ホーム » THE21 » スキルアップ » メンタルを安定させるメモ・手帳の使い方とは?

メンタルを安定させるメモ・手帳の使い方とは?

2017年01月17日 公開

小林弘幸(順天堂大学教授)

 

ノート術ブームが自律神経を乱している?

 自身のノート術を確立しているように見える小林氏だが、本人は「まだまだ」と感じているという。

「毎年、『今年はこの手帳をこう使おう』とルールを決めていますが、毎年失敗していますよ。1年間、すべてのページに関して継続できてはいません。忙しいときには適当なところにメモしてしまったりもします。きっと皆さんもやってしまっているでしょう(笑)。書き方のルールは、9割の完成度では失敗するのです。10割までルールを作り上げることを目指して、毎年、改善を繰り返しています」

 書き方のルールを重視するのは、小林氏の専門である「自律神経」を整えるためだ。

「『どこに書くか』『どう書くか』などで迷うのは、自律神経の乱れにつながります。

 カバンの中でノートを見失って『なくしたかも……』と焦ったり、探すのに手間取ったりするだけでも、自律神経は乱れます。ですから、カバンの中で見失いやすい色のノートは避けたほうがいいでしょう。

 人間にとって一番ストレスになるのは、迷ったり、選択したりすることなのです。朝、何を着ていこうかと迷う。招待状が来て、出席するか欠席するか迷う。トレイに判断を保留している書類が溜まっているのを目にする。それだけでストレスを感じます。

 ですから、自律神経を整えるには、いかに迷わないですむようにするかが大事。そのためには、ノートはできるだけ1冊にまとめて、書くルールも完璧に決めてしまうのがいいのです。

 筆記用具にしても、私は万年筆が好きで50本ほど持っていますが、毎日どれを使おうか迷ったりはしません。1本を使い続けて、調子が悪くなってきたら次のものを使うようにしています。

 さまざまなノート術が世の中で流行っていますが、それらに振り回されて、『どのノートを買えばいいのか』『どう書けばいいのか』といった準備段階で悩んでしまい、自律神経を乱してしまっている人も多いのではないでしょうか」

 

「3行日記」の習慣がメンタルを安定させる

 ノートを活用するためのノウハウに凝るあまり、あれもこれもと手を出すのは、かえってストレスの元になりかねない。だが、手で書くということは、自律神経を整えるために、とても良い習慣だ。小林氏は、「3行日記」を手で書くことで自律神経を整えることも勧めている。

「忙しくてストレスの多い人、精神的につらいという人には、まずは日記を手で書くことをお勧めします。

 寝る前に1日を振り返って、(1)今日、一番失敗したこと(もしくは、体調が悪かったこと、嫌だったこと)、(2)今日、一番感動したこと(もしくは、うれしかったこと)、(3)明日の目標(もしくは、今、一番関心のあること)を、それぞれ1行ずつでいいから書くのです。

 ゆっくり丁寧にペンを運んでいると、1日の自律神経の乱れがリセットされます。また、『イヤなこと→良いこと→目標』という流れで書くことで、効果的にモチベーションを引き上げていくこともできます」

 小林氏は、この日記をつけるために自身で監修した『自律神経を整える 小林式3年日記』(河出書房新社)を使っている。

「3年ぶんの日記が同じページに並ぶようになっているので、今日書いたことを、1年後、2年後の同じ日に見ることができます。それによって人生の充実感が増しますし、『同じことで失敗しているな』などと反省することもできるのが良い点です」

 

「どうも頭が働かない」。そんなときこそ手を使おう

 情報の整理や管理に便利なデジタルツールがどんどん手に入りやすくなる中で、ノート術やメモ術など、「手書き」のノウハウへの注目も高まっている昨今。小林氏は、それは必然的なことだという。

「子供の頃から学校などで、手で書きながら考える習慣を身につけてきた私たちが、大人になってからその習慣を変えることは難しい。頭の中だけでいくら考えようとしても、うまくいかないのは当然です。そのことに皆が気づきはじめているのでしょう」

 パソコンやスマートフォン、タブレットといったデジタルツールは、指先は使っても、手を使っているとは言いがたい。

「デジタルツールが普及して、そのぶん、現代人は手を使わなくなりました。これは、頭を十分に使わなくなってしまったのと同じです。
 自分のものの見方や思考がぼんやりしていると感じている人は、考えるときに『手を使う』ことを意識してみるといいのではないでしょうか」

 

《取材・構成:川端隆人 写真撮影:永井 浩》
《『THE21』2017年1月号より》



著者紹介

小林弘幸(こばやし・ひろゆき)

順天堂大学医学部教授

1960年、埼玉県生まれ。92年、順天堂大学大学院医学研究科博士課程を修了後、ロンドン大学附属英国王立小児病院外科などの勤務を経て帰国。順天堂大学小児外科講師、助教授を歴任後、現職。自律神経研究の第一人者としてアスリートや芸能人のアドバイザーを務めるほか、TV出演などメディアでも活躍中。著書に、『なぜ、「これ」は健康にいいのか?』(サンマーク出版)、『一流の人をつくる整える習慣』(KADOKAWA)など多数。

THE21 購入

2020年2月号

The21 2020年2月号

発売日:2020年01月10日
価格(税込):700円

関連記事

編集部のおすすめ

「ゆっくり動く」健康法~副交感神経アップで体の不調、ストレスが消える!

小林弘幸(順天堂大学医学部教授)

健康管理の決め手は自律神経と腸内環境

小林弘幸(順天堂大学医学部教授)

スキマ時間での「ノートの上書き」が最高のアウトプットを生み出す

遠藤功(ローランド・ベルガー会長)
東京・京都で開催! 大杉日香理先生トークセミナー 3年先の未来を創る2020年の過ごし方

アクセスランキング

  • Facebookでシェアする
  • Twitterでシェアする
東京・京都で開催! 大杉日香理先生トークセミナー 3年先の未来を創る2020年の過ごし方

話題のビジネス・スキルをやさしく解説するとともに、第一線で活躍しているビジネスパーソンの
プロのノウハウを紹介するなど、「いますぐ使える仕事術」が満載されています。