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イノベーターの条件は「ヨソ者」「バカ者」「若者」?

2015年11月23日 公開
2023年05月16日 更新

井上 功(リクルートマネジメントソリューションズ エグゼクティブプランナー)

目的志向を磨く

イノベーターの思考の特徴について考えてみましょう。イノベーターはこう言います。「我々はどんな新しい価値を創出するのか?」「いったい、誰の役に立ちたいのか?」「自分でなければだめなのか?」……。イノベーターはこのような明確な目的意識を持っています。我々は何のために日々仕事をしているのか、誰の役に立っているのか。極端にいえば何のために生きているのか、ということを、イノベーターは真剣に考えているのです。

 

「不」で考える

「不」とは何でしょうか?「不」とは、不便・不安・不満・不足・不利・不快・不足・不当・不自由・不具合・不潔等のお困りごとです。仕事や事業を「不」の解決・解消と捉えたとき、不を手触り感もって捉えることが必要です。

そのためには、「不」の対象に入り込まないといけない。仮説を基にじっくりと対話し、観察し、プロトタイプを試して貰い、どんな経験をしたいか問い続けます。これは一体誰の「不」か?大きさは?重さは?生じる背景・構造は?

このような「不」の手触り感やリアリティを獲得し、背景や構造を理解・共有し、組織の資源を活用し、解決に向けて動くことがイノベーターの仕事のやり方です。

 

周囲を巻き込む

イノベーションは大きな社会変革もあれば、小さな仕事の工夫・進化も含まれます。共通するのは推進に何らかの資源が必要なことです。そのためには周囲を巻き込むことが必須です。

「更に詳しい聞き取りをする必要があります。あと半年継続させてください」

「プロトタイプをつくるのに500万円かかります。是非、僕に投資してください」

「現在のミッションの半分を、この計画に使わせてください」

気迫のこもった関係者の巻き込みが、イノベーティブに仕事をするには必要不可欠なのです。

 

絶対に諦めず、最後は根負けさせる

そして、最後は根負けさせる。しつこさが重要です。諦めず、何度も関係者に提案する。手を変え、品を変え、トークを変え、新たな「不」を持ち込み、徹底的に口説き回る。「お前はしつこいな。わかった。やらせてやるから、暫く顔を見せるな」という言質を引き出せたら成功です。新しい世界が拓けます。

しつこさがイノベーティブな仕事には必要なのです。あなたの提案は何回却下されましたか?1回2回断られるのは当たり前。そこで諦めるようではイノベーターとはいえません。それは想いに比例します。想いとは執念であり情念です。関係者を道連れに心中するくらいのどろどろとした情念がイノベーターには必要なのです。

皆さんも、「ヨソ者」「バカ者」「若者」になってイノベーティブに仕事をし、自ら変化を創りだしてみませんか。

著者紹介

井上 功(いのうえ・こう)

リクルートマネジメントソリューションズ エグゼクティブプランナー

1986年リクルート入社、企業の採用支援、組織活性化業務に従事。2001年、HCソリューショングループの立ち上げを実施。以来11年間、リクルートで人と組織の領域のコンサルティングに携わる。2012年より現職。イノベーション支援領域では、イノベーション人材の可視化、人材開発、組織開発、経営指標づくり、組織文化の可視化等に取り組む。
著書『リクルートの現場力』『なぜエリート社員がリーダーになると、イノベーションは失敗するのか』(ダイヤモンド社)。

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