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人間は何をディープ・ラーニングするべきか?

2016年12月02日 公開

中村隆紀(博報堂生活者アカデミー ゼネラルプロデューサー)

 

根本知の育み方(2) ~目的創造性は、「生活起点」で磨く~

 では、目的創造性はどうやって磨けばいいのか? 必要な装備は、世界に1つしかない自分の身体と感受性です。そして、その身体と感受性を駆使して目的創造性を磨くのに最も適した学習の場は、あらゆる情報を五感で受け取る日常生活そのものです。

 例を1つ挙げましょう。

『ポケモンGO』の開発者は、ナイアンティック社のジョン・ハンケ氏という方です。『ポケモンGO』の原型である『イングレス』という外出型ゲームの開発者でもあります。彼はかつてグーグルマップの統括責任者を務めていて、その技術がこれらの外出型ゲームにも色濃く反映されています。

 ハンケ氏が外出型ゲームを開発した目的はなんだったのか。それは、家にこもりがちで、ずっとゲームをしている息子を外に出すことだったそうです。ハンケ氏のイノベーションの目的は、きわめて主観的な、生活者としての願いから湧いてきたのです。

 このように、創造的なビジネスの目的は、業務の守備範囲からではなく、「父親」であったり、「音楽好き」であったり、「コミュニティの担い手」であったりという、多様な「私」の感受性から生まれることがあるのです。

 

根本知の育み方(3) ~発想を、体質化する~

 私たちは、こうした感受性を、ビジネスに持ち込むべきでない余事として、仕事と切り離してこなかったでしょうか。真面目にビジネスを考えようとする義務感が、逆に手詰まりを生んでいるのではないでしょうか。

「ファミレスで勉強する学生グループの姿をよく見かける。勉強は一人でするものではなくなった」

「『若く見えるね』って言うな! 『貫禄ないね』と言われている気がする」

「おばちゃんのコミュニケーション力は、実はワールドクラスの営業力ではないか」

 こうしたありふれた日常観察はすべて、目的を創造するためのリソースです。周囲の生活から、自分の感覚器官を通して感受した情報を、自身のビジネスに引き寄せて発想する。仕事のルーティンとは異質な情報の編集に、新たな豊かさや幸福観という「目的」を生み出すチャンスが潜んでいます。

 2016年5月、私たちは 「博報堂生活者アカデミー」 という人材啓発機関を、一般の社会人の皆さんに向けて立ち上げました。アカデミーでは、博報堂の企業哲学である「生活者発想」という志向に基づいて、頭だけでなく身体と感受性を駆使し、創造的な発想態度を体質として自分の根に身につけていただくプログラムを提供しています。何度もディスカッションとパーソナルワークを繰り返し、現象に潜んだ意味を考え続けます。

 発想に近道はありません。武道やギターの練習のように、繰り返し身体に覚えさせることで練磨されるのです。

 

根本知の育み方(4) ~ライフモデルで考える~ >


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著者紹介

中村隆紀(なかむら・たかのり)

博報堂生活者アカデミー ゼネラルプロデューサー

1961年、東京都生まれ。1984年、慶應義塾大学経済学部卒。〔株〕博報堂入社後、クリエイティブ職、ナレッジ開発職を経て、2015年より博報堂生活者アカデミー設立に参画。事業開発、および教育プログラム構築を主導するゼネラルプロデューサー。このコラムは、生活者アカデミーのマニフェストとして上梓された『発想する底力』(日本経済新聞出版社)をもとに執筆。

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