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内気なトップセールスが教える「グッズ活用」雑談術

2016年09月29日 公開
2023年05月16日 更新

渡瀬謙(サイレントセールストレーナー)

 

カバン

 あるとき、床に置いたカバンの中にある書類を探しながら、かがんだ状態で受付の女性と話していた渡瀬氏は、相手の緊張感が解けるのを感じたという。

「私の身長だと、たいていの女性は見下ろす形になってしまいます。かがむことで目線の位置が変わり、見上げる形になったとたん、リラックスした雑談ができるようになったのです」

 手に持ったまま中をのぞけるカバンは機能的だが、相手の警戒心や緊張感をほぐすためには、地面に置かないと中を探れないカバンが役立つこともある。そういうカバンを選ぶべきだ、というわけではなく、いつも持っているグッズを雑談に使えるという例だ。

 

ちょっとした新商品

 雑談を苦手とする人にとって、会議室で面と向き合う以上に気まずいのが、相手と一緒に移動するとき。たとえば一緒に電車に乗る場面だ。周りに多くの人がいるので仕事の話をするのも難しく、気まずさは頂点に達する。そんなときに役立つのが、ちょっとした新商品だ。

「キャンディーのような、配ることができる新商品を見つけたら買っておくのです。それを『どうぞ、新商品らしいですよ』と勧めると、『変わった味ですね』『意外といけますね』などと雑談が弾みます」

 ついでに、「新しいモノにアンテナを張っている人」という印象づけもできそうだ。

 

喫茶店のメニュー

 喫茶店で人と会う場合に、渡瀬氏はメニューを見て、そこから話題を探すことをルーティーンにしていた。

「何も用意をしていなくても、メニューは必ず店にあります。メニューを見て、何か気がつくことがあれば話題にできます。『意外とコーヒーが高いですね』とか『キウイジュースって珍しいですよね』とか。しかも、メニューだったら相手と自分との共通の話題になります」

 喫茶店に限らず、どうしても話題に困るようなら、机の上や壁を見てみよう。「そこにあるグッズ」を使うという視点を忘れないようにしたい。

 

《取材・構成:川端隆人 写真撮影:まるやゆういち》
《『THE21』2016年5月号より》

著者紹介

渡瀬 謙(わたせ・けん)

サイレントセールストレーナー

〔有〕ピクトワークス代表取締役。〔株〕リクルート(現・〔株〕リクルートホールディングス)で異色な「無口な営業スタイル」で入社10カ月目で営業達成率全国トップになる。1994年に独立し、内向型で売れずに悩む営業マンの育成を専門に、全国でセミナーや講演などを行なう。500件以上の営業指導経験から、独自の教育法やトーク立案、営業マニュアル作成にも定評がある。『「内向型の自分を変えたい」と思ったら読む本』(大和出版)、『本音を引き出す「3つの質問」』(日本経済新聞出版社)、『トップセールスが絶対言わない営業の言葉』(日本実業出版社)、『超一流の相手にしゃべらせる雑談術』(PHP研究所)など、著書多数。

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