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優秀な人を「やめさせない」人事評価制度とは?



2015年12月21日 公開

山元浩二(日本人事経営研究室代表取締役)

「経営計画発表会」で社員全員に理解と共感を求めよう

ビジョン実現シートを作成したら、ステップ2は「評価制度をつくる」です。

一つずつビジョン実現シートをつくり込んできた人からすれば、ようやくという気持ちでいっぱいだと思いますが、焦りは禁物です。「急がば回れ」ではないですが、評価制度づくりを行なう前に必ずやってほしいことがあります。それが「経営計画発表会」です。

人事評価制度を作成する目的や会社の考え方、方針を全社員と共有する場をつくることで、理解と共感をしてもらうのです。社長や幹部の思いをきちんと伝えられるかどうかが、ステップ3「人事評価制度を運用する」に大きく関係してくるので、必ず全社員参加で行ないましょう。

「経営計画発表会」を終えたあとは、評価基準づくりの参考となるデータ集めです。

「社員一人ひとりの担当業務の内容や比重、課題」と「本来やるべきだが取り組めていない仕事」をシートにまとめます。このシートづくりを社員にお願いすることで、社員が自分事として人事評価制度づくりに関わるようになり、社員自身が仕事の課題を把握することにもなります。

シートを回収したらいよいよ評価制度づくりです。

まずは評価基準のフレームに必要な「グレード・レベル」を作成します。「グレード」とは、社員の育成ステップの数です。新入社員が管理職になるにはどのようなステップを踏むべきか、最初は3つのステージに分けて考えるといいでしょう。「Sステージ(スタッフ)……役職がない社員」「Lステージ(リーダー)……主任・係長クラス」「Mステージ(マネジメント)……課長・部長級以上の管理職」。一般的に社員数50人以下であれば、S1~S3、L1~L2、M1~M2などと7段階で十分対応できます。それ以上の場合は7~9段階の間にしましょう。

 

評価項目は4つの区分で考える

グレードが決まったら、次は「仕事のレベル」を決めます。たとえば、「S1」は入社間もない新入社員として指導やアドバイスが必要なレベル。「S3」は中堅社員としてイレギュラーな対応や課題、改善の解決、提案ができるレベルなどと、S~Lまでそれぞれのレベルを設定します。

グレードとレベルを作成したら、今度は「評価項目」の作成です。

評価項目は「業績項目」「成果項目」「能力項目」「情意項目」という4つの区分に分けます。

たとえば、「経営理念の理解と実践」という評価項目は、会社が求める重要な役割として「成果項目」に分類します。これをS1は「経営理念を暗唱できていた」、S2は「理念にそった行動が取れていた」、L2は「部下に対して事例をあげながら指導できていた」、M1は「部署全員が実践できていた」とグレードに応じて分けるのです。

評価項目を作成したら、最後に評価項目ごとに点数配分を決めます(「=評価ウェイト配分」)。評価結果は最終的に点数化して判断します。「評価ウェイト配分」は部署や職種によって差をつけたり、会社が戦略的に重視する項目に大きくウェイトを振っていくことで配分を調整します。

たとえば、製造業で、商品に対する改善案を社員に強く求めたい場合は「改善提案」のウェイトを高くする。飲食・サービス業で、クレーム対応に関するサービスの質を向上させたい場合は「クレーム対応」のウェイトを高くするといいでしょう。

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著者紹介

山元浩二(やまもと・こうじ)

日本人事経営研究室代表取締役

1966 年、福岡県生まれ。10 年間を費やし、1000 社以上の人事制度を研究。理念とビジョンを実現するための人材を育成する「ビジョン実現型経営計画」を開発、独自の理論をコンサルティングで展開する。「経営計画」と「人事評価制度」の設計・導入から運用まで支援するスタイルが特徴で、社員の納得度が9 割を超えるなど、経営者と社員双方の満足度が極めて高いコンサルティングを実現。その驚異的な運用実績が評判を呼び、人材育成や組織づくりに悩む中小企業からオファーが殺到、530社超のコンサルティング導入実績を誇る。
著書に、『小さな会社の〈人を育てる〉賃金制度のつくり方 「やる気のある社員」が辞めない給与・賞与の決め方・変え方』、『なぜか女性が辞めない 小さな会社の人事評価の仕組み』どがある。

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