THE21 » マネー » 貯金がすべて「紙クズ」になる日に備えるには?

貯金がすべて「紙クズ」になる日に備えるには?

2016年08月09日 公開
2023年05月16日 更新

藤巻健史(フジマキ・ジャパン代表/参議院議員)

どんな時代になっても負けない自分を作れ!

ハイパーインフレが起きれば、日本国内でお金を稼げなくなる。その時に備えて、海外で稼げるよう、自分に投資をすることも重要だ。

「円ではなく、ドルを稼げるようになれば、円安になるほど、非常に得をする。1ドル=100円のときに年間4万ドルを稼いでも年収400万円ですが、インフレで1ドル=1,000円になったら、給料据え置きでも、年収4,000万円になります。インフレが起きれば、2年働くだけで、日本で家が買えますよ(笑)。
そのためには、英語ができない人は、英語を勉強すること。状況が許すなら、海外のビジネススクールに留学するのも良いでしょう。私の経験上、授業内容はそこまで得るものはありませんが、外国人コンプレックスが払拭できます。お子さんがいる方は、海外で学ばせることを検討しても良いと思います」

また、経済情勢の変化を読むために、経済や財政の勉強をしておくことも大切だという。

「重要なのは、日経平均株価の1日の値動きのような短期的なことに目を向けるのではなく、長期的に物事を見ることです。すると、マスコミなどのミスリードに惑わされることなく、本当の状況を見極められるようになります」

たとえば、世界各国の名目GDP(国内総生産)の伸びを20年前と現在で比較すると、アメリカが2.3倍、イギリスが2.4倍、中国が11.1倍になっているのに対し、日本はほとんど横ばいで、前年比マイナスの年も。さらに、過去30年間で比較すると、アメリカ、イギリスが4倍以上、中国に至っては75倍にも伸びているが、日本は1.5倍しか伸びていない。

「このデータだけでも、ここ30年間の日本の国力低下がいかに深刻かがわかるでしょう。経済や社会の動きを読み取るには、まず、日本の財政がどれだけ危険かを学ぶことをお勧めします。そうすれば、楽観論など持てなくなり、ますます勉強に身が入るはずです」

 

《『THE21』2016年9月号より》

著者紹介

藤巻健史(ふじまき・たけし)

経済アナリスト、参議院議員

1950年、東京生まれ。一橋大学商学部を卒業後、三井信託銀行に入行。80年に行費留学にてMBAを取得(米ノースウエスタン大学大学院)。85年、米モルガン銀行入行。東京屈指のディーラーとしての実績を買われ、当時としては東京市場で唯一の外銀日本人支店長に抜擢される。2000年に同行退行後は、世界的投資家ジョージ・ソロス氏のアドバイザーなどを務めた。1999年より2011年まで一橋大学経済学部、02年より08年まで早稲田大学大学院商学研究科で非常勤講師を務める。2013年に参議院議員に当選(現在は維新の党)。

THE21 購入

2024年5月号

THE21 2024年5月号

発売日:2024年04月06日
価格(税込):780円

関連記事

編集部のおすすめ

藤巻健史 私が「今はドルを買え」という理由

藤巻健史(経済アナリスト/参議院議員)

デフレ時代のマインドのままではお金を増やすことはできない

松本大(マネックス証券代表取締役社長CEO)

好景気の今こそ、「自分のお金と生活」を守る対策を!

森永卓郎(経済アナリスト/獨協大学教授)
×