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マイルドヤンキーが上昇志向を持つ職場とは?

2016年06月24日 公開

神田昌典(経営コンサルタント)×若山陽一(UTグループ社長兼CEO)

もはや会社はキャリアを描いてはくれない

神田 「会社がキャリアストーリーを描いて、レールを用意する」というのは、派遣会社としては珍しいことですが、かつての日本企業では当たり前のことでした。終身雇用で、入社から定年退職までのレールを敷き、年代ごとに歩むルートを示したうえで、人材教育を施していました。ところが、そのようなレールを敷いてくれる会社が、少なくなってしまった。バブルが崩壊し、多くの会社の成長が止まり始めると、終身雇用が維持できなくなり、誰も気づかないうちに、途中でキャリアストーリーがなくなってしまった。

若山 今では大手企業ですら、社員のキャリアを描くことを放棄せざるを得なくなっていますからね。だからこそ、誰かがその役割を果たさなくてはならない。それが我々の役割だと考えているのです。私は、今後のUTグループに求められる役割は、「キャリア形成を支援するプラットフォーム」だと考えています。大企業に代わって、それを我々がすべきだと考えているのです。

神田 会社が、社員の定年退職までのレールを敷けたのは、やはり、国全体が成長していたことが大きかった。会社も、黙っていても伸びましたからね。

若山 いずれにしても、企業が縦割りの雇用形態の中で社員を終身雇用して、キャリアビジョンを示す、という道はもはやないのでは、と感じています。

 

「派遣会社に入ること」が成長の近道という時代に?

神田 ただ、企業はそれでもいいかもしれませんが、個人は困ってしまったわけです。キャリアストーリーを描いてくれる人が誰もいなくなってしまったのですから。自分自身で自分の成長と家族の成長・幸せを考えながら、キャリアストーリーを描いていかなければならない。このような状況の中で、UTさんの試みは、すごく意味のあることだと思います。

若山 派遣法の改正で、派遣会社は派遣社員のキャリア形成支援をするというルールに変わることになりました。同時に、派遣社員に要求されるスキルレベルが上がり、教育の必要性も高まっていますので、他の派遣会社さんも、近いうちに同じような方針になるとは思います。ただ、私たちに一日の長があるのは確かですね。

神田 人材派遣会社が派遣社員のキャリアストーリーを描き、教育することで、一般企業よりも派遣会社に入ったほうが、スピーディにスキルアップできるようになる。派遣会社から、有能な人材が次々と現われる。そんな事例がどんどん出てくる時代になるかもしれませんね。

若山 私たちの取り組みをきっかけに多くの企業に刺激を与えることができれば嬉しいです。

神田 UTさんのように、新しい時代に合った人材開発モデルを示せる会社が出てくれば、あとは早いと思います。何よりも、大企業でも幹部社員がどんどん世代交代し始めていて、彼らは真剣に、企業変革を始めています。そのときに、どんなにすばらしい戦略を打ち出しても、ボトルネックになるのが、コミュニケーションと人材開発なのですが、そのボトルネックを解消するうえで、さまざまな背景を持った多種多様な人材が集まりながら急成長を遂げているUTさんの挑戦は、「人がストレスなく、モチベーション高く働くための職場づくり」において、大いに参考になると思います。

(『THE21』2016年6月号より)

(写真撮影:永井 浩)

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著者紹介

神田昌典(かんだ・まさのり)

経営コンサルタント・作家

上智大学外国語学部卒。ニューヨーク大学経済学修士、ペンシルバニア大学ウォートンスクール経営学修士。大学3年次に外交官試験合格、4年次より外務省経済部に勤務。戦略コンサルティング会社、米国家電メーカーの日本代表として活躍後、1998年、経営コンサルタントとして独立。コンサルティング業界を革新した顧客獲得実践会を創設(現在は「次世代ビジネス実践会」へと発展)。日本最大級の読書会『リード・フォー・アクション』主宰。
主な著書に『2022―これから10年、活躍できる人の条件』(PHPビジネス新書)など。

若山陽一(わかやま・よういち)

UTグループ社長兼CEO

17歳のとき、バイク事故で肝臓破裂、4日間の意識不明を超えて一命を取りとめたことで、
命は有限であることを実感し、起業を決意。「仕事を創ることが仕事」をポリシーに1995
年にUTグループを創業。2003年、製造派遣業界で初めての上場を果たす。その後、
旧GWG買収を機に、GWGのコンプライアンス違反が見つかり倒産の危機に。同時に、
個人でも37億円の負債を抱え、自己破産の危機に陥るも、不屈の精神によって全額返済。
趣味で始めた登山では、世界の名峰8山登頂後、2015年、エベレスト登頂を目指すも、
ネパール大地震の影響でやむなく下山。ネパール登山がきっかけとなり、世界中に仕事
を創ることを決意。途上国支援の一環として、ネパールで高品質なイチゴの生産による
雇用創出を始める。座右の銘は「想いが行動を変え、行動が現実を変える」。

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