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格差社会を生きる「貧乏クジ世代」の働き方

2016年04月08日 公開
2023年01月30日 更新

常見陽平(千葉商科大学専任講師)

ロスジェネ世代これからの働き方

 他人の承認のために努力を惜しまないこの世代の気合いと根性は相当なものです。しかし、40代は、もう若くない。だからこそ、努力の方向性を変える時期です。

 では、どうするのか。それは、下の世代を育成することです。頑張ることが当たり前の世代には逆説的に聞こえるでしょうが、「いかに自分が働かず、組織で働く面白さを部下に伝えられるか」を目指すべきなのです。

 最近の20代は、「自分の成長のために働きたい」思いが強い人はたくさんいますが、「組織のために働く」という意識が欠落している人が多い。組織人として働く面白さや奥深さ、また個人と組織の折り合いをどうつけていくのか、といった悲喜こもごもを教えられるのは、いろいろと苦労をしてきた私たちだからこそできることです。

 育成に必要なスキルは、俯瞰的な視点。それは、仕事を思いっきり休むことで養われます。

 一所懸命に働いた分だけ、平日に休みをとって旅に出かけてみましょう。普段自分が接する機会のない人と接してみるのです。

 すると、自分が狭い価値観に囚われていたことに気づくはず。自分を客観視することで、俯瞰的な視点から自分を捉えることができます。走りすぎた私たち世代が今、休むからこそ見える景色がある。それが、働き方や生き方を考え直すことにつながるはずです。

 現代は、自分さえ良ければいいといった人が多い世の中です。しかし、そんな社会を変えるのは、他人に認められるために頑張り続ける、我々だと信じています。

 

取材・構成長谷川 敦

 

『THE21』2016年3月号より

著者紹介

常見陽平(つねみ・ようへい)

千葉商科大学専任講師

1974年生まれ。一橋大学商学部卒業。同大学院社会学研究科修士課程修了(社会学修士)。㈱リクルート、㈱バンダイ、㈱クオリティ・オブ・ライフ、フリーランス活動を経て、2015 年より現職。働き方をテーマに執筆・講演などを行なう。『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社新書)など、著書多数。

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