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健康で疲れない食生活の秘訣とは?

2016年03月18日 公開
2023年05月16日 更新

道江美貴子(管理栄養士)

 

こんなとき、どうすればいい!? 食習慣Q&A

Q1 飲み会やつき合いの席で、ついつい食べすぎてしまった!

A1 食べた物はすぐには脂肪になりません。前後の食事で調整を

 食べ物は、消化から吸収までに12 ~24時間はかかり、その日のうちに脂肪に変わるわけではありません。ですから、前後の食事を調整することで「リセット」することも可能です。食べすぎた翌日の朝食やランチを野菜中心の低カロリーメニューにすれば、脂肪として蓄えられる前に燃焼できます。あるいは、飲み会の日のランチは前もって軽めに調整するように心がけましょう。

 できるビジネスマンは、飲み会のあとの深夜のラーメンに誘われても慌てません。それはこのリセット方法を知っているからです。欲望に任せて食べるのはよくありませんが、つきあいを疎かにしない賢い食べ方をしましょう。

 

Q2 残業で帰りが遅いため、就寝直前の食事になってしまいます。

A2 先手必勝の「先取り間食」で深夜のドカ食いを予防しましょう

 夜遅い時間の食事は脂肪に変わりやすく、さらに寝ている間に消化器官が働き、安眠できなくなってしまうので避けるのが無難。

 しかし、家に帰ったら食事が用意されている方もいるでしょう。その場合、「先取り間食」がお勧めです。夕食が遅くなる日は、18 ~19時頃におにぎりなどの炭水化物を摂って、夕食の一部を先取りしてしまうのです。帰宅したら、野菜スープやサラダ、卵や豆腐などを中心に、炭水化物や油ものを控えた軽い食事を摂り、悪循環を断ち切りましょう。

 

Q3 朝食は抜いたほうがいいの? 食べたほうがいいの?

A3 朝食は1日の代謝を促進するので、食べるのがお勧め

 朝食を抜いて1日2食にする健康法もありますが、代謝の面から考えれば、朝食は食べたほうがいいと思います。朝食は、1日の代謝を左右します。朝食をしっかり摂ることで胃腸が動いて体温が上がり、その日の代謝を促進します。さらに、一日の消費エネルギー(代謝)の10%程度を占める「食事誘発性熱産生(食事を消化するときに発生する消費エネルギー)」は、朝は夜の4倍にもなります。

 朝食のメニューには、体温を上げる働きがあるたんぱく質が豊富な卵や納豆を加えることをお勧めします。

 

Q4 コンビニや外食では、どんなメニューを選んだらいい?

A4 野菜のおかずをプラスして定食のようなメニューに

 コンビニや外食は、栄養バランスが偏りがちで高カロリーなものが多く、何も考えずに選んでいると肥満の原因にもなりかねません。

 外食では、野菜の小鉢や汁物がついた定食を選びましょう。コンビニならば、お弁当ではなく、おにぎりやパンに、惣菜などを2品ほどプラスして定食化。単品を組み合わせて、栄養バランスを取りましょう。たとえば、おにぎり+蒸し鶏サラダ+具だくさんお味噌汁、あるいは、サンドイッチ+惣菜スープ+野菜ジュースなどの組み合わせです。

 最近では、コンビニ総菜も、お浸しや煮物、煮魚などヘルシーなおかずが充実しています。食事をコンビニですます場合は、こうした食品を上手に活用しましょう。

 

Q5 午後の会議で睡魔が……! 眠くなりにくい食べ方はある?

Q5 血糖値の急上昇を避ける食べ物&食べ方を心がけましょう

 空腹時に甘い飲み物やごはんなどの炭水化物中心の食事をすると、食後血糖値が急上昇して、その後、急降下する「血糖値の乱高下」が起こります。これが食後の眠気を引き起こす大きな要因。しかも、血糖値の急上昇は、血管を傷つけ、糖尿病などの生活習慣病の原因にもつながります。

 血糖値の急上昇を防ぐには、血糖値が上がりにくい野菜を先に食べる「ベジ・ファースト」がお勧め。野菜に含まれる食物繊維が糖の消化・吸収を緩やかにして、脂肪の吸収を抑えてくれます。そして、炭水化物は「白」より「茶」を選びましょう。白米やパスタより、玄米や蕎麦のほうが血糖値の上昇が穏やかです。食べ方や素材を変えるだけで、肥満予防と眠気予防が期待できます。

 

Q6 食事を抜けば痩せられる?

A6 一時的に体重が落ちても、「太り体質」に加速します

 男性が痩せようとすると、手っ取り早く「食べない」選択肢を選ぶ人もいますが、これは危険です。摂取カロリーが極端に下がると、身体は少ないカロリーでも活動できるように「省エネ」モードに切り替わります。すると、通常の食事に戻ったとき、カロリーを燃焼しきれず、脂肪として蓄えてしまうのです。これが、リバウンドといわれる現象です。

 しかも、カロリーが極端に足りない状態が続くと、筋肉の低下とともに基礎代謝が落ち脂肪が燃焼しにくい身体になるうえ、脳のエネルギー不足で頭が働かなくなって集中力が低下します。さらに、疲れやすくなったり、免疫力が落ちて風邪をひきやすくなるなど健康面での衰えも。極端な食事制限は百害あって一利なし。身体に与えるダメージ甚大です。

《取材・構成:麻生泰子》
《『THE21』2016年3月号より》

著者紹介

道江美貴子(みちえ・みきこ)

管理栄養士

女子栄養大学栄養学部卒業後、フードサービス大手の〔株〕グリーンハウス入社。これまで100社以上の企業で健康アドバイザーを務める。2007年、食事管理サービス「あすけん」の立ち上げに参加。現在は事業統括責任者を務める。著書に、『なぜあの人は、夜中にラーメン食べても太らないのか?』(クロスメディア・パブリッシング)。

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