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中学生レベルの英語でも使えば世界はどんどん広がる

2016年01月09日 公開
2023年05月16日 更新

松本大(マネックス証券代表取締役社長CEO)

 

カタカナ英語同士で話すことで自信がつく

「英語が話せる人」になるための第一歩は、「自分はどんな仕事をしているのか」「今日何をしたのか」を英語で説明できるようになることだと思います。私はその練習と実践を繰り返し行なってきたことで、英語力が向上していきました。

 ポイントは、上手に話そうとしないことです。「きれいな発音で」とか「正しい文法で」などと考えていると、話せなくなってしまいます。カタカナ英語でも、文法を多少間違えても、LとRの区別があいまいでも、臆せずに話しましょう。

 すると、だんだん英語に慣れてきて、表現が頭に浮かぶようになります。カタカナ英語でも通じることがわかれば、自信もつくでしょう。実際、カタカナ英語でも意外と通じてしまうものなのです。

 説明の練習をする相手は外国人がベストですが、英会話学校などに行く時間がないとなると、なかなか見つからないでしょう。それなら日本人でもかまいません。

 こんな自分の経験をもとに、社員にも壁を破ってもらおうと、昨年(2014年)、「カタカナ英語ナイト」という社内イベントを6回ほど行ないました。カタカナ英語しかできない日本人社員が集まり、カタカナ英語だけで会話をするという飲み会です。英語が上手な社員が1人でもいると、「この人の前で話すのは恥ずかしい」という気持ちが生まれるので、参加不可にしました。

 面白いもので、「カタカナ英語」と限定すると、みんながどんどん話すようになります。最初は"I want to drink more wine!"などとたどたどしく言っていた人間が、いつの間にか立派に英語で仕事の話をしたり、クダをまくようになる(笑)。こうやって話していると、自分で思っているよりもボキャブラリーがあり、話せることに気づくのです。「カタカナ英語ナイト」の仕切り役をした社員は、今では立派に米国の子会社で英語を使って仕事をしています。このイベントによって少なからず自信がついたのでしょう。

 私は、中学英語くらいの知識がある人なら、十分英語で仕事ができると思っています。それどころか、ビジネスの場で複雑な表現はあまり使わないほうが無難です。誤解を招きやすいからです。中学生レベルの簡単な表現を使ったほうが、間違いがないとすら思っています。ぜひ、みなさんも英語を使って、より楽しく仕事や人生を過ごしてほしいと思います。

 

《取材・構成:杉山直隆 写真撮影:江藤大作》
《『THE21』2015年2月号より》

著者紹介

松本 大(まつもと・おおき)

マネックスグループ㈱代表執行役社長

1963年、埼玉県生まれ。87年、東京大学法学部卒業後、ソロモン・ブラザーズを経て、ゴールドマン・サックスに勤務。94年、30歳で同社最年少ゼネラル・パートナーに就任。99年、ソニー〔株〕との共同出資でマネックス証券〔株〕を設立。2015年11月より現職。現在、事業持株会社であり、個人向けを中心とするオンライン証券子会社を日本・米国・香港に有するグローバルなオンライン金融グループであるマネックスグループ〔株〕およびマネックス証券〔株〕両社のCEOを務める。

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