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カリスマ講師が教える確実に「覚える」ための3つのポイント

2017年02月24日 公開
2023年04月06日 更新

出口汪(水王舎代表取締役)

記憶維持の決め手は「反復」のタイミング

とはいえ、関心や理解抜きで覚えなくてはならないこともあります。資格試験などの場面ではやはり暗記が必要。「語源の共通する英単語を、系統立てて覚える」「法律の条文の意図を考える」といった論理的理解をするにも、その前提となる知識を暗記しなくてはなりません。

そこで役立つのが「反復」です。テキストを読み込んで短期記憶に刷り込んだ後、それが消えないうちに再び見て確認。また消えそうなタイミングで確認――これを4~5回繰り返すと、長期記憶に刷り込まれます。

覚える量を絞り込むため、使うテキストは1冊に絞りましょう。その1冊を「バイブル」にして、何度も見て頭に馴染ませていくのが得策です。

この作業で一番大変なのは、1回目です。未知の情報を入れるには労力がかかるからです。そのとき、学生時代の教科書や参考書をバイブルにするのは大いに効果的です。はるか昔とはいえ、一度触れた情報は「そうそう、こうだった」と思い出しやすく、記憶も強化されやすいのです。
加えて、暗記とはいえ、論理的に理解しようとする姿勢も不可欠。「ポイントはどこか」「キーワードは何か」などと絶えず考えながら読むことが大事です。

こうして1回目が済んだら、1時間後には2回目を。短期記憶が薄れる前に同じ情報に触れ、理解できていなかった部分を反復します。すると、1回目より記憶が薄れる速度も遅くなるので、3回目は翌日でOK。1回目に行なったことをすべておさらいしましょう。そしてさらに一週間後、4回目のチェック。覚えていないものだけを集中的に学習すれば万全です。

 

アウトプットで記憶はさらに強くなる

読むだけでなく「書く」ことも有効です。手を動かして確認することで、より集中力が高まります。キーワードにマーカーを引く、重要事項をノートに整理するなどの作業で、記憶をさらに強めましょう。

ノートは、書いた後も繰り返し見てチェックし、覚えられたところは塗りつぶしましょう。塗りつぶし用のノートの他に、保存用として綺麗に清書したノートをつくるのも良い方法。いわば、「書く」というアウトプットの反復です。アウトプットは、記憶を強化するには最適の方法です。

そういう意味では、1~2度目の反復初期、まだ知識が曖昧な段階で問題集を解くのもお勧め。問題を解くには理解しないといけないので、論理的思考力がフル稼働します。

さらに良いのは、人に説明すること。たとえば本の内容をしっかり記憶したいなら、概要や感想を話せる場や仲間を作ると良いでしょう。理解しなければ説明できませんから、思考力を働かせて読まざるを得ません。

学んだことをどう表現するか。その視点を持てば、より確かな知識の蓄積が可能になるでしょう。

 

《『THE21』2017年2月号より》

著者紹介

出口 汪(でぐち・ひろし)

〔株〕水王舎代表取締役

1955年、東京都生まれ。関西学院大学大学院文学研究科博士課程単位修得退学。広島女学院大学客員教授、論理文章能力検定評議員。現代文講師として、予備校の大教室が満員となり、受験参考書がベストセラーになるほど圧倒的な支持を得ている。また「論理力」を養成する画期的なプログラム「論理エンジン」を開発、多くの学校に採用されている。『出口汪の「最強!」の記憶術』(水王舎)など、著書多数。
http://www.ronri-engine.jp/

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