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特別対談 戸塚隆将×本間日陽&日下部愛菜(NGT48)

2016年10月14日 公開
2023年05月16日 更新

NGT48のお仕事で大切なこと教えてください!

異文化コミュニケーションは「つかみ」が重要

日本のアイドルにはつきものの握手会。ここでも、意識一つで世界に通用するコミュニケーション能力を磨くことができる。

本間 NGT48の活動の一つとして、ファンの方との握手会があります。この間、メキシコの方が私のところに来てくださって。その方は日本語が上手だったのでコミュニケーションがとれたのですが、今後活動していくなかで、私たちを好きになってくださる方が増えれば増えるほど、海外の方とのコミュニケーションが必要になってくると思いました。何か、コミュニケーションの取り方のコツはありますか?

日下部 私も、それは聞きたいです。握手会って、どんな方とお会いするか、その時になるまでわからないし、お話してみてはじめて「こういう人なんだ」とわかるので。台湾の方や韓国の方が来てくださった時は、普通に日本語で話しても喜んではくださったんですが……。「本当に伝わったのかな?」と心配になるし、「どうしたらもっといい気分で帰っていただけるだろう」と思います。

戸塚 そうですね。まずは、相手の国の言葉を5つでいいから憶えること、でしょうね。「こんにちは」「さようなら」といった挨拶、「ありがとう」、あとは「おいしい」「うれしい」など。これを、たとえばタイに行くならタイ語で、インドネシアならインドネシア語で言えるようにしておく。あるいは、メキシコから来るファンがいるならスペイン語で。最初は5つでなくて、3つでもいいでしょう。それを紙に書いておくんです。私は、海外へ出張するときはこの紙を財布やポケットに入れていきます。行きの飛行機のなかでブツブツ練習して、飛行機を降りたらパスポートをチェックするときにまずひと言、現地の言葉で「こんにちは」という。すると、だいたい相手は笑ってくれます。

本間 3つとか、5つとかでいいんですか?

戸塚 ひと言ふた言の簡単なフレーズでも、相手の言葉で話すことが大事なんです。
サッカーの日本代表の監督は、外国人が多いですよね。インタビューを受けた時に、日本語で「こんにちは」とか「ありがとう」と言ってくれると、見ていて嬉しいでしょう。逆に、最初から最後までずっと母国語で喋られたりすると、「日本の監督なのに日本に興味ないのかな」と思ってしまいます。
だから、「こんにちは」とか「ありがとう」といった「つかみ」だけでいいので相手の言葉を話す。あとは学校で習った英語を使って片言で話してもいいし、仕事によっては通訳を介して話すこともあるでしょう。でも、最初の「つかみ」は相手の言葉で。
そのくらいなら憶えるのには時間はかかりません。学校の英語の授業のように、発音とか綴りとかを気にする必要もない。カタカナで紙に書けばいいんです。それをブツブツ10回ずつ発音する。メンバー同士で言い合う。そうしたら30分で憶えられるでしょう。握手会で海外からのファンが来そうだったら、あるいは海外でイベントに参加するような機会があったら、そういう準備をした上で臨めばいいと思います。
 ところで、皆さんは握手会で相手の顔や名前を覚えてじわりじわりとファンを増やしていくのですよね。それも大事なことですよ。覚えることで「あなたに興味があるんですよ」「感謝していますよ」という気持ちを伝えることができますから。

日下部 私は、握手会ではファンの方に「お名前はなんですか?」と聞くんじゃなくて、「なんて呼んでほしいですか?」聞くことにしています。そうすると、相手が喜ぶ呼び方がわかるので。あだ名を教えてもらえたりすると、覚えやすいですし。

戸塚 いいですね。本当にビジネスパーソンの鏡です(笑)。メモもとったりするんじゃないですか?

日下部 はい。男性か女性か、特徴、何回来てくれたか、といったことをメモしておくと、次にいらっしゃったときに思い出すので。やっぱり先生もメモはされるんですか?

戸塚 はい、しますよ。特に外国人の方の名前は憶えにくいので。これも綴りがわからなかったらカタカナで書いてしまうこともあります。あとは、その方の奥さんあるいは旦那さんの名前、子供の名前なんかも。

日下部 そこまで!

戸塚 だいたい相手はそこまで覚えていてくれるんです。次に会ったとき、私の子供の名前を出して「元気か?」と聞かれたりします。そのとき、こちらは相手のお子さんの名前が出てこないと、すごく気まずい。そんなことが2回も続いたら、挨拶はするけれどあまり話がはずまない関係になってしまいますよね。そこで、相手の家族の名前を言えると「おっ」と思ってもらえます。すると、2年とか3年に1回しか会えなくても、家族ぐるみで付き合えるくらいの関係になるわけです。

日下部 私、たまにどうしても相手の名前が出てこないときがあるんです。そういうときにどう対応したらいいでしょうか。……そういうことってありますよね?

戸塚 ありますね。ま、早めに聞くしかないでしょうね(笑)。

本間・日下部 (笑)

戸塚 後になればなるほど気まずくなりますからね。「すみません、お名前なんでしたっけ」とは聞きづらいけれど、興味があるからこそ聞いているのは相手もわかるはずです。だから、そこは早めに聞くしかないです。

日下部 はい。早めに対処します(笑)。

 

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著者紹介

戸塚隆将(とつか・たかまさ)

ベリタス代表取締役

1974年、東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。ゴールドマン・サックス勤務後、ハーバード経営大学院(HBS)でMBA取得。マッキンゼーを経て、2007年、ベリタス株式会社(旧シーネクスト・パートナーズ株式会社)を設立、代表取締役に就任。
同社にて企業のグローバル人材開発を支援するほか、HBSのケーススタディ教材を活用したプロフェッショナル英語習得プログラム「ベリタスイングリッシュ」を主宰。グローバル人材を輩出し続けている。著書に『世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?』(朝日新聞出版)等がある。
ベリタス株式会社
http://www.veritas-english.jp/company/
ベリタスイングリッシュ
http://www.veritas-english.jp/

本間日陽(ほんま・ひなた)

アイドル/NGT48

1999年、新潟県生まれ。2015年、NGT48第1期生オーディション合格。チームNIII所属。特技は、クラシックバレエ、スキー。ニックネームは「ひなたん」「ひなひな」。

日下部愛菜(くさかべ・あいな)

アイドル/NGT48

2002年、神奈川県生まれ。2014年~15年、バイトAKBとして活動したのち、NGT48第1期生オーディション合格。研究生として活動中。特技はダンス。ニックネームは「あいにゃー」。

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