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特別対談 栗山敏昭(栗山米菓社長)×北原里英

2016年01月27日 公開
2023年05月16日 更新

NGT48のお仕事で大切なこと教えてください!

 

経営の真髄は「誰かのために」

 

北原さんも言うように、流れに任せるからこそ「芯」も必要。栗山社長は「座標軸」という言葉で、ブレない規準の大切さを語る。
栗山 社長になったばかりのころ、ある方から「自分の判断基準、座標軸を持て」と言われました。以来、自分なりの座標軸を持って、なるべくブレないようにしてきました。

北原 どんな座標軸ですか?

栗山 それこそ、「人間として何が正しいことか」ということですね。たとえば、挨拶を大事に、家庭を大事にしようと。それを社員と一緒に理解し合う、という努力をしてきました。

北原 私は「人に優しく」という軸は大事にしていきたいと思っています。実践できていると言ったらおこがましいですけど、気をつけてきたつもりです。そうしないと自分の気分が落ちるので。たとえば、不機嫌な瞬間にスタッフさんと会って、目を見て挨拶ができなかったとしたら、後で「なんであの時……」と気に病んでしまうんですよ。もちろん、人に優しくすることで仕事がうまく行ったこともあると思います。
 私、最後に笑うのは人にやさしくできた人だと思っているんです。

栗山 すごいですね。それがまさに私の学んできた経営の真髄なんですよ。人のためにやっている人が成功するということ。自分のことを考える人はうまくいかないのです。

北原 誰かのために行動していたら、自分が成長できることもあります。

栗山 それが若いうちはなかなかわからないんです。だから悩む。「周りがついてきてくれない」とか、「なぜ自分ばかりがこんなに大変なんだ」とか、不平不満がたまっていく。喜んで人のために仕事ができるというのはすごいことですよ。それがわかっている北原さんだから、キャプテンに選ばれたんでしょうね。選んだ人は見る目がありますよ(笑)。北原さんはまだお若いのに、どこでそういう姿勢を身につけたんだろうと驚かされます。

北原 身についているとは全然言えないです。でも、育ててくれたのは両親なので、その影響はあるでしょうね。何かを厳しく言われた記憶はないんですが、生活の中で自然にいろいろなことを教えてくれたんだと思います。

栗山 なるほど。ご両親は、芸能の世界に進むと言ったときに反対されました?

北原 いいえ。

栗山 信頼されているんですね。芸能界と言うと、反対する親御さんが多いと思うんですよ。北原さんは、素晴らしいご両親のもとで育ったのですね。
NGT48が生まれたことで、ファンのみなさんや、われわれ新潟県民はもちろん喜びますが、もうひとつ、意味があると思うのです。それは、ご両親やスタッフのみなさんに支えられてきた北原さんが、新しいプロジェクトのリーダーとなることで、恩を返せる機会がきたということです。

北原 たしかに、AKB48に対して、恩返しという意識はあるかもしれないですね。自分をここまで育ててくれたグループなので。今のAKB48グループは、一番勢いがあったときに比べるとある意味で落ち着いているなと思います。ここで後発のNGT48か追い上げたら、AKB48もさらに頑張るんじゃないか。「自分たちが下からおしりを叩いてやろう」とは思います。
NGT48が盛り上がるということは48グループ全体の底上げになるでしょうし、そういった意味での恩返しというか、力になれたらいいですね。

 

 

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著者紹介

北原里英(きたはら・りえ)

アイドル/NGT48キャプテン

1991年、愛知県生まれ。2007年 10月、AKB48第5期研究生オーディションに合格。08年に劇場デビューののち、正規メンバーへ昇格し、チームAに配属。その後、チームB、チームKへの異動、SKE48との兼任を経て、15年 3月、NGT48への完全移籍とともにNGT48キャプテン就任が発表。6月の第7回総選挙では第11位。8月よりNGT48に完全移籍。

栗山敏昭(くりやま・としあき)

株式会社栗山米菓代表取締役社長

1959年、新潟県生まれ。82年、明治大学商学部卒業後、株式会社永谷園入社。95年、アメリカ国際経営大学院 (AGSIM)卒業。83年、栗山米菓入社。92年、代表取締役専務に就任。97年、代表取締役社長に就任。

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