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なぜ、仕事が予定通りに終わらないのか?

2016年02月24日 公開
2023年05月16日 更新

佐々木正悟(作家/心理学ジャーナリスト)

「突然の来客」も予測できる!?

 ログをつけ始めると、仕事には一定の「サイクル」があることがわかってくると思います。たとえば、週の前半に会議やミーティングが開かれ、さまざまな案件が走り出す。半ばには営業に出向き、取引先との打ち合わせなどコアな業務が入ります。後半には、精算や報告書などの作業が増え、来週の予定に向けた準備の大詰めを迎える、などです。

 このサイクルは業界や職種によってさまざまですが、仕事とは同じことの繰り返し、大きなルーティンの中で動いています。その多くは、曜日がベースであり、1週間分コツコツとログをつけてみると、自分の仕事の1週間の「段取り表」のようなものができ上がります。

 これをベースに、次の週の予定表を組んでいけばいいのです。自分の過去ログに基づいた予定表なので、理想を投影したものではなく、実現可能なタスクのリストができ上がっています。

 また、突然の打ち合わせや来客など変則的に入ってきた仕事も記録を残しておくことで、規則性があることに気がつけます。すると、この時間帯には別の仕事が舞い込みそうだ、などと予測がつきますので、仕事をよりうまく回すサイクルが作れるのです。

 こうして組み立てられた予定表は、自分のスーツケースに収まる持ち物の分量が把握でき、整然と収められた状態。それでは、スーツケースからあふれてしまったタスクはどうしたらいいのでしょうか。

 まず自分が本当にやるべき仕事なのか、再確認してください。絶対にやらないと仕事は進まないのか、部下や外に回すべきなのか、そもそも断わるべきなのか。この見極めができないと、いつまでも1人でたくさんの仕事を抱え込むことに。結果的に、作業の質や効率を落とすことにもつながりかねません。

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自分の容量がわかると仕事の先送りがなくなる >

著者紹介

佐々木正悟(ささき・しょうご)

心理学ジャーナリスト

1973年、北海道生まれ。97年、獨協大学卒業後、ドコモ・サービス〔株〕に入社。2001年よりアヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、ネバダ州立大学リノ校実験心理科博士課程に学ぶ。05年に帰国後、効率化と心理学を掛け合わせた「ライフハック心理学」の理論を打ち立て、講演活動と執筆業に携わる。『Evernote 仕事術』(東洋経済新報社)、『イラスト図解 先送りせず「すぐやる人」になる100 の方法』(KADOKAWA)など、著書多数。

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