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男性社員は、女性リーダーとどう接するべきか?

2016年11月28日 公開
2023年05月16日 更新

前川孝雄(FeelWorks代表取締役/青山学院大学兼任講師)

 

男性部下へのアドバイス

 女性が上司になると、嫉妬心を抱いてしまう男性は少なくありません。とくに40代以上の男性は、「会社の職位=自分の尊厳」という価値観が根強いため、自分が就きたかったポストに女性が抜擢されると、やりきれない気持ちになるのでしょう。

 しかし現在は、組織における役職の意義も変化しています。多様な人たちがチームを組み、総力戦で成果を出さなくてはいけない今、もはや「上司と部下=上下関係」ではありません。たまたま肩書きはついていますが、両者は対等であり、役割が異なるだけだと考えるべきです。どちらが上か下かではなく、同じチームの中に「組織を束ねるリーダー」という役割もあれば、「自分の専門性や強みを活かして業務を行なう担当者」という役割もあるだけ。そう割り切れば、男性の部下も気持ちがラクになるのではないでしょうか。

 こうして同じチームでともにゴールを目指す仲間なのですから、もし女性上司の手が回らない部分があれば、率先してサポートしてください。日本の組織でいまだ少数派の女性リーダーは、男性リーダーたちの間で苦労をしています。ですから、味方になってくれる男性の部下がいれば、女性上司は感謝し、高く評価するはず。男性部下も、組織内での自分の存在意義ややりがいを実感できるでしょう。

 育児と仕事を両立中の女性が上司の場合は、会社にいられる時間に制約が生じます。しかし、これをデメリットと捉えるのは、時代に逆行する考え方。むしろ男性の部下は、非常に勉強になると思います。彼女たちは限られた時間をいかに有意義に使うかに集中しているので、1分1秒たりとも無駄にしない。ついダラダラしがちな男性たちが学ぶべきところは大いにあるし、女性上司の働き方を参考にすれば、自分自身の仕事の効率化にもつなげていけるはずです。

 

男性部下は…
多様な人が集まるチームで上下の関係ではなく役割分担だと考えて

《取材・構成:塚田有香》
《『THE21』2016年11月号より》

著者紹介

前川孝雄(まえかわ・たかお)

〔株〕FeelWorks 代表取締役/青山学院大学兼任講師

1966 年、兵庫県明石市生まれ。大阪府立大学、早稲田大学ビジネススクール卒。〔株〕リクルートで『リクナビ』『就職ジャーナル』などの編集長を務めたのち、2008 年に〔株〕FeelWorks 設立。「上司力研修」「50 代からの働き方研修」などで400 社以上を支援。2017 年に〔株〕働きがい創造研究所設立。〔一社〕企業研究会研究協力委員、ウーマンエンパワー賛同企業審査員なども兼職。
独立直後には、「700 通の挨拶状を送るも反応ゼロ」「仕事の依頼がなく近所の公園で途方に暮れる」といった挫折を味わう。そこから立ち直った経験から、近年はミドルの転職・独立・定年後のキャリアの悩み相談に乗る機会も多い。
著書は、『上司の9割は部下の成長に無関心―「人が育つ現場」を取り戻す処方箋』(PHPビジネス新書)、『「働きがいあふれる」 チームのつくり方』(ベスト新書)、『「仕事を続けられる人」と「仕事を失う人」の習慣』(明日香出版社)、『もう転職はさせない! 一生働きたい職場のつくり方』(実業之日本社)など多数。

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