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これだけは知っておきたい「ストレスチェック」Q&A

2016年07月04日 公開

植田健太(臨床心理士/特定社会保険労務士)

どうせやるなら、最大限に活用しよう!

 昨年12月、すべての企業で「ストレスチェック」の実施が義務化された(50名未満の事業場では努力義務)。人事や労務の担当以外のビジネスマンにはどこか他人事のように捉えている人が多いかもしれないが、実は、ストレスチェックの結果は一人ひとりの心がけ次第で大いに活用できるもの。企業のメンタルヘルス対策に詳しい植田健太氏に、ストレスチェックが導入された背景や狙い、一般の従業員に与える影響やメリットについてお聞きした。

 

Q ストレスチェックが義務化されたのはなぜなのでしょうか?

A 背景の一つは、日本における自殺者数の多さです。内閣府の統計によると、2015年の自殺者数は2万4,000人を超え、そのうち3割近くを「被雇用者・勤め人」が占めています。こうした不幸な事態を未然に防ぐために、企業におけるメンタルヘルス対策が急務であるという認識が社会に広まりました。その一つとして、今回導入されたのがストレスチェックです。

 ただ、臨床心理士として10年近くにわたって企業を見てきた実感としては、「職場におけるメンタルヘルス不調者が増加している」とは言い切れないと感じています。どちらかと言えば、不調を抱えた人は以前から一定数存在して、それが最近になって顕在化してきた、というのが正しいのではないでしょうか。とくにここ数年は、うつや自律神経失調症などの精神疾患に対する理解が進み、不調を職場に報告しやすくなったという環境の変化があると考えられます。

 いずれにしても、メンタルヘルスに問題を抱える従業員が企業の中に多数存在することに変わりはありません。だからこそ、ストレスチェックによる早期発見が求められているのです。

 

Q 企業側にとってもメリットがあるのでしょうか?

A 職場にメンタルヘルス不調による休職者が一人でも出ると、ほとんどの場合、人員補充は行なわれず、優秀な人の負荷が増えます。そして、優秀な人が疲弊し、辞めてしまう。すると、職場のマンパワーも能力も低下して、雰囲気も悪くなり、新たなメンタルヘルス不調による休職者が発生する。こうした負のスパイラルに陥るケースが多く見られます。

 ですから、メンタルヘルス不調者を早期発見し、対応するために、ストレスチェックを実施することは、企業にとっても重要です。

 企業にとって何よりも大きな問題は、誰か一人が休職することによって、優秀な人が潰れてしまうということです。ストレスチェックの話をすると、メンタルヘルス不調者への対応にばかり目が向く人が多いのですが、本当に大切なのは「頑張っている人が、より頑張れる環境作り」です。

 もちろん、弱い立場の人を救うセーフティネットとして、休職制度などの整備は必要です。それとともに、優秀な人が「自分だけが負担を強いられている」と感じて不満や疲労を増大させ、休職や退職に追い込まれる事態も防がなくてはなりません。そのためには、まず、働いている人たちそれぞれが、自分のストレス状態を正しく知ることが第一歩。ストレスチェックをすれば、本人も気づいていないストレス状態が数値で表わされます。普段、「なんとなく」の気分でしか感じられないストレスをデジタルに明確化できるのが、ストレスチェックのメリットです。

 

Q 具体的には、どんなことをするのですか?

A ストレスチェックは、簡単に言えば、「従業員に質問に答えてもらい、その結果をもとに現時点で受けているストレスの状況を把握する調査」です。

 質問に使う調査票は、「ストレスの原因に関する質問項目」「ストレスによる心身の自覚症状に関する質問項目」「労働者に対する周囲のサポートに関する質問項目」の三つが含まれていればよしとされ、とくに決まった形式はありません。とはいえ、厚生労働省は57項目から成る「職業性ストレス簡易調査票」の使用を勧めているので、実際には、大半の企業はこれを使うことになるでしょう。

 この調査票では、それぞれの質問につき4段階の回答肢が用意されています。たとえば、最近1カ月間の状態について聞くところでは、「活気がわいてくる」「怒りを感じる」といった項目それぞれに対して、「ほとんどなかった/ときどきあった/しばしばあった/ほとんどいつもあった」という四つの回答から当てはまるものを選びます。

 決して難しいことや複雑なことを問われるわけではなく、イメージとしては商業施設などで行なわれている顧客満足度アンケートなどに近いと思っていいでしょう。

 実施は年1回以上とされています。健康診断と同時に実施する企業が多くなるでしょうが、扱いとしては、健康診断とストレスチェックはあくまで別物です。健康診断の問診票とストレスチェックの回答は分けなければなりません。

 ちなみに私は、実態をより正確に把握するために、繁忙期と閑散期の年2回の実施をお勧めしています。

 

Q ストレスチェックの結果から、何がわかるのでしょうか? >

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著者紹介

植田健太(うえだ・けんた)

臨床心理士/特定社会保険労務士

1981年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業、早稲田大学大学院修了。キヤノンアネルバ〔株〕、キヤノン〔株〕で約10年間、人事を経験後、独立し、Office CPSR臨床心理士・社会保険労務士事務所を設立。(一社)ウエルフルジャパン理事、産業能率大学兼任講師。企業向けにメンタルヘルス対策コンサルティングをしながら、セミナーを多数実施。著書に『図解ストレスチェック実施・活用ガイド』(中央経済社)、『なぜストレスチェックを導入した会社は伸びたのか?』(TAC出版)など。

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