた状態を維持するための活動だと言える。

 まず、「清掃」をして身の周りをキレイに保つことで、整理・整頓のモチベーションが低下しないようにする。また、清掃をすることで提出し忘れた書類や処理していない仕事が見つかることもあり、「点検」にもなる。

 次の「清潔」は、整理・整頓・清掃がきちんとされているかをチェックする活動。

 そして、最後の「しつけ」は、整理・整頓・清掃・清潔が職場全体で徹底されるようにすること。リーダーが「やれ!」と言うだけでは、現場に定着しない。目的を理解してもらい、実際に効果を実感してもらうこと。さらに、整理・整頓の創意工夫をした社員になんらかのかたちで報いるなどの工夫が必要だ。

 トヨタ流の整理・整頓は、オフィスワーカーでも、管理職でなくても、日々の仕事に活かせる。一部でも取り組んでみて、仕事の効率アップを感じていただきたい。

著者紹介

〔株〕OJTソリューションズ(オージェイティー・ソリューションズ)

元トヨタマンがトレーナーとなり、トヨタで培った考え方やノウハウを多くの会社に指導しているコンサルティング会社。

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