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今、話題の「マインドフルネス」とは?

2016年06月20日 公開
2023年05月16日 更新

石川善樹(予防医学研究者)

イライラした心を整える「新・瞑想法」

米Googleが社員向け研修プログラムとして採用し、話題となっているストレス対処法「マインドフルネス」。瞑想を科学的な観点から応用しているそうだが、一体どんなものなのか。マインドフルネスについて詳しい石川善樹氏に、今日からできるマインドフルネスの方法を教えていただいた。

 

「メールへの即レス」がストレスの大きな要因に?

 パソコンや携帯電話に次々と送られてくるメールやLINEメッセージ。あなたはどう反応しているでしょうか。多くの人は、すぐに返信するか、返信は後回しでも、とりあえずチェックだけはするでしょう。

 実は、このような行動は、脳を疲れさせる大きな要因になっていることをご存じですか。

 新たに来たメールに返信するにせよ、後で返すにせよ、人はなんらかの意思決定をしています。問題なのは、人間が1日でできる意思決定の量は限られているということ。

 現代人は、メールやLINEで小刻みに意思決定をし、その量をすぐに使い果たしてしまうのです。

 すると、人は理性が利かなくなり、余裕を失いがちになります。結果、小さなことにもイライラしてきて、ストレスが溜まってくるのです。

 意思決定の量をムダに消費させるものはメールだけではありません。たとえば「ネットサーフィン」。今はインターネットで大量に情報が調べられるので、必要以上に情報を集めてしまいがち。調べている途中に余計なニュースが目に入ってきて、つい見てしまうこともあります。そのページを見るか見ないかも、一種の意思決定です。結果、脳が疲弊してしまうわけです。

 この種のストレスをなくすためには情報を遮断できれば良いのですが、即レスが求められる状況にあって、それは現実的ではありません。だから現代人は皆ストレスを溜めているのです。

 

古くからの瞑想法とマインドフルネスの違い

 こうしたストレスを軽減する手はないか。そんな時代の要請に応える方法として注目を浴びているのが「マインドフルネス」です。

 これは、MITの研究者だったジョン・カバットジンが開発した「マインドフルネス・ストレス低減法」が元になっています。具体的には、古くから行なわれてきた瞑想を医療に取り入れたもので、宗教色を排して誰でも受け入れられるように体系化されています。

 マインドフルネスの定義は、人によってバラバラなのですが、私は、「注意を適切なものに向けるトレーニング」と定義しています。実際にやってみると、リラックスできるだけでなく、心が整理されて、押し寄せる情報の波に翻弄されなくなります。今日から実践できるようにコツをお伝えいたしましょう。

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著者紹介

石川善樹(いしかわ・よしき)

予防医学研究者

1981年、広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業後、米国ハーバード大学公衆衛生大学院修了。自治医科大学で博士(医学)取得。専門は行動科学、計算創造学、計算社会科学など。著書に『疲れない脳をつくる生活習慣』(ダイヤモンド社)、『最後のダイエット』『友達の数で寿命は決まる』(ともにマガジンハウス)、『健康学習のすすめ』(日本ヘルスサイエンスセンター)など。

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