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スキマ時間での「ノートの上書き」が最高のアウトプットを生み出す

2016年12月09日 公開
2022年11月09日 更新

遠藤功(ローランド・ベルガー日本法人会長)

ノートを使った情報収集はなぜ、有効なのか?

敏腕経営コンサルタントで、ビジネススクールでも長きにわたって教鞭を執ってきた経験も持つ遠藤功氏は、情報収集や思考整理のためにノートを愛用している。使っているのはごく普通のキャンパスノートだ。そこに何を書き、どのようにアウトプットにつなげているのか、お話をうかがった。《取材・構成=塚田有香、写真撮影=まるやゆういち》

 

キャンパスノートで頭の中を「見える化」する

「現場第一主義」のコンサルタントとして、企業の工場や販売・物流の拠点などに積極的に足を運んでいる遠藤功氏。まだ駆け出しの若手時代から、思考を整理する道具としてノートを愛用してきたという。

「私は自分の頭の中を『見える化』する道具として、ノートを使っています。思い浮かんだことや現場で見たこと、人から聞いた話などをノートにすべて書き出して言語化する。そして何度も読み返し、マーカーで線を引いたり、赤ペンで書き足したりして、どんどん上書きします。こうして思考を整理し、深めることが、良いアウトプットを生むには欠かせません」

使っているのは、安くてどこでも手に入るA4サイズのキャンパスノートだ。

「私にとってノートは『落書き帳』。書き方にルールはなく、とにかく思いつくまま何でも書き殴るので、汚れたり書き損じたりしても気にならないキャンパスノートがベストです。
1年に約5冊のペースで使い切り、今までに書き終えた数十冊のノートは、大事なデータベースとしてすべて保存してあります。『前回あの人に会ったとき、どんな話をして、何を感じただろうか』と振り返りたい時も、ノートをさかのぼれば、自分の思考を辿れます。また、そのときは重要に思えなかったことも、あとから読み返すと興味深く思えたり、新たな発見があったりする。こうして手軽に見返すことができる一覧性の高さも、ノートのメリットです」

 

デジタルツールだけでは良いインプットを拾えない

メモアプリなどのデジタルツールも試したが、「『いつでもどこでも思いついたときに書ける』というアナログのノートに勝るものはなかった」と遠藤氏。

「現場を歩き回り、人と話しながらメモするには、軽くて持ち運びやすく、立ったままサッと書き込めるノートが断然使い勝手がいい。その点、パソコンやスマホは不便です。
私は『良いアウトプットは、良いインプットからしか生まれない』というのが持論です。いくら机にしがみついてパソコンで検索しても、ありきたりなインプットしか得られません。自ら行動し、自分の足で稼ぐからこそ、他の人が得られないような新鮮で独自性のある一次情報が手に入るのです。『パソコンやスマホで事足りる』という人は、良質なインプットを取りに行く努力をしていないのではないでしょうか」

 

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著者紹介

遠藤 功(えんどう・いさお)

遠藤功(ローランド・ベルガー日本法人会長)

ローランド・ベルガー日本法人会長。早稲田大学商学部卒業。米国ボストンカレッジ経営学修士(MBA)。三菱電機株式会社、米系戦略コンサルティング会社を経て、現職。経営コンサルタントとして、戦略策定のみならず実行支援を伴った「結果の出る」コンサルティングとして高い評価を得ている。ローランド・ベルガーワールドワイドのスーパーバイザリーボード(経営監査委員会)アジア初のメンバーに選出された。株式会社良品計画 社外取締役。ヤマハ発動機株式会社 社外監査役。損保ジャパン日本興亜ホールディングス株式会社 社外取締役。日新製鋼株式会社 社外取締役。コープさっぽろ有識者理事。『現場力を鍛える』『見える化』(以上、東洋経済新報社)、『新幹線お掃除の天使たち』(あさ出版)など、ベストセラー著書多数。

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