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40代の仕事は「I」から「T」に変化するとき

2016年10月26日 公開

清水克彦(文化放送報道スポーツセンター部次長)

「聞く力」に加えて「聞かない力」も重要

つきあい方を変えるべきなのは、社外だけではない。社内の人たちとの関係でも、若手の頃とは違ったコミュニケーションスキルが必要になる。

「管理職には、説明能力が不可欠です。仕事を任せ、それをやり遂げてもらうには、部下に『なぜこの仕事を自分がやるのか』を納得してもらわなくてはいけません。ここでのポイントは、仕事を頼むときに理由を三つ挙げること。『君は以前もこの人の取材をしたことがあるね。それにこのテーマなら、君が持っている資格も生かせる。年齢的にも、これは大きなチャンスだよ』――このように理由を三つ並べられると、相手は納得しやすくなります。
一方で、自分より部下のほうが得意なことがあれば、謙虚に教えを請うべき。自分はITが苦手でも、部下はパソコンの達人なら、素直に教えてもらえばいいのです。上司が自分を頼ってくれば、部下も『自分は信頼されている』と実感します。そして上司が『僕はパワポが苦手だから、達人の君に頼めないかな』と頼んだときも、快く引き受けてくれる。しかも、自分でやるより速く仕上がります。
こうして助けてくれる人が社内にたくさんいれば、自分の仕事はどんどん速くなる。仕事が忙しい管理職世代こそ、組織のヒエラルキーにとらわれないつきあい方を心がけるべきです」

さらに上司との関係構築では、また違ったコミュニケーションスキルや根回し力が必要だ。

「大事なのは、自分の所属以外に味方を作ること。たとえば私は報道部ですが、営業部や編成部の部長や役員と良い関係を作るよう心がけています。私が企画した番組をスポンサーに売ってくれるのは営業部であり、タイムテーブルに落とし込んでくれるのは編成部だからです。
ただ、他部門の上層部は普段顔を合わす機会が少ない。そこで私は、エレベーター内の時間を活用します。乗り合わせるチャンスがあったら、『次はこんな企画をやりたいと思っています』と相手に耳に入れておくのです。こうして地道に自分の夢を発信していれば、いつか具体的なチャンスにつながります。
実はこれは、記者時代に身につけたスキルです。国会のエレベーターなどで取材したい人物に出会ったら、相手がどんな大物でも名刺を差し出し、『今度、こんなことをやろうと思っています』とひと言添える。すると相手も意外と覚えていてくれて、あの小沢一郎さんも『前から言っていたやつか』と取材に協力してくれたことがあります。
それから、『聞く力』が大切だとよく言われますが、40代からは『聞かない力』も必要です。若い頃は上司や先輩が言うことに耳と傾けるべきですが、40代で自分の軸が定まる時期になれば、『自分には合わない』とわかるアドバイスもあるはずです。ならば思いきって、『この人の言うことは聞かない』と決めればいいのです。もちろん本人の前では、謙虚に聞くふりをしますが(笑)、すべてを受け入れる必要はありません。それではむしろ、単なるイエスマンだと思われてしまうこともあります。若い頃は『素直でいい』と褒められたことも、40代になれば、かえって自分の価値を下げるリスクがあるのです」

 

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著者紹介

清水克彦(しみず・かつひこ)

文化放送プロデューサー

1962年、愛媛県生まれ。早稲田大学大学院公共経営学研究科修了。京都大学大学院法学研究科博士後期課程在学中。大学卒業後、文化放送入社。政治記者を経て米日財団フェローとしてアメリカ留学。帰国後、首相官邸キャップ、報道キャスター、情報ワイド番組プロデューサーなどを歴任。江戸川大学や育英短期大学で非常勤講師を務める。現在は報道デスクとして番組制作やニュース解説に従事するかたわら、政治と教育問題を取材し、執筆や講演にも力を注ぐ。著書は、ベストセラー『頭のいい子が育つパパの習慣』『頭のいい子が育つ10歳からの習慣』(以上、PHP文庫)をはじめ、『子どもの才能を伸ばすママとパパの習慣』(講談社)、『中学受験――合格するパパの技術』(朝日新書)、『安倍政権の罠』(平凡社新書)、『ラジオ記者、走る』(新潮新書)ほか多数。公式サイト http://k-shimizu.org/

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