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エシカルであることは当然のこと。そのうえで、選ばれるブランドに

2015年11月25日 公開
2016年04月06日 更新

白木夏子(HASUNA代表)

 

 

デザインと品質で勝負するブランドへの脱皮

 ――ビジネスである以上、売上げを上げることも重要です。利益が出なければ、素材の生産者の生活を支えることもできません。販売の面では、どのような戦略を取っていらっしゃるのでしょうか?

白木 創業してから最初の3年間は、まだ「エシカル」という言葉が日本で知られていませんでした。そのため「エシカル」というコンセプトが珍しく、さまざまなメディアで「エシカルジュエリー」ということで取り上げていただきました。けれども、今では「エシカル」という言葉が日本でも広がりつつあり、とくにファッション業界では誰でも知っている言葉になりました。今現在では「ジュエリーブランドHASUNA」としてブランディングしなければ事業の成長はないと認識し、ラグジュアリーブランドとしていかに成長していくかを考えた戦略を取っています。当社にとっては、エシカリティ(倫理性)を意識して素材調達、製造をすることは空気のように当たり前のことだと捉えているので、「そのうえで、どうするか?」が重要になっているのです。

 今、アピールしているのは「モノとしての良さ」。具体的には、デザイン、品質、世界観です。

 ――どういう世界観を、どういうデザインで表現しているのでしょう?

白木 ジュエリーの素材は、石にしても、金やプラチナなどの金属にしても、長い長い時間をかけて私たちの手元に届いた、まさに地球の一部です。さらに、時間的な広がりだけでなく、空間的な広がりも持っています。高い山から採れる素材もありますし、宇宙に由来すると言われている素材さえあります。その壮大なスケール感、人間の手が届かない世界を小さな彫刻として表現するのが、HASUNAのジュエリーデザインの根本にあるものです。

 たとえば、HASUNAのジュエリーは自然の造形美を思わせるようなデザインをしています。地球へのリスペクトを表わすため、自然を彷彿とさせるようなデザインを心がけているのです。直線よりも曲線を多く使用し、表面加工も自然な光沢に抑えています。

 

 

著者紹介

白木夏子(しらき・なつこ)

〔株〕HASUNA代表取締役

1981年、鹿児島県生まれ。愛知県育ち。2002年からロンドン大学キングスカレッジにて発展途上国の開発について学ぶ。卒業後、国連人口基金ベトナム・ハノイ事務所とアジア開発銀行研究所でインターンを経験し、投資ファンド事業会社勤務を経て、09年4月に〔株〕HASUNAを設立。人と社会、自然環境に配慮したジュエリーブランド事業を展開。11年、世界経済フォーラム(ダボス会議)が選ぶ日本の若手リーダー30人に選出。13年、世界経済フォーラム年次総会に出席。

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