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気になるあの「食のウワサ」はウソ?本当?

2016年07月26日 公開
2023年05月16日 更新

秋津壽男(秋津医院院長)

「1日3食、摂らなくても大丈夫」って本当?

→○本当。3食が理想的だが、絶対ではない

 1日3食、バランス良く食べるのが理想だが、無理をしてまで3食にこだわる必要はない。必要な栄養をきちんと摂れていれば、その人のライフスタイルに合わせて1日2食にしても問題はない。
「ただし、1日1食はお勧めしません。胃が空になる時間が長いと、胃酸が増えて胃腸が荒れるし、便秘にもなりやすい」(秋津氏)
 よって1日2食でも3食でもいいが、問題は食べる時間。最後の1食を夜遅くに食べると、あとは寝るだけなのでカロリーが消費されず、そのまま脂肪として蓄積されてしまう。残業で帰宅が遅くなる日は、夕方5時か6時頃に会社で食事をとり、家に帰ってからどうしても空腹な場合は、軽くお茶漬けなどを食べる程度にするとよい。

 

「油はすべて身体に悪い」って本当?

→×ウソ。えごま油やオリーブ油など良いものもある。

 油にも様々な種類があり、すべて身体に悪いわけではない。最も身体に悪いのは、トランス脂肪酸を含むマーガリンやショートニングで、これは極力摂取すべきではない。次に良くないのがラードやヘッドなどの動物性油。これは身体に必要だが、摂り過ぎは肥満や病気につながるので要注意だ。そして動物性油より健康的なのが、ごま油や大豆油などの植物性油。なかでも身体に良いのがオリーブ油だ。オレイン酸を多く含み、抗酸化作用やコレステロール値の改善作用などがある。
「最近では、さらに健康効果が高い油として、『オメガ3脂肪酸』を含むえごま油や亜麻仁油も注目されています。動物性油を控えつつ、身体に良い植物性油は食生活に積極的に取り入れてください」(秋津氏)

 

「コラーゲンを食べると肌つやが良くなる」って本当?

→×ウソ。摂取したコラーゲンが肌に使われる保証はない

肌がコラーゲンで組成されているのは本当だが、口から摂取したコラーゲンが身体のどこに使われるかはわからない。コラーゲンは皮膚だけでなく、骨や関節、血管や内蔵など全身に使われる。よって、「顔の肌をツヤツヤにしたい」と考えてコラーゲンを飲んでも、ひざの関節に届くかもしれないし、足の裏に届くかもしれない。コラーゲンは人体に必要なタンパク質なので、食事から摂取することは必要だが、高価なサプリメントを飲んでも美肌になれる保証はないのだ。
「肌ツヤを良くしたいなら、身体の内と外から油を補給するほうが効果的。食事で良質な油を摂ったり、入浴時にバスオイルを使って肌の表面をコーティングすることで、肌のカサつきを予防できます」(秋津氏)

 

「水を飲むのは健康に良い」って本当?

→○本当。水分の摂取は大事。ただし飲み過ぎは良くない 

体内の水分が不足すると脳梗塞や心筋梗塞の引き金になるため、健康のために水分補給は欠かせない。ただし、「毎日2?以上飲む」などとノルマを決めるのは良くない。確かに一日の水分摂取量は2?が目安だが、ご飯や野菜にも水分が含まれるので、普通の食事だけで1000mlから1200ml程度の水分はとれる。よって、あとは適度に水分をとる程度でOK。必要以上に水を飲み過ぎると、胃に負担がかかり、免疫力が低下してがんなどの発症率が高まるので注意が必要だ。
「就寝中に汗をかいて脱水状態になるので、朝起きたら白湯か常温の水を1杯飲みましょう。その後は、のどがかわいたと感じたときにお茶やコーヒー、ミネラルウォーターなどを飲むだけで十分です」(秋津氏)

 

「ウイスキーや焼酎は低カロリーで健康的なお酒」って本当?

→×ウソ。どんなお酒も飲み過ぎは良くない

ビールや日本酒などの醸造酒はカロリーが高く、ウイスキーや焼酎などの蒸留酒はカロリーが低い。これは事実であり、ダイエット中に飲むなら醸造酒より蒸留酒を選んだほうがいいのは確かだが、決してウイスキーや焼酎が健康に良いわけではない。
「お酒の種類が何であれ、アルコールが身体に毒なのは同じ。一番良くないのは、『ビールからウイスキーに変えたから、今までよりたくさん飲んでもいい』と考えること。糖質の摂取量が減っても、アルコールの摂取量が増えれば、健康を害するリスクは当然高まります」(秋津氏)
健康のためには、1日のアルコール摂取量は30ml以下(ビール大瓶1本程度)に抑えるよう心がけたい。

 

著者紹介

秋津壽男(あきつ・としお)

秋津医院院長

1954年、和歌山県生まれ。77年、大阪大学を卒業後、和歌山県立医科大学に入学。86年に同大学卒業後、循環器内科入局。その後東京労災病院等を経て、98年に秋津医院を開業。診療のかたわら、テレビ東京『主治医が見つかる診療所』等にレギュラー出演。『長生きするのはどっち?』『がんにならないのはどっち?』(あさ出版)など、著書多数。

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