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トランプ氏成功の秘密は「朝型」にあった!?

2016年11月10日 公開
2016年11月10日 更新

桑原晃弥(経済・経営ジャーナリスト)

早朝から「人より10倍」働いていた伝説の経営者

一流の経営者の中にも朝型の人は多い。スターバックスの創業者ハワード・シュルツは朝四時半に起きて、まず妻のためにコーヒー(当然エスプレッソ?)を淹れ、朝6時には出社して、夜7時には自宅に帰るというし、アップルのCEОティム・クックもやはり朝4時半に起きて、部下にメールを送ったのち、夕方五時にはジムに行って身体を鍛えることが日課だという。

一方、日本の経営者はどうかというと石川島重工業(現IHI)や東芝の社長を務め、経団連会長と臨調会長も務めた土光敏夫氏も早起きだった。
かつては「重役出勤」という言い方があったように社長や役員のなかには遅く出勤する人が少なくなかった時代、早起きの土光氏は社長時代、8時前には出社している。
そして社長室を開けてどんどん仕事をしていると、他の役員も重役出勤をするわけにはいかなくなる。
土光氏は決してみんなに「早く来い」と言うことはなかったが、「社員は3倍働け、重役は10倍働け」と言う以上、トップが最も働かなければならないというのが土光氏の信条だった。

キヤノン社長を務め、日本経団連会長も務めた御手洗冨士夫氏も朝型経営者の典型だった。キヤノンには創業の頃から続く「朝会」がある。
朝の7時50分に始まり、メンバーは取締役以上。正式な会議ではなく、議題も特定せず、それぞれの担当部署で起こった出来事や気になったニュースなど何でも話題にするが、御手洗氏は社長時代、この朝会をとても重視していた。
社内コミュニケーションの円滑化にはコミュニケーションの質と量が欠かせない。それらは正式な会議だけでなく、日常のざっくばらんな意見交換を通して築き上げられる。
当時、キヤノンの決裁スピードは速いと言われたが、それを可能にしたのは朝会の自由な討論だった。
朝会が8時前には始まるだけに、御手洗氏も午前7時過ぎには出社、朝会までに決裁を終え、各責任者との電話連絡などを行なっていた。
「普段のコミュニケーションがスピード経営につながる」が御手洗氏の持論だが、それを可能にするものの一つが早朝出社であり、朝会だった。

現代を代表する経営者の一人、新浪剛史氏(ローソン社長を経てサントリーホールディングス社長)も朝型経営者だ。
ローソン時代、会社に出社するのは朝9時だったが、出社前にジムなどに行ってトレーニングをすることも多かったし、最近では若手の経営者たちとホテルで朝食をとりながらの「朝会」を行っているという。
忙しい新浪氏は夜も仕事や会合などがたくさん入っているため、自由に使える時間は朝に限られる。だからこそ、優先的に時間を確保してジムで身体を鍛え、朝会などでみんなと情報交換を行っている。

 

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