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歯の不健康が、がんや心筋梗塞を引き起こす!?

2016年07月28日 公開

花田信弘(鶴見大学教授)

本当に正しい口内ケアの方法とは?

「虫歯予防やエチケットのために歯磨きは大事」とわかっていながら、ついつい疎かにしている人も少なくないだろう。しかし、「歯のケアを怠ると心筋梗塞やがんを引き起こす」と聞けば、意識が変わるのではないか。そのメカニズムと予防法を歯学博士の花田信弘氏にお聞きした。

 

「歯周病菌が病気を招く」エビデンスが続々と

 歯周病や虫歯を放っておくと心筋梗塞やがんなどを引き起こし、命の危険すら招くというのは、大げさに言っているのでもなんでもなく、本当のことです。

 口の中には約100億個もの菌が棲息しています。健康な状態であれば、歯周病菌や虫歯菌などの悪玉菌はそのうちの3割程度。しかし、歯周病や虫歯があると、悪玉菌がどんどん増殖していきます。その温床となるのが、歯の表面にへばりついた粘り気のある歯垢です。歯磨きをきちんとしていないと、歯垢の中で悪玉菌がスクラムを組むように集まった「バイオフィルム」が形成されてしまい、増殖が加速してしまうのです。

 さらに問題なのが、悪玉菌は口の中だけに留まらないということ。悪玉菌は、歯周ポケットや虫歯の穴から血管の中に入り込んでしまうのです。その結果、身体のあちこちに悪玉菌が広がり、血管に炎症を起こします。

 とくに危険なのが歯周病菌。歯周病菌が発するエンドトキシンという毒素の炎症反応は小さいのですが、静かに慢性炎症を進行させていきます。その結果、気づいたときには血管や臓器をボロボロに傷つけ、動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病やがんを引き起こすのです。がんについては、エンドトキシンによる慢性炎症によってがん抑制遺伝子が効かなくなり、がん細胞が増殖することもわかっています。

 このような現象は古くから指摘されていましたが、生活習慣病と歯周病などとの関連性を証明する具体的なエビデンスが長く見つかっていませんでした。しかし2000年代に入ると、検査技術が発達したことでエビデンスが次々と見つかっています。

 2011年には、米国のインディアナ大学で、口腔環境が健康な24歳の若者50人に、3週間、歯を磨かずに過ごしてもらう実験が行なわれました。その結果、実に56%もの人がエンドトキシン血症になってしまったのです。エンドトキシンの平均血中濃度が腎臓病患者と同等まで上がり、放っておけば、腎臓病患者であれば1年以内に死に至るレベルになりました。

 また、ドイツのハノーバー医科大学でも23歳の若者に同様の実験を行ない、歯磨きを中断している期間、動脈硬化のマーカーの値が上がり続けるという結果が得られました。口の中の悪玉菌を増やさないことが、いかに大事かがおわかりいただけるでしょう。

 35歳を過ぎると歯茎が痩せてきて、歯の象牙質が露出してきます。すると歯周病菌が血管に入るのがより容易になりますから、若者よりもさらに注意が必要。今は歯周病や虫歯になっていなくても、すぐに対策を取りましょう。とくに口臭がする人は悪玉菌が増殖している可能性が高いです。

 

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著者紹介

花田信弘(はなだ・のぶひろ)

鶴見大学教授

1953年、福岡県生まれ。福岡県立九州歯科大学歯学部卒業、同大学院修了。米国ノースウェスタン大学博士研究員、九州歯科大学講師、岩手医科大学助教授、国立感染症研究所部長、九州大学教授(厚生労働省併任)、国立保健医療科学院部長を経て、2008年より現職。この間、健康日本21計画策定委員などを務める。著書に『白米が健康寿命を縮める』(光文社新書)などがある。

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